ヴィジョン教授の秘策の任務
ヴィジョン教授から渡された防具の装備が全員に行き渡った。皆がその防具の装備をつけれたのを再度確認すると各自また自分の席に座った。
準司がまだヴィジョン教授を探していたあの頃、将吾と一緒に葵を助けに行くために辰准教授から防具を手渡されて装備した後、手渡された新品の盾を左腕に取り付けてイナズマ団が立て籠っている近くの図書館に辰准教授も含めて三人で侵入しに行ったのを覚えている。
その時に装備していた首まで守れるようにできている防具を再び今取り付けていた準司と将吾は思い出してきた。あの時に取り付けていた防具をまた着られる時がきたと思うと二人は顔を自然と見つめ合った。お互い、喋らなくてもジェスチャーで交わし「うん」と同時に頭を上下に一回ふって返事した。
「皆、装着できたか?ではここから大学バスに乗って途中で普通の高速バスに乗り換える。大学バスがクルーズ船まで来てしまったとなるとそれこそイナズマ団に見つかる恐れもあるからであり、途中のバスターミナルで乗り換えてクルーズ船に行く方が賢明と判断した。バスの運賃は大学側が支払ったからお金は気にすることはない。目隠しは必要ない。今回は訓練所に行くとはわけが違うのでな。では準備できた者は忘れ物がないかを確認してから廊下に待機しなさい」ヴィジョン教授からの説明が終わったすぐ後に辰准教授が声をかけた。
「ではヴィジョン先生からの説明があった通り、廊下に出て列を作りますので並ぶようにしてください。忘れ物がないように確認してから廊下に出てください。それじゃあ確認できた人は僕の立っている所まで来てください。ではお願いします」辰准教授はそう言って直ぐに研究室から外に出て廊下に立って待機した。
そして準備できている弟子達は次々と廊下へ退出していった。準司達も準備ができたので、上級生達の後ろに並んで廊下に出て研究室を後にした。
辰准教授のいるところに年の順関係なく二列に並んだ。何故か緊張しているからか、わさわさとうるさくするわけでもなく誰も喋らず素直になって次の指示を待っていた。伏竜と灯田原は研究室のすぐ出口に立って全員を見守っていた。ヴィジョン教授は辰准教授に合流し同じ先頭に立った。
「それではまたあの秘密基地のバス停に向かいます。どこにあるのかはもう君達もお分かりだろう?そこまで行きます。バスは二台並んで私達を待っています。ただそこでまた私から説明をするので乗る前に私の指示を聞きなさい。宜しいね?では着いてきなさい」ヴィジョン教授が前にスタスタ歩き出すと辰准教授もペースに合わせて歩き出した。そして弟子達も歩きだしヴィジョン教授の跡に着いていき、その後ろに先程伏竜と灯田原の二人がドアの鍵を閉めて弟子全員の後ろに着いていった。
大学以外誰も知らない地下にある秘密のバス停にたどり着いた。以前は三台か四台ぐらいのバスが訓練所に行く時に並んでいたが、今回は二台の大学バスが縦に並んでいるのが見えた。
真新しい綺麗な高速バスのように銀色に輝いていて、中の座席も綺麗に仕上がっている。もちろん、大学の名前と道保堂大学のシンボルマークも描かれている。
「それでは今から説明しますが聞こえますでしょうか?」ヴィジョン教授は拡声器を使って一番後ろの人に聞こえるまで大きく日本語で話した。
「大丈夫だな?では今から説明します。前のバスと後ろのバスと今回は別れています。前のバスは三回生から二回生まで、後ろのバスは残りの二回生から一回生までの諸君が乗るようにしなさい。これは必ず約束を守ってください」ヴィジョン教授は少し間をあけた。
「私のことですが、悪いがどちらのバスにも乗りません。辰准教授の車に乗って別の道を通ります。これもイナズマ団を捕まえる秘策の為です…」
「えっ?先生!別の道を通るってどういうことですか?車って、それじゃあ船に乗れなくなるんじゃないですか?…」
「うん。いい質問をしてくれた。ここで私の作戦行動を説明する。辰准教授は車を降りてからクルーズ船に乗るようにはするつもりだ。だが私は、ある別の船に乗って豪華クルーズ船の跡を追うようにする。警察と連携して、海上保安庁の船に乗るつもりでいる」ヴィジョン教授の説明に弟子達はざわざわし始めた。ヴィジョン教授だけクルーズ船に乗らずに海上保安庁の船に乗るとはどういうことなのか?皆は未だに理解できないでいた。
「あのお、先生!どうしてそんなことするのかまだ分からないんですが…」二回生の女子が勇気を出してヴィジョン教授に聞いた。
「挟み撃ちにするやり方だ。中からイナズマ団を捕まえるのと他の乗客達の脱出と救出を図り、外からは別の船でその脱出した乗客達の救出を図るのとイナズマ団の攻撃阻止を図るという作戦をする為だ。だから私は外の役割を行うから君達は中からイナズマ団の退治とボスである十一番目の男を捕まえること、そして乗客達の救助と脱出の手伝いを図ることをやってもらう。ここまで説明したが、他に質問はあるか?」弟子達はいろいろと感情が複雑になってきた。
やる気満々になってきた人や、自信がなくなってきて顔色が真っ青になってきた人や、だいたい話の内容は分かったけどとりあえずクルーズ船に乗ってやってみるしかないと難しいことを考えずに聞いている人や、怖いけどやるしかないと覚悟している人などといった人もいた。
「先生、私からも一ついいですか?今からこんなことを聞いてもいいのか分からないですけど…本当に来るんですよね?イナズマ団は…もしイナズマ団に自分達がいるのがバレたから逃げたとか、最初からいなかったとかなってしまったらヴィジョン先生が計算を外したとかなるとこの計画が失敗に終わったら…」
「ミス丸岡、その事は心配ない。私の計算が間違っているというならば最初からこんなことをしない。警察にも言ったが私の計算は必ず当たるようになってる。時間と場所を確認して奴らの動きを観察できてる。もしそれでも信じられないなら実際に豪華クルーズ船に乗って確かめてみるといい。奴らは最初から皆殺しにする計画だ。だから逃げたりはしない」ヴィジョン教授は自信満々に力説した。
「じゃあ先生、その十一番目のイナズマ団はいつどこで何をして殺人計画をするつもりなんですか?」今度は三回生の男子が聞いた。
「前と変わらないだろう、爆弾は必須だ。荷物検査に見つからないように爆弾を仕掛けたり、銃撃で殺りまくるのは確かだろう。そしてその上船の下に爆弾を炸裂させてクルーズ船を水海に沈めさせて見殺しにするということも考えられる。時間は真夜中だ、昼間に爆弾を炸裂させればイナズマ団自身が完全に見つかるということもあるだろうから見えない真っ暗な時間に爆発させれば逃げ場もなくなる恐れもあるし、他の救助の船が爆発後に駆けつけても手遅れになる恐れもある」ヴィジョン教授の説明に皆は納得したような気持ちになった。
「先生は真夜中の時間でも別の船に乗ってクルーズ船を監視するんですか?」また別の三回生男子が聞いた。
「ああ、それが私の今回の仕事だ。複数の船がいつでも出港できるように警察と海上保安庁に伝達しておいた。豪華クルーズ船は東京湾の港で出港式が行われた後、沖縄まで各港に止まりながら航行するようになっている。その間どこで爆発するか分からないからこそ、万が一に備えて出港の準備をしているつもりだ。その計算も私が前もってしてあるから大丈夫だ」ヴィジョン教授は腕時計をわざと見た。
「というわけで、これが私の作戦だ。とりあえず時間が来たからまずは高速バスが停まっているサービスエリアに向かうぞ。先程も言ったが一番目のバスは三回生から二回生、二番目のバスに二回生から一回生までの諸君が乗るようにしなさい。高速バスに乗る時も一番目に三回生から二回生が乗って、二番目のバスには残り二回生から一回生が乗るようにしなさい。一番目のバスには炎の灯田原君が、二番目のバスには水の伏竜君が乗ってアナウンスの担当をしてくれる。指示はこの二人の盾頭に従うようにしなさい。いいね?…じゃあ皆各自バスに乗りなさい」
ヴィジョン教授が拡声器を降ろして話すのを止めると灯田原と伏竜は各それぞれ別れて二台それぞれのバスに向かい、大声で「では順番に乗っていくように!」と指示を出して先に乗る順番に弟子達は大学バスに乗っていった。




