捜索前の記念写真
豪華な料理を堪能して全ての選んだ料理を食べ終わった後、三人はふうっと満腹して完食した。もうそろそろ午後一時になりそうな時間にきているので皆ほとんどの弟子達は完食してエネルギーを補給できているみたいだ。
ただ、坂本だけすごい量の料理なのであと一皿のおかずだけとなり全て平らげている。
「よく食べれてるなあ、坂本。本当に食いしん坊なんだなあ。もう一時になるからその辺にしておいた方がいいぞ。また晩食もあるんだし」準司は坂本に加減を言ってあげた。
「ふん。こんな豪華な料理が食べられるのは今のうちだけだからな。お前に言われたくねえよ」坂本はプイと言い捨てた。
「準司、この後にこのどこかに爆弾が設置しているところを探さないといけないんだよな?昼食済んだらすぐに爆弾を探しに行かないといけないんだっけ?」将吾はモヤモヤした気になる疑問を聞いた。
「いや、確かすぐではないと思うよ。何分か休憩を設けてから警察達と手を組んで俺達が各班に分かれてこの大きいクルーズ船の中を時間内にいくつか設置していると思う爆弾の解除をしていく流れになるかな。ただ殆どが警察の人と爆弾処理班の皆さんがその捜索をしてくれるから時間は一気に減らせると思う」準司はただ時間内に見つけられるか、イナズマ団を捕まえることができるかがかなり心配だった。
「客室の中とかも入って爆弾があるか確かめる必要ってあるのかな?でも乗客の人達の邪魔になってしまうまで捜索するのは何か気まずいよね?」葵は想像しながらどういう捜索になるか考えていたら冷や汗が出てきた。
「確かに。そういう時って俺らだけじゃ入れないよな。たぶんそういう時も警察が何とかしてくれるんじゃないか?」将吾もそうであってほしいと何だか思いたくなった。別のお客さんの部屋に勝手に入るのは将吾にとってとても恥ずかしくて苦手だからだ。
「…ここではあんまり大声で話せないけど、この今という時にでもイナズマ団がいたりしたりしてないかな?私達がここにいるってすでにバレているとしたら…」葵はわざと四人しか聞こえない程度で右手でこっそりと小声で準司と将吾に聞いた。坂本は葵の話に気にすることなくまだガツガツと豪華な料理を食べることに夢中になっている。
「うーん…その話が出るとなると食事に集中することさえできないよなあ。俺はまだ奴らにバレてないことを祈ってるけどな」将吾は疑う気もなかった。
「そうだな。ただここのレストランに来ているようには見えないし、もし変装して食事しているんだとしたらそれこそ危ないよな。せっかくの豪華な料理を食べているという時にまさかなあ…盾頭の二人も辰先生も警戒したり周りを観察していたりしてないかな?」準司もだんだんと周りの様子が気になってきた。もしもの時に何か異変がおきたとなったら二人の盾頭は特に一番気配を察知することができるから今の様子を見ていると特に異常はないみたいだ。灯田原と伏竜と辰准教授が普通に食事を食べている様子を見ればこの今の様子は大丈夫だと判断できる。
「あの様子を見ていると今のところ大丈夫みたいだな。もしイナズマ団が出てきたとわかったらすぐに動くのが分かるから…うん」準司は少しは緊張がほぐれた。二人も緊張が少し出てきていたがその様子を見てほっとした。
「ああ、美味かったあ。おかわりしてえなあ」坂本はようやく完食したが食事があまりにも好きみたいなのでまだ料理を食べたいみたいだ。
「ちょっと、あんた。食べすぎよ。今もイナズマ団と戦っている時だというのに料理に夢中になりすぎないでよ」葵は坂本の食事を見てイライラしてきた。
「いいじゃねえかよ、それぐらい。この時間の間にこんな豪華な料理が食べられるんだぜ。イナズマ団がどうだとか後から始末しようと思えばいくらでもできるだろ?」坂本は夢中になりすぎてまだそれでもおかわりしたいそうだ。
「もう一時になりますけど」葵は時計に指を指して坂本を止めさせた。
「はい、皆さん!時間が刻々と迫ってきましたのでお喋りは止めるようにしてください!…はいそこらの皆もお喋りを止めて静かにしてくれ!」今度は灯田原がマイクを持って皆全員に聞こえるように話した。すると弟子達は段々と静かになっていった。
「確かに、豪華な食事を楽しみたい気持ちは分かりますがこの大型クルーズ船の中を捜索するにはかなり時間をかけなければならないと予想できます。ですから午後一時までにこの食事も記念に残しておくように…私達も含めて君らはこの後警察と手を組んで捜索を行ってもらいます。ただ、奴らも私達の動きに気づかれるのは確かかもしれませんがそれでもその不審物を探し撤去させるようにします」灯田原はもしこの近くにイナズマ団がいると仮定してあえて「道保堂大学」とか「盾」とか「爆弾」という言葉を使わないように慎重になって言葉を選んで話した。
「ではこれからの予定を言います。午後一時三十分に初めてこの船に搭乗して一階のロビーに集合した場所に集まってください。その時に白い鞄を必ず全員背負って来ること。そして、肝心な左腕につける円型のシールドを装着することだ。ただ、ここで注意してほしいのが奴らにバレないように小さくして戦闘になってしまった場合以外なるべく隠しながら捜索してくれ。それこそ奴らに見つかってしまった場合が大変なことになる為気をつけて行動しなさい」灯田原は「イナズマ団」というワードもあえて使わないように慎重になった。
「昼食の後すぐに警察と合流しろとは言わないので少し胃袋を休ませる時間を三十分設けます。皆は各自の部屋に戻って休憩と同時に先程言ったように円型のシールドの装備と白い鞄を背負っていること。あっ、それと今皆が着ている防具もそのまま着ているように。脱いで来たというのは必ずや禁止なので余計な真似はしないように…それではもう一時になりそうなので各自の部屋に戻りなさい。それではレストランを出ます。解散!…」
「あのお、灯田原さん…」
「うん?」三回生の女子が灯田原にあるお願いをした。
「…せっかくこの船に乗れたので、みんなで記念写真撮りませんか?」あの三回生女子は恐らく葵と一緒に修業してきた炎の使い手の関島麻里という女子だ。
「…時間がない時だというのに仕方がないなあ。すまない、皆諸君。急で申し訳ないがこの子が全員で記念写真を撮りたいそうだ。皆もレストランのあのタイトルの前で写真を撮ることにする。関島、それでいいな?」
「はい、大丈夫です」
いずれこの船も沈むかもしれないからその前に写真を撮っておきたいのだろう。皆全員「ヴィクトリア・プリンセス、レストランカフェ」という大きいタイトルの前に立ち、関島のスマホでカメラを撮ることにした。
「はい、ではいきまーす。ピースサインでも何でもいいのでポーズ作ってください!」そして関島も中に入ってピースサインをしてシャッターが降りるのを待った。
そして…カシャ!
綺麗に撮れているか関島やその友達らは確認しに行った。そして…
「皆さん綺麗に撮れました!この時間に有り難うございました!ちゃんとこの後に皆さんにラインで送りますので宜しくお願いします!では皆さん部屋の方に行ってください!」
「はい、そういう訳で各自自分の部屋に行ってください!それと関島、カメラ撮れたからって喜んでいる場合じゃないぞ。ここからが正念場だからな。心の準備だけはしておけ」
「あっ、はい!」
そして皆はすぐに自分の部屋に戻っていった。
「なあ準司。俺達も記念に残る場所の前で写真撮らねえか?葵だったらそうするだろう?」左腕に盾を取り付けながら将吾は準司に提案した。
「俺達もか?時間があれば撮ってもいいけどよ。勝手なことしたら灯田原さんや伏竜さん達に船下ろされたりされないか?」準司はあの皆の前で謝罪するのはごめんだと思っていた。
「隠れながらでもいいじゃないか?…葵にライン送ろうかな?…」
「送ったって返事は俺が言ったのと同じようなこと言われるんじゃないの?」準司は予想がついていた。
「いや、葵はちょっとの時間だったらすぐにスマホで撮ろうとするって。大丈夫、灯田原さんに見つからないようにするからさ。さっ、速く準備しようぜ」将吾はさっきの昼食で満喫したのもあってやる気が漲っていた。
準司も休むことを止め、満腹でいっぱいな様子でもいつでも出られる準備をしていった。先程の遅刻を今度はしてはいけないという灯田原からのプレッシャーに準司はハラハラしながら持っていくものを確認した。
全員集合して警察と一緒になりながら爆弾処理に向かうまで後十分になった。準司と将吾が廊下に出て準司が部屋の鍵を閉めるとすぐさま葵が二人に駆けつけに来た。
「将吾からのライン見たよ。写真撮りたいんですって?いいよ。このタイミングなら今のうちに記念写真撮ろう」
将吾が「なっ?言っただろ?」と準司に肩を叩いた。
はい、早く早くと葵が二人に声かけするとスマホをかざして写真を撮る構えをした。三人揃ってスマホ画面に収まった。そして背後を真っ白の壁にして向きを変えた。
「はい、撮るよ。はい、チーズ!」三人ともにっこりしながらピースサインをした。ちゃんとしっかり三人が揃った写真が撮れた。
「じゃあこれを二人に送るね」
時間内に葵は二人にラインの中に撮った写真を送った。
「ありがとな葵。これでクルーズ船に乗ったという証拠にもなるし記念になるな」将吾は葵に感謝した。
「俺からも、ありがとな葵」準司もお礼を言った。
「うん、有り難う」葵も感謝を返した。
「はい、全員廊下に集合しろ!時間がきた。さっさと並ぶことだ!」灯田原がもう廊下に並んでいた。
「じゃあ二人ともまた後でね…」
「うん」
葵は皆藤先輩の所に戻っていった。
「一番後ろの三田原と松田!ちゃんとここにいるか!?」突然の掛け声に二人は目を丸くして準司と将吾は見つめあった。すごく恥ずかしくなった。灯田原班全員はクスクスと笑ってしまった。
「あのお!ここにいますけど!」準司が大声で灯田原の距離まで飛ばした。将吾はうんうんと頷き続けた。またしても灯田原と準司と将吾以外全員は爆笑した。
「よし、だったらいい。また呼んであげなければいけないかと思っていたが。また寝ていたとしたらそれこそ船から下ろしてあげようかとも思っていたからな」灯田原がそう言うと、また皆は笑いが堪えられなかった。それで準司と将吾の二人は体中熱くなってきた。
「よし、じゃあ時間通りに行けそうだな。では私に着いてくるように」灯田原は後ろを振り向いて前に進み出すと灯田原班全員も灯田原に着いていくように歩き出した。
いよいよここからが正念場だと思うと準司達は気持ちを切り替えるようにした。




