豪華の昼食
五分遅れで灯田原班はレストランに到着した。西洋に彩られている豪華な部屋そのものが格別の部屋だった。確かに見ただけで一泊どれぐらいするのかが想像できてしまう。
灯田原班がレストランの中に入っていくその時に灯田原は準司と将吾をすぐに止めた。
「お前らのおかげで五分も遅れるようになった。ちゃんと反省できているか?…」
「…はい」準司と将吾はしぶしぶ返事した。
「じゃあ二人は全員の前で謝らせてもらう。伏竜班、辰班全員が出揃っているか確認できた後に皆の前で謝れよ」灯田原は声のトーンが怖かったのでどれだけ怒っているか自然と二人は分かっていた。
「はい…分かりました」
他の乗客の人達がだんだんとレストランに入ってきて賑やかになっていく時全員がレストランに集合した。そして、灯田原は前に立って皆に聞こえるようにバカでかい声で話し始めた。
「はい、皆さん聞こえますか?…ではこっちに注目してください。全員揃ってはいますよね?豪華な昼食をとる前にまず五分も遅刻した二人が原因で我々灯田原班も五分遅刻してしまいました。私からも謝ります。申し訳ありません。五分も遅刻した原因の二人もここに来て謝ってもらうことにします。その二人をここに呼びますのでしばらくお時間ください」そして灯田原は準司と将吾に来いと顔でジェスチャーをしたので二人は灯田原の立っている立ち位置に立った。すると皆は灯田原班以外の人達は何のことかさっぱり分からないまま二人の方に振り向いて注目した。
「…まさか時間内に起きることできず、寝過ごしてしまい申し訳ございませんでした…」
「申し訳ございませんでした…」準司が訳を説明して頭下げて謝った後、続いて将吾も頭下げて謝った。
「はい、そういうわけで二人は二度とこんなことがないように気を付けてください。次の夕食にまた同じことあったらイナズマ団と戦うことができるかの話をヴィジョン先生と連絡するので船から降ろされることも覚悟しておくように。二人はいいですね?…」
「はい、次は気を付けます」準司が答えた。
「他の人もこういった遅刻をおこさないように気を付けてください。もし遅刻した場合二人が今やったような謝るよりも船から降ろさせることにしますのでそれだけ覚えておくようにしてください。…では時間がまあ数分遅れていますが早速昼食を食べましょう。バイキング形式ですので好きな料理を自分で選んで食べてください。では行ってください!」
灯田原の合図で皆は楽しみにしていたのでワクワクしながら早歩きで昼食のメニューの列に並びに行き豪華な料理を取りに行った。
準司と将吾は葵がここにいるよと合図してくれたのでその席に向かった。
「時間内に起きられなかったのね。二人ともが起きられなかったの?」葵はなんで遅刻することになったのかモヤモヤしていたので気になって心配していたみたいだ。
「いや実は俺が寝過ごしてしまったんだ。だから本当は将吾は悪くないよ」準司は将吾を庇った。
「じゃあ将吾、準司を起こそうとしなかったの?」葵は聞いた。
「いや、本当は準司を起こそうとして起きろと何回も揺さぶったんだけど全く起きなかったんだ。あの時、灯田原さんにすぐさま呼んだ方が良かったかなあって後悔してはいるんだけど準司の様子が…」将吾はそこで止まってしまった。
「ん?将吾、どうしたの?」葵はさらに心配した。
「いや、実は…準司があまりにも唸ったり息苦しそうにして寝ていたから何かすごい怖い夢でも見ているのかなあって…だから起こしたくても起こせなかったんだ…」
「怖い夢?…」
「えっ?将吾、やっぱり俺が見た悪夢でそんな仕草をしてたって?」準司は心底驚いた。
「うん。じゃあ準司、怖い夢を見てたのか?…」
「うん。酷い夢だったさ」準司は詳しく返事した。
「そうなんだ。だからあんなに辛そうにしてたのか」将吾は確信できた。
「えっ?じゃあ準司、その酷い怖い夢ってどんな夢だったの?」葵は大事なことだと確信すると準司に聞きたくなった。
「ごめん葵。もうみんなバイキングに行ったからさ、食事している時にまた話そう。三人で早く行こうよ」準司がそう言うと葵は昼食コーナーの方に降り向いて「うん、そうね。行こう」と言って昼食の時間に三人で向かった。
「うわあ、美味しそう。これ全部好きなだけ食べていいのねえ」葵は感動していた。
「いやあ、全部は食べきれないけど本当に豪華だよな」将吾も早く食べたくさっきの灯田原に怒られたことなど忘れて食欲が増してきた。
「うん。じゃあバイキングに行こうか」準司もさっきのことを忘れて豪華な料理をお盆を両手で持って料理を乗せていこうと向かっていった。将吾と葵もお盆を持って料理を眺めながら食べたい料理を好きなだけお盆の上に乗せていった。
三人とも料理をお盆の上に乗せることができた。早速自分の席に座りに行こうとした時、三人は自然と止まった。そういえば、自分の金で支払わなければならないんだっけ…?そう思い、三人はお互い顔を見合わせた。
「ねえ、これって自分のお金で支払わないといけないんだっけ?私は一応財布持ってきたけどレジってどこ見渡しても見つからないみたいよね?」葵がそう聞くと二人は顔を見つめあった。
そういえばこういう時って自分でお金を支払わないといけないのか…誰かに聞いた方が良さそうだ。
三人は周りを見渡すと、辰准教授が料理を眺めながら食べたい料理を好きなだけお盆に乗せているのが見えた。
「辰先生に聞いてみた方がいいかもね。私が聞いた方がいいよね?」葵は二人のことを十分分かっていた。灯田原に怒られたばかりの時に二人が聞きに行くのはやめておいた方がいいと悟ったからだ。
葵は二人にちょっと待っててと言いながら辰准教授に聞きにいった。
「辰先生、ちょっと聞いてもいいですか?」葵が聞くと辰准教授はふと振り向いた。
「ん?…ああ、浅倉さんじゃないか。どうしたんだ?」辰准教授は一端手を休めてからお盆を両手で持ちながら葵に向きを変えた。
「あのお、料理代は自分のお金で払わないといけないんでしたっけ?払わなかったら食べられないのかなって…」
「いや、お金のことは何も心配することないよ。ヴィジョン先生がちゃんとみんなの食事代も支払えてるし何も心配することないさ。おかわりも自由だし、気にする必要ない…」
「あっ、そうでしたよね、有り難うございます!」有り難うございます!の声が二人にも聞こえていた。
葵は二人の所に戻ってきた。
「お金のことは心配ないって。ヴィジョン先生がちゃんとみんなの食事代も支払えてるって言ってたよ…」
「良かったあ、支払わなくていいなら気にしなくていいじゃん。なあんだ、自費で払わないといけないのかと思った。じゃあ元の席に戻ろう」将吾は緊張感が一気にほぐれて気持ちが明るくなった。
「うん。早速席に戻ろう」準司も一時はどうなるかと心配していたがやっと明るくなった。
三人とも料理をお盆に乗せたまま自分の席に戻っていった。
三人が席に戻ると皆弟子達は席に着いて友達同時で会話しながら昼食を楽しんでいた。三人が早く自分の席に着こうとした時、葵が席をとっていた場所に黒い太縁メガネをかけた男子がガツガツと料理を食べながら席に座っていた。三枚ぐらいのお盆を乗せた料理が豪華に並んでいる。
「おい、坂本。お前もこんなところにいたのかよ」準司が声をかけた。
「ん?おっ、三田原と松田、おめえらの反省会から昼食が始まるのかよ。後味悪いなあ」坂本がそう言ってからまたすぐにガツガツと料理を食べていた。
三人は坂本を囲むようにして席に座った。
「お前すごい量だな。全部食べられるのか?」準司が聞いた。
「…何だよ?別にいいだろ?普段授業受けてバイトしての繰り返しで精一杯だっつうのにこんな贅沢な料理を好きなだけ食べられるんだぜ。嬉しいと思わねえのかよ。せっかくの機会なんだからよ、こんな有難い料理食べさせてくれるんだから腹一杯食うんだよ」食事を口に含んだまま坂本は話した。ゆっくり噛むことなくすごい勢いで速く食べている。美味しそうに食べているのは分かるが、汚い食べ方をしているみたいだ。
「じゃあ私達も食べよ。おかわりも自由だし」葵は気を取り直した。
「そうだな。時間もまだあるしさっさと食べよう」準司が言った。
「よし、美味そうだな。いただきます」将吾もそう言って三人は他の人よりも少し遅れて食事を始めた。




