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バニードロップ

恐らく昔、村に出入りした男。

子供好きのおじさん。今も変わってないのかな?


「流浪の民について教えて欲しいんです」

この男が昔のおじさんなら若ければ若いほどいい。

小さければ小さいほどいい。幼ければ幼いほどいい。

それくらい徹底したこだわりを見せるおじさん。

名前を忘れたけど俺たちの間ではおじさんで通っていた。

他所から貴重な物資を届けるおじさん。それに群がる子供たち。

彼の本当の目的は?


「流浪の民? 」

とぼけようとしても無駄だ。神の思し召しなのだから。

「あなたが詳しいと聞きましたよ」

エクセルはそうやって迫るが確か男でドラストで会えると言ってただけ。

だからもちろんこのおじさんとは限らない。

俺の知ってるおじさんなら間違いなくその手の話に詳しいはずだが。

当時もよく聞かせてくれた。どこに誰がいて何をしてると。

世界中の村々を回っていれば俺たちの知らないことはいくらでも。

おじさんを囲んで話に耳を傾けたもの。


「流浪の民ね。ああ知ってるよ。教えてやろうか」

ようやくこれで具体的な場所を知ることができる。

「だがタダでは教えられないな。俺も生活があるからよ」

うわ面倒臭い親父。取引をするつもりとは抜け目がない。

その人相どおりだから困る。

人は見かけによらないと言うのは嘘らしい。まんまなんですけど。

小さい頃の優しいおじさんのイメージが崩れて行く。

再会したばっかりに思い出が穢れて行く。

ああ出会うべきではなかった。後悔しても遅いけどね。


「ちなみにおいくらですか? 」

駆け引きする前にあっさりエクセルが降参。

言い値でいいと太っ腹。

男は大喜び。

しかしすぐに笑みは消え失せる。

エンゼルカードを見せると男は露骨に嫌な顔をする。

「そのカードから出すのか? 俺はあまりその手のものは信用してない。

現金でくれなければお断りだね! 」

違いの分かるこだわりのある男。ただ俺にはどっちでも良い気がする。


「分かった。それでいくら? 」

エクセルが計算を始める。

世界一速いと言われるエクセルの電算能力。

彼女が言ってるだけで本気にしてないが確かに計算は信じられないほどの速さ。

俺が算数をやってるとエクセルは関数をやってるぐらい違う。

ちょっと専門的過ぎてよく分からないが彼女の凄さが垣間見れる。

役に立つかは置いといて実力は申し分ない。ただの妖精ではもったいない。

そう褒めると『別に! 』と大物女優気取り。


「これでいいでしょう? 」

そう言うと答えを弾き出す。

「ふふふ…… これでは応じられないね。言い値と言ったろ」

吹っ掛けるおじさん。

昔の優しいおじさんの姿はもうどこにもない。


「では決裂ですね」

エクセルは交渉のテーブルから降りる。

「分かった。分かったよ。今のはお前たちを試しただけだ。

実はお前たちに頼みがあるんだ。バニードロップを受け取りに行ってくれないか」


バニードロップ。

男はそれ以上語らなかった。

「分かりました。期限はいつまで? 」

「そうだな。三日以内に頼む。三日後にここで」

「それでは」

握手を交わす。

これで契約成立。


取引に釣られて安易な約束をしてしまう。

バニードロップが何なのかさえ分ってない状況ではどうにも。

「朗報を待ってるぜお前ら! 」

男はそう言うとトラックに乗り次の店舗へと。


「どうする? 」

「仕方ない。バニードロップを探しましょう」

「でも受け取って欲しいって言ってなかった? 」

何らかのヤバイ取引があると見て間違いない。

俺はそこで大量のバニードロップを受け取る羽目になるのかな?


「さあ行きましょう! 」

あまり乗り気ではないがまあ仕方ないか。

エクセルには思い当たる節があるみたいだしな。

俺はただついて行けばいいんだ。

そしてバニードロップを受け取ればいい。

簡単じゃないか。簡単さ。

とにかくバニードロップについて調べる。


ついにクエスト発生。

クエスト内容: 三日以内にバニードロップを受け取りドラストへ。

    報酬: 流浪の民の情報。 

   

結局思い当たるところをすべて回ってみたがどこにも手掛かりはなし。

昨日行きそびれたレストランに向かう。


               続く

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