告白
準司がまだ六歳の頃、父親の勤は二十七歳だった。勤はセキュリティ会社に勤務していて、若かったヴィジョン教授も勤務していた。そのセキュリティ会社に楢崎寛樹も勤務していて、同じ防犯のロボット開発に従事していた。入社してから順調に開発や企画を前に進めていた頃、あるニュースが毎日のように流れていた。
「イナズマ団という謎の集団、また捕まえられなかったらしいよ」その話はセキュリティ会社全土にも及んでいた。
「イナズマ団という集団を捕まえられなかったら、どうなっていくんだろうね?警察も一体何やってんだか」
イナズマ団が組織されてから暫く経っていたのは分かっていたが、警察も対策を講じても全く一人も捕まえられていなかった。それで皆も怯えながら日々を過ごしていた。
「警察の人達もこのまま続いたら信頼が地に落ちるぞ。そんなにその相手を捕まえられない程難しくなっているのか?」従業員達がそんな話を側で聞いていた勤やヴィジョン達もイナズマ団のことで昼ご飯を食べながら話をしていた。
「イナズマ団か…何でイナズマ団って言うんだ?」楢崎は聞いた。
「分からないけど、イナズマのようにすばしっこく逃げられる集団っていう意味じゃないか?」勤は言った。
「よく分からない謎の集団だな。また事件がここ最近になって出てきたな」ヴィジョンはこの時片言だが日本語で言った。
「怖いよな。何で捕まらないんだろうね?」勤は聞いた。
「さあな、早く捕まればいいのにな。さあとりあえず仕事に戻ろう」楢崎はそう言うと三人は昼食を終えると皿洗い場まで食器を持って行ってからまたいつもの通りに各それぞれ仕事に戻っていった。
夜6時。一日の仕事が終わると三人は外に出て帰宅した。日が暮れていたので、街灯の明かりに照らされて帰り道を通っていた。
「なあ、みんなで飯食いに行くのはどうだ?」楢崎は二人を誘った。
「ああ、すまねえな。今日は妻と子供が待ってるから家に帰らなきゃならないんだ」勤は申し訳なく言った。
「そっか、じゃあまた後日になってからでも飲み会やろう」
「そうだな、後日また呼んでくれよ」勤は言った。
「ヴィジョンさんは今日飲み会どう?」楢崎は聞いた。
「そうだな、飲みに行くか」ヴィジョンは楢崎の誘いに乗った。
「じゃあここで別れるか、じゃあまた明日な三田原さん」
「ええ、お疲れさまでした!」勤は二人に手を振って二人も勤に手を振って別々の道に歩いた。
勤が電車に乗って一時間半後に家に着いた。家に着いていつもの通りに「ただいま」と言って帰ると妻の道子が「お帰りなさい」と出迎えた。靴を脱いで廊下を歩こうとした時「パパー、お帰りなさい」とドアの向こうから声が聞こえて近づいてきた。六歳の準司である。
「ただいま、準司!」いつもの賑やかさで勤は準司に挨拶をした。
「ご飯にしようか」と勤が準司に言うと「うん!」と言って喜んで食卓に向かった。
夕食後、準司が直ぐ様テレビの前まで行って見たかったテレビを見ていると勤は道子と二人で仕事のことについて話を始めた。
「ここ最近調子どう?仕事の方は?」道子は勤にそう聞いた。
「うん、順調だよ。セキュリティの機械開発順調に進めれているからな」勤は言った。
「そう、明日会社で飲み会があるんだっけ?」道子は聞いた。
「そうだな、明日の晩御飯外食するから準司と二人で食べてくれよ」
「分かったわ」
そして、勤は準司のそばに行き見たかった番組を一緒に見た。道子は長机のそばを離れず椅子に座ったまま遠い所からテレビを見ていた。その後の夜の時間を準司が9時になって寝かせてからも勤と道子はいつもの通り遅くまで会話をしたりして過ごしていた。
翌朝。いつもの通りに朝食を取り、歯を磨き顔を洗い服を着替えて時間通りに勤は出勤した。道子も準司を幼稚園に行かせるためにいろいろ準備をして車で送ろうとしていた。
「じゃあもう時間だから行って来るね」勤は道子にそう挨拶した。
「ええ、あなたも気をつけて行ってね」道子も挨拶した。そして勤は定刻通りに会社に向かった。
道子も準司を車に乗せて幼稚園に向かった。
朝の支度が終わって落ち着くと道子は家事の支度に取り掛かっていた。洗濯物を干したり、買い物の準備をしたり掃除したりと何の変化もなくいつもの通りに動いていた。
洗濯物を干して掃除が済んだ後買い物に出掛けようとしたその時だった。
突然電話が鳴った。何も考えず道子は受話器を取り「はい、三田原です」と返事した。すると思いもよらないことが出てきた。
「三田原さんの電話ですか?三田原さん、大変です!あなたの勤さんが撃たれました。今救急搬送され病院に向かっています。さっきイナズマ団という集団がうちの会社に乗り出してきて数人がケガをしていまして!」突然の出来事だった。道子は何のことか分からずパニックが起きたままだった。
「えっ!?どういうことです?何があったんですか?」道子は必死に誰か分からない相手に聞いた。
「私は勤さんと同じ会社の同僚です。すぐに警察が到着したところなんですが、さっきまでいたイナズマ団がどこかに消えて…。とりあえず勤さんが大変です!すぐに来てもらえませんか!?」急なこの出来事に道子も気が動転していた。何のことかよく分からず夫が大変なことになっていることが血の気が引いたように真っ青になっていた。
「分かりました。主人は今どこの病院にいるのですか?」
勤の同僚の人からの電話を頼りに道子は必要なものだけをカバンにしまい直ぐ様外に出ようとしたが、その時…。
ピンポンとチャイムが鳴った。そのチャイムに道子は違和感を感じた。こんな時に誰だろうかと。おそるおそる玄関のドアを開けると、すぐにフードの被った黒い服を着たドクロの仮面を被った数人達が目の前に立っていた。そして、ど真ん中にボスだろう、仮面はつけてないが茶髪で二十代の若男がすぐに立っていた。
「一体誰なんですか!?」道子が叫ぶとその茶髪の若男は銃を右手で構えた。
「もうじきあんたの旦那は死ぬだろうね。残念だったな。この家もめちゃくちゃになるかもね」
この男は二タッと笑いながら話し出した。
「何をするつもりなの!?すぐにでも警察呼ぶわよ!」
「そんな叫んでもらっちゃ次が危ないよ。次に死ぬのは目の前のあんただからね」茶髪の男はびくともしていない。
「あんたの旦那、余計なことをしてくれたからな。俺たちに対するセキュリティを作っていたと知ってね。それでこういう目になったってわけだ」茶髪の男は続けた。「この件に関してあんたも責任を取ってもらおう。そしてあんたの子供、いるんだろ?あらゆる情報盗み聞いたからな。さあ覚悟だ」茶髪の男は銃をカチッといわして道子に銃口を向けた。あまりの恐怖で道子は近所に助けを求めたくてもできなかった。もう終わりだ。そう思って覚悟していたその時近くでパトカーのサイレンが鳴った。
そして近所の人達も「誰だ!何をしてるんだ!?」と大声で叫んだ。パトカーも到着し、警察達も銃を構え「動くな!」と叫んだ。それに気づいたこの茶髪の男を始めこの集団達は銃を構えた。そして茶髪の男は上に向かって銃を発砲した。皆は「わっ!」と叫んだが、この集団達は逃げる準備をした。
「お前ら、引き上げるぞ」そしてこの集団達全員が何かの粉を撒き散らしドカンといって白い煙が充満し真っ白になった。周りの人達はゲホゲホといいながら手で大きく振った。
すると今さっきいた黒い服の着た集団達がいつの間にか姿を消した。あまりの衝撃と恐怖で道子は暫く座り込み動けなくなった。
「奥さん!大丈夫ですか!?」警察や近所の人達皆が駆け寄り道子を庇った。
「それより旦那が…旦那が」道子は立とうとしたが立てなかった。
「旦那さんが、どうかされたんですか?」
「旦那が、イナズマ団に撃たれたって」近所の人達や警察はそれを聞いて黙ってしまった。これは大変だと察しがついた。
「奥さん、深呼吸をしましょう。まずは冷静になって」警察の人が道子をまずは落ち着かせようと息を吸って吐いての繰り返しをはかった。そうやってようやく落ち着きを取り戻すと道子は意識を取り戻した。
「早く旦那のところに行かないと」道子はようやく立ち上がった。
「道子さん、その様子では歩けないですよ。私の車に乗りますか?」三田原家の隣の近所の奥さんが力になろうと手助けをしてくれた。
「えっ、いいんですか?」道子が聞いた。
「はい、遠慮なく乗ってください。私も同席しますので。旦那さんはどちらにいるのですか?」近所の奥さんが聞くと道子は旦那のいる病院を言った。
「道子さん、今すぐ行きましょう。旦那さんがそんなことになってるならいち早く行かないと」
「あっ、ありがとうございます!」そして道子は隣の家の車に乗せてもらった。
「三田原さん、事件について私達に任せて下さい。イナズマ団の突然の出現も調査を行いますので。またイナズマ団が出てこないように見張っておきますので」警察達も協力をしてくれた。
「ありがとうございます!警察の方も宜しくお願いします!」
そして隣の近所の奥さんが運転をして病院の方へと向かった。
およそ2時間かけてようやく病院にたどり着いた。直ぐ様道子は隣の近所の人と一緒に走って中へ入って行った。
一階の受付カウンターに行き「三田原と申します、旦那の勤はどこにいるんですか?」と必死になって言いそこから担当の人に案内され勤のいるところまで早歩きで急いだ。
着いた後、道子は外科医の看護師に「三田原勤の妻です!夫はどこに?」と必死になって言った。
「奥さんですか?今緊急手術を行っているところです。時間を用するかと」
「今勤は大変な状態なのですか?どうなのですか!?」
「落ち着いて下さい。手術の経過を見ないと分からない状況です。ただ言えるとしたらかなり深刻な状態だと言われています」道子は倒れそうになった。近所の人が支えてあげて看護師も道子を支えてあげたが、道子は気を失いそうになった。
「手術中」の明かりが消えた。中から勤の手術を行っていた担当の外科医達が外に出てきた。道子はいち早く出て担当の外科医に会って話した。
「勤の妻の道子です。夫の様子は…」
「あなたが奥さんですか?これを言うのも苦しい心境ですが…」この外科医は暫く黙り込んだ。そして言う覚悟を決めた。
「あらゆる最善を尽くしましたが、残念ながら先ほど亡くなりました」
沈黙が漂った。道子は顔が真っ青になった。
「そ…そんな…」
道子は泣き崩れた。床にしゃがみこみおもいっきり泣いた。近所の奥さんも道子の背中をさすってあげた。医療関係者達も黙り込み悔しがった。
セキュリティ会社はイナズマ団の突然の攻撃によりメチャクチャにされていた。楢崎とヴィジョンは無傷で無事だったが、他の従業員達はイナズマ団により傷だらけになっていた。それで救急搬送される人達が後を絶たない。
「三田原さん、大丈夫だろうか?」楢崎は勤が無事でいてほしいと心配していた。
「三田原さん…」ヴィジョンは勤の無事を祈っていたのと心配でいっぱいだった。
準司のいる幼稚園に電話がかかってきた。先生が話を聞くと「えっ!?」と驚いた。事情を詳しく聞いて理解した後、園長先生をはじめに先生全員に話を伝えた。
帰りの手前あたりに担当の先生が準司を呼んで先生と二人だけで話をした。
「準ちゃんね、今日お父さんとお母さんに何かあったみたいなの。ちょっと帰る時間が長くなるからここで帰りは暫く待っておいて、それまで遊ぼっか」担当の先生がそう言うと準司はうん!と言ってまたみんなのところへ戻った。
数日後、勤の葬式が行われた。勤の両親や道子の両親を始め親族や勤の会社関係者、準司の通っている幼稚園の先生達も葬式に出席していた。準司が勤が亡くなったことを知ったのはあのイナズマ団によるセキュリティ会社襲撃事件があったその翌日だった。最初は何のことかよく分からなかったが、後々になってからそのことを知ってお父さんが亡くなったことで悲しみとショックと寂しさで気持ちがモヤモヤな気持ちだった。
一部始終全て葬式が終わった後、楢崎やヴィジョン達会社関係者が白の花を置いてから道子の側まで来てくれた。セキュリティ会社の社長もそばに来て道子に挨拶した。
「道子さん、この度の事件から勤さんを守りきれなかったこと誠に申し訳ありませんでした」社長は道子に深く頭を下げた。
「勤さんは本当に勤勉で努力家で仕事をこなす頼もしい社員でした。大切な一人をこのような形で失うことになってしまったのは私の責任です。大変申し訳ありませんでした」社長がもう一度頭を下げると社員達も頭を下げた。
「いえ、そこまで丁寧に挨拶していただき本当に感謝しています。急な出来事に大変だったと聞きました。本当、大変だったと思います。他の傷を負われた社員達にも寄り添って下さい」道子がそう言うと社長はそのつもりでいますと言って話を続けた。
ヴィジョンは席を外し楢崎を呼び、今後のことについて話を打ち明けた。
「楢崎さん、あなたは今後どうするつもりですか?」楢崎はヴィジョンに目を向けた。
「どうするって…今後もここで勤務するつもりですよ。イナズマ団にやられたところは修復するしまた一からやり直そうと…」
「そうですか…まあそれも正解ですね。間違いではない。…でも私は…大学に戻ろうかと考えています」ヴィジョンは先のことを見据えた。
「えっ?、ヴィジョンさんまさか…辞めるんですか?」楢崎は周りを見渡してから小さい声で囁いた。
「ええ、私はここにいる資格がないと察しました。ただここで働き続けることも考えましたが、イナズマ団の襲撃で感じたことがあります。これではイナズマ団に乗っ取られるだろうと…イナズマ団がここまで強くなってしまえば社会全体が危うくなるだろうと」ヴィジョンはそう言うと、楢崎は少し黙り込んだ。
「では、大学に戻って何をしようと?」楢崎は聞いた。
「私はイナズマ団に屈しないセキュリティを作ろうと考えています。そのための研究をするために私が先頭に立とうと思っています」ヴィジョンは迷いがなかった。少し不安があってもイナズマ団の脅威に屈しない覚悟を決めていた。
「じゃあやることが多くなりますよね?何から始めたら良いやら。私も手伝うことがあれば言ってくれればいいかと」楢崎はヴィジョンに手伝えることがあればと思いそう言った。
「手伝ってくれることはありがたいです。でも楢崎さん、楢崎さんのやることをやり続けて下さい。私は私のするべきことをしていきます。あまり迷惑をかけるつもりもありませんから」ヴィジョンは楢崎に感謝は伝えたが、自分のすべきことに進めていくことを覚悟を決めていた。
数年後、三田原家は道子と準司の二人だけの生活を送っていた。和室に勤の仏壇が置いていた。最初は勤の父母も道子に協力をしたいと一緒に住まないかと言われたが、道子は準司は「私一人で育てていきます」と言って助言を断ったのだ。少し寂しくはなったが、道子のいろんな家事や仕事をやりこなし準司を支えていた。
土曜日の日のある日ピンポーンと家のチャイムが鳴った。道子が「はい」と返事すると「あっ、私セキュリティ会社に勤めています楢崎と申します」と言っているのが聞こえて道子がはいと言って玄関に向かいドアを開けた。
「こんにちは、セキュリティ会社に勤務してます楢崎と申します。どうしてもお伝えしたいことがあってお伺いしたしだいでございます」楢崎は挨拶をした。
「あっ、楢崎さんお久しぶりですね」道子も久しぶりの挨拶をした。
「本当にそうですね。あれ以来どうされてるか気になっていまして。今お話をしても大丈夫でしょうか?」楢崎がそう話すと「ええ、もちろんです。さあどうぞ」と道子が言って家の中を案内した。
「家の中汚くて申し訳ございません」と道子が言うと楢崎はいえいえ気にしてませんよと言ってリビングまで入って行った。
楢崎が勤の仏壇の前で鈴を鳴らし、手を合わせた。拝み終わると、道子の方を向いて話を続けた。
「大変お辛かったかと思います。私も会社内にいた時でしたからあの時のことを思うと大変辛いだろうかと」楢崎は道子を慰めた。
「いえ、もう私もあれ以来立ち直れていますので大丈夫です」道子はしっかりとしていた。
「そうですか。それなら良かったです。私も三田原さんのことを心配してましたので」
「そうでしたか、そこまで心配してくださってありがとうございます。楢崎さんもあれ以来大丈夫ですか?」道子も楢崎を心配した。
「私なら大丈夫です。今は何事もなく仕事を続けてますので」楢崎もそう返した。
「ところで息子さんはいかがされてますか?」楢崎は道子に聞いた。
「えっ、準司のことですか?」道子は聞いた。
「はい、実は息子さんにもどうしてもお伝えしたいことがあるのですが」
「そうですか、分かりました。二階にいますので呼んできましょうか?」道子がそう言うと楢崎は「ええ、お願いします」と言った。
「準司、楢崎さんが呼んでるわよ、一階に来てご挨拶しなさい」道子が一階から二階に向かってそう言うと準司は一階へ階段を降りてきた。準司はこの時中学一年生になっていた。
準司は一階についてリビングに来ると楢崎にこんにちはと挨拶した。楢崎もこんにちはと挨拶を返した。
リビングの机の椅子に楢崎と準司が座ると道子は三人分のお茶をお盆にのせて机に持ってきた。
「準司君、大きくなったね。今はおいくつになったの?」楢崎は準司に聞いた。
「十二歳です。次の十月で十三歳になります」準司はそう返した。
「そっか。じゃあ中学生になったんだね。僕のことは覚えているかな?」楢崎は準司にもう一度聞いた。
「ああ、はい。六歳の頃から覚えています」準司は答えた。
「そうか、あの時から覚えてくれてたんだね。あの時は大変辛かったね…」楢崎は準司を慰めた。
「…準司君にこんなことを言うのは難しいかと思うけど、話を聞いてもいいかな?」楢崎は準司の顔色を伺いながら準司に聞いた。
「…はい」準司が返事すると楢崎は鞄の中からある書類を数枚取り出し、準司の前に置いた。
「準司君はまだ中学生だからまだ先の事なんだけど、これ道保堂大学っていう私立の大学があるんだ。もちろん受験して合格しないと入れないんだけど、ここに理学部にいるヴィジョン勇一という教授がいるんだ。実はこの先生僕と同じセキュリティ会社に勤務していた人なんだけど、あの事件を理由に退職して大学でセキュリティの専門や理学に関する研究をしようと研究室を立ち上げたんだ。今ヴィジョンさんはあの脅威から身を守るためにあらゆる研究を続けているんだけど、あの脅威の集団を捕まえるためにも必死になってるんだ」楢崎は続けて詳しく説明を続けた。
「そこでなんだけど、脅威となっているあのイナズマ団を捕まえるためにそして身を守るためにあなたもヴィジョンさんの弟子になって理学に関する研究を一緒になって行動するというのを僕から進めているんだけど、準司君はどうかな?」楢崎の相談に準司はすぐに答えられる気持ちではなかった。イナズマ団を捕まえるための活動をしている?理学に関する研究?一体何を言ってるんだ?
「あのつまり…ヴィジョン教授という方に会ってあの集団を捕まえるためにこの大学を目指すように持っていくということですか?」道子が聞いた。
「はい、おおざっぱに言えばそういうことですね」楢崎は返答した。
「あの、それって…大変なことなんですか?準司にできるようなことではない程難しいことということですか?」道子はますます心配してきてつい質問した。
「まあ理系の学問を学習しますから、それについていけるかということですかね。理系に向いてるかどうかがカギになってはくるんですが、もし理系が得意なら話は早いんですが」楢崎は続けて話をした。
「まあちょっと難しい話をしてしまったなら申し訳ないんですが、準司君が将来目指すとしたらこれもどうかなと思って。もしまた違う道を進むなら無理にひき止めたりはしないので。ごめんね準司君。あまり難しかったならこの話はなかったことにするね。いろんな選択肢があるからそこは準司君が決めることにして…」
「楢崎さん」準司は楢崎を止めた。一つ決心がついたことが自分の心に火がついた。
「分かりました。その話に乗ることに決めました。僕、その大学を目指してヴィジョン教授という人に出会います」準司ははっきりと言った。
「準司、いきなり決めていいという問題じゃないのよ。楢崎さんもいろんな選択肢があるって先ほども言ってたでしょ」道子は準司を強く止めた。
「僕はパソコンも好きだし理系なら自分も興味はあるんで。楢崎さん、頑張って勉強してその大学に行きます。合格を目指します。ありがとうございます」準司は楢崎に感謝を伝えた。
「そっか。そう決心してくれたか。わかった。そこまで言えたなら僕からも応援するよ。道保堂大学は偏差値60ぐらいだけどそんなに難しくないから準司君なら頑張ったら合格できるよ。君のお父さんもセキュリティ会社に勤務してたから理系の頭脳はあったからね。僕からも大学受験のことについて手伝うことは手伝うから」
準司はありがとうございますと言って道保堂大学合格に向けて目標を立てていくのだった。