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12/201

空間と言う概念

かばん屋さんでお買い物中。

疲れと眠気と慣れない旅のせいでイライラする。

その上警告、警告と脅されてはもう爆発しそうだ。

さっさと済まそうぜ。


「お客さんお目が高い。これも先月発売の人気商品さ」

ポケットの一杯ついた中ぐらいの大きさのバックを購入。

後ろに掛けるタイプのバックだ。

これで両手が塞がることはないだろう。

俺は意外にも頭がいいからその辺のことには頭が回る。

ただ欠点も。ぶつかるとすごく痛いらしい。

かばん屋を後にする。


「ちょっと止まらないでよ! ぶつけちゃったじゃない! 」

いつの間にかエクセルは後ろを歩いていた。

昼間は前を堂々と飛んでいたのに。

もう疲れたらしい。それに夜は暗いので飛ぶのは危険だそう。

それよりも夜になると極端に力が落ちるそうでもう限界だと。

てっきり夜行性だとばかり思っていたが意外だ。

改良でもされたか? それとも本当は妖精じゃなくてまったく別のもの?


ふふふ…… どうであれこれはチャンスかもしれない。

勝手にエンゼルカードを使って豪遊してやる。

そうすれば今日のストレスを発散出来る。

嫌なこともきれいさっぱり忘れられるだろう。


だがそれはエクセルもお見通し。

いきなりエンゼルカードを食べてしまう。

何と言う暴挙。これでは使い物にならないじゃないか。

「ふふふ…… 驚いた? 大丈夫。復元可能だから心配しないでね」

無茶苦茶な奴だな。


それにしても何でエンゼルカードなんだろう?

「エンゼルカード? ああそれは偶然。

私を見たドント様がまるで天使のようだと。それでこれをと言う流れ。

まあ当然私は天使に相応しい。美しくてかわいらしい白く儚い妖精。


「何だドント様ってのは? 間抜けな名前だな。雑魚キャラか? 」

「冗談はやめて! 彼はこの世界を支配する者よ。

そしてこの世界に平穏をもたらす絶対的救世主」

随分大げさなことを言う。


「なあもう寝るんだろ? 」

かばんも買ったし後は宿屋でも探せばいい。

「馬鹿ね。最後に空間屋に行くんでしょう! 」

また訳の分からないところに。

「空間屋って何だ? 」

「それはね…… 」

説明されるもちっとも分からない。まあどうでもいいか。


「なあ明日にしないか? もう疲れたよ」

お願いするも相手にしてくれない。

「ほらついて来るの! 」

有無を言わせない妖精さん。


最後は空間屋。これで本当に今日は終了のはずだ。

「ヘイらっしゃい。何をお求めでしょうか? 」

手をこすって下手に出る親父。

「この子のバックに合う空間が欲しいの」

「このバックにかい…… だったらこれでどうだい? 」

「ありがとう。問題はどこにつなげるかだけど…… 」

二人が何を言ってるのか分からない。

話について行けずにぼうっとしてる。


「安全な場所。そうですねお客様のお家などどうでしょう? 」

「それでいいわ。ではこれでお願い」

またしてもエンゼルカードを使用。

食ったと思ったら吐き戻したか? 便利な体してるな。

大事な買い物なんだろうが俺にだって使わせてくれてもいいじゃないか。


「ああ。そのカード腹の中にあったんでぐちゃぐちゃでしょう? 」

「いえ問題ありませんが」

あれおかしいな。

「ちょっと見せてくれ! 」

会計を終え返す瞬間に横から素早く奪い取る。

「あれ汚れてない? 何で…… 」

「もうふざけないの! 」

別にふざけてないんだけどな。

「ではありがとうございました」

何だかよく分からないうちに終わってしまった。

カードも戻したし良いことなし。


「ほら最後に聞くんでしょう? 」

まだ覚えてたのね。どうせないんだから無駄なのに。

そう言えばかばん屋さんでは聞きそびれたっけ。

「あの…… ウサギありませんか? 」

「ああラビット空間なあるよ。どうだい購入するかい? 」

ウサギ縛りだと何かと大変だな。もう充分。

「うーん…… どうしようかな」

エクセルはもちろん迷ってる振り。これ以上は出すつもりないだろ。


「ご注文はウサギですか? 」

うわ…… おっさんが言うのかよ。

あんたも商売とは言え恥かしくないのかよ? 俺は恥ずかしいぜ。

「結構です! 」

もうこの場から立ち去りたい。店主にも悪いことしたな。


こうして買い物は終了。

宿屋に直行かと思いきやツリーハウスにご招待。

ここで一晩明かすらしい。


                続く

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