ライトニングさえなければ……
エクセル隊長と登山中に禁断の果実を発見。
我慢できずに口にしてしまう。
果たしてこれからどうなるのか?
「それで種はどこに? 」
血相を変える妖精さん。でもないんだなあどこにも。
「へへへ…… 俺の腹の中だ」
「嘘でしょう? 」
がっくりと項垂れるエクセル。
そのまま意識を失ってしまった。
「おい! エクセル? 起きろって! 」
妖精を失い己のコントロールまで失えば生きていけない。
「ええ…… どうして私は裸なの? 」
「それはお前が心配だったからつい…… 」
不可抗力とは言えシンの実を食べた。
決して口にしてはいけない禁断の果実。
「ふふふ…… これがあなたの心の奥に隠された本性よ。もう隠せない。
解放されてしまったのよ。こうなってはどうにもならない」
エクセルはまた訳の分からないことを言う。
「俺は普通だよ。俺はどこもおかしくない」
「それは違う! あなたは抑えきれないはず。その実を食べれば誰でもそうなる。
だからあなたを責められない。
私はあなたの欲望のはけ口になっても構わない。
でも人間にすればただでは済まない。
それ相応の罰を受けてもらうことになる」
「ただ今回はあなたの意志と無関係。それこそ無意識だから累積することはない。
だから刑務所に収監されることもない。そこだけはプラス材料。
私も出来るだけあなたのサポートをするつもり。
でもね…… 残念だけどもう一生このままかもしれない」
そう言うとコスチュームチェンジ。
セクシーな白のビキニで悩殺を繰り返す。
「おい止めてくれ! それ以上はダメだ! 」
「自分で裸にしておいて何を言ってるの? あの衣装気に入ってたんだからね」
「うおおおお! 」
「ほら前を向いてなさい! 」
そう妖精の衣装がいくら刺激的でも後ろを振り向かない限り見えない。
ただこれは一時的に凌いでるだけに過ぎずもう少しどうにかする必要がある。
「俺これからどうなるんだよ? 」
「さあ人間の心を取り戻せるといいわね。私も協力する」
「協力って言ったって…… 」
「ほら振り向かない! あなたの為にライトニングを使う。まあ見てなさい」
登山を再開する。
危険のないように先頭を任された。
どうすればいいんだ? 後ろから迫る妖精を妄想するだけで興奮が止まらない。
俺は一体どうしちまったんだ? 」
そんな時に呑気な登山客。モンスターとも人間ともつかない者たちが出現。
三人組のお出ましだ。
「こんにちは」
「こんこん…… ダメだ! 皆可愛い女の子に見える…… 」
「気をしっかり保ちなさい! これが最初の症状。負けてはダメ! 」
いくら女の子を見ないようにしても勝手に脳が反応して美人化してしまう。
それがただのモンスターでも。男でもおばちゃんでも。
とにかく老若男女の問わずに皆美人化してしまう。
実際はそう脳が見せているだけで本当は…… これがエクセルの導き出した説。
まだ仮説だそうだがどうやら間違いなさそうだ。
やってられない。出会った奴全員が美人化するなんて。
三人の美女に囲まれる。
「へへへ…… どうした怖いか? 」
「駄目だって! 正気を保ちなさいってば! あなたは試されているの!
人間を捨てるつもり? 目的を忘れたの? 」
生意気な妖精が何か言ってやがる。
まったくちょっとこの世界に詳しいからって調子に乗りやがって。
今俺様の実力を見せてやる。ははは!
敵の衣服を剥ぐ。
「いやああ! 」
「ははは! 俺様の力を見くびるんじゃない! 」
三人が裸になったところで謎の光が出現。
「何だこれは? 」
「これはライトニング。神によりもたらされた奇跡。
あなたもこの光に触れて元の自分を取り戻すの! 」
そう言われると抵抗したくなる。
「うるせい! 早くその光を止めろ! 目障りなんだよ! 」
あれ心にもないことをつい。どうしたんだ俺は? もうダメなのか?
うおおお! 嫌だ! 止めろ! 止めてくれ!
「へへへ…… 誰も俺を止められない。誰もな! 」
「ちょっとあんた何するのよ! 」
裸にされた美女が妖しい光を纏い近づいて来る。
次の瞬間思い切り頬を張る。
「痛えな! 何をしやがる? 」
「うるさいわね! お返しよ! 」
三連続ピンタで頬がえらいことに。
もう使い物にならないぐらいの衝撃。
「ふん! 行こう皆! 」
そう言って三人組は姿を消す。
せっかく成敗してやるところを逃げるとは情けない。
結局彼女たちがモンスターだったのか人間だったのかは分からないまま。
どうにかピンチを脱出した一行。
再び山を登り始める。
続く




