準司の予感
その男性警備員に連れられ、六人はエスカレーターに乗ってそこからエレベーターに乗って十階に登った。十階に着いた後、迷路みたいな通路を渡ってようやく目的地までたどり着くと男性警備員は「ちょっとここで待ってください」と両手で合図しながらそう言って男性警備員だけが操縦席の部屋に入っていいか確認しに行った。
数分後、しばらく六人が待っているとようやく男性警備員がその操縦席にいる関係者を呼び、連れてきた。
半袖姿のスーツに船員の帽子をかぶっていて何十年の経歴を持つベテランの操縦士だというのが一目で分かった。警察二人は初めましての挨拶をして自己紹介をした。
「警視庁の瀬戸川とそしてこちらも同じ道村と申します」瀬戸川と道村は警察の証明書を見せた。ドラマとかでよく見るあの黒い財布の形をしたみたいな物の中に証明書が入っている。
「警察の方ですか、何か船内に事件がおきたのですか?」このベテラン操縦士は聞いた。
「いえ、まだそこまではおきてないですが、大変なことがこの船にありまして…」
「大変なこと?それはどういうことでしょう?」一人の操縦士が聞くと案内してくれた警備員が話しかけようとしたらので警察は手で遮って二人から事情を話した。
「…えっ?爆弾?…それはどこにあるのか分かっておられるのですか?…」
「いえ、まだ証拠はないのですが、その為にこの船の設計図もしくは地図がありますでしょうか?」瀬戸川が聞いた。
「設計図ですか?確かにここにありますが、念のために私からも聞かせてほしいです。その爆弾は誰が仕掛けたのか、またいつから爆弾を仕掛けたのかお分かりですか?…」
「実を言うと…イナズマ団が仕掛けたかと思われます…」
「えっ?…イナズマ団?」操縦士が聞くと瀬戸川が説明した。
「大変申し訳ないのですが、我々がしなければならない仕事は二つ、一つは船内に仕掛けてある数は分からないですが爆弾を全て取り除くこと、もう一つはその仕掛けたイナズマ団を捕まえることです。まずは、仕掛けられている爆弾を全て除去することなのですが中に船内をまとめて爆発するぐらいの強力な爆弾をいち早く探し出すことです。もしその爆弾が爆弾処理班でさえ船から外すのが難しい場合、乗客全員を爆発するまで港に降ろすように呼び掛けなければならないのも事実です。一刻も早く危険物はどこにあるのかを探し出さなければ人命に関わることになってしまいます。ですからお願いです。この船の設計図もしくは地図を見せてくれないでしょうか?お願いします」瀬戸川は必死に説得し、頭を下げた。他の五人も頭を下げた。
「…ここは基本関係者以外立入禁止ですが、そんな大変な事態になっているなどそれならば何故もっと前にそんな大事な事を早く言わなかったのですか?この船もデビューしたばかりだという時にいきなりそんなことを言われてももう出港したのですよ。もし見つからずに爆発した場合、警察の皆さんはどう責任を取るおつもりなんですか?」操縦士はだんだん焦りが出てきた。
「申し訳ございません。最初からイナズマ団による爆弾設置という証拠というものがなかったためでした。奴らはいつ、どこで、何をするのかが分からない状況で裏で動こうとする悪事を働いている為、我々も見つけようがなかったのです。確かに今回も私達の責任です。事前に爆弾を設置している場面を見つけておくのが我々の仕事ですが、こういう形になってしまったこと大変申し訳なく思っています。…ですが必ず皆さんの人命は守るつもりでいます。…もう時間がありません。どうか手伝ってもらえないでしょうか?」瀬戸川はそれでも圧を押し通した。人命を守るのが先だということを眼中にある。
「…仕方ないですね。何度も言うと思いますが、ここから先は立入禁止です。今回だけ入って下さって構いません。但し、余計な事だけはしないようにしてください。それは守って下さい。どうぞ、私に着いてきてください…」
「あっ、有り難うございます!」全員が頭を下げて感謝を伝えた。その操縦士がどうぞと案内してくれると全員が誰も関係者以外入ったことのない操縦席に初めて入らせてもらった。
操縦席は意外と広かった。最新式の機械を操縦している所もあれば、周りに異常がないか望遠鏡で確認している人もいればと様々の任務に真面目に勤務していた。
「…島さん、来客ですか?」この操縦士は島という名前だと六人は初めて聞いた。
「実は、警察の方達でして実はこの船の設計図を見せてほしいみたいです…」
「設計図?…」
「はい」島という名前の人は申し訳なく思って話している。
「それを使って何を?…」
「実はこの方達が言うには…この船に爆弾が仕掛けられているみたいなのです…」
「えっ!?…爆弾!?」大きな声で喚いてしまったこの男性がおそらくだが船長の次の下の副船長なのだろう。皆はすぐさまびっくりして副船長に振り向いた。
「お騒がせして申し訳ございません。警視庁の瀬戸川と申します。設計図を見せてその爆弾がどこにあるのかを探させてもらえないでしょうか?大変申し訳ないのですが、協力させてくれますか?」船を運転している男性以外の操縦席にいる皆はざわざわし始めた。
すると船を運転している男性は振り向かずに口を開いた。
「警察の方ですか?設計図ならここに置いてありますので、時間がないのでしたら持っていっても構いませんが…」
「あっ、いえ、そこまではしていただかなくても構いません。ここで爆弾の場所がどこにあるのかを探りますので」瀬戸川が申し訳なく言った。
「設計図はここにあります。こちらへどうぞ」島が操縦席にある机まで行き皆を案内した。丸くして止めてある設計図を開放して机いっぱいに広げた。
「何枚もありますが、これが全部の『ヴィクトリア・プリンセス号』の設計図になります」
設計図を広げると警察達六人皆はどこにその一番危険な爆弾があるのかを探していた。
しかし、あまりにも広すぎてどこから探せばいいか分からなくなった。そこで、以前準司が言っていた爆弾が仕掛けられているのは上ではなく下にあるのではないかという話を警察二人は思い付いていた。皆藤も同じように準司を見つめていた。
するとここで準司は何か感づいた。確かにイナズマ団が仕掛けた場所は地下のどこかだ。ということは下の方を見ると確かに空洞というのか部屋みたいな場所がいくつもある。
「すみませんが、この一階より下の階に行くことはできますか?」準司が尋ねた。
「関係者以外立入禁止になってます。船を動かしたりスピードを落とすための機械がたくさんございますのでここは乗客全員は入れないようにしてあります」
確信がついた。イナズマ団がたとえ変装していたとしてもここに隠れながら爆弾を設置してもおかしくない。それにモーターやブレーキの大事な所を爆弾で破壊したとしたら全く動かなくなってしまえば一大事だ。
だから…間違いない。イナズマ団の巣はここに張ってある。
「これはあくまで僕の憶測に過ぎないですが、ひょっとしたらイナズマ団が一番破壊力の強い爆弾を設置した場所は…ここじゃないでしょうか?」準司は船内の設計図に指を指した。でも、ここならイナズマ団が狙える場所だと感じられる。
「ここって…まさか、そんな…」皆藤がそのまさかを指した。絶望感が体中に染み渡った。
「地下深い所の真下に大きな爆弾があるかと思います。おそらくですが、イナズマ団はこの船を海に沈めさせようとして誰にも見つからないようにして仕組んでいるんだと思います。僕の勘が当たっているなら、たぶんそこに…」
「分かった。三田原君、よく分析してくれた。とりあえずそこが一番の標的かもしれない。とりあえず急ごう…」
「待ってください…」
「えっ?」準司が予想した場所を瀬戸川が了解してその地下に急ごうとした時に初めて船長が後ろを振り向いて六人を止めた。




