表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戒告の盾  作者: ヨシ
83/88

デビュー当日の前に

翌日。準司は授業の終わりの時間の隙間を狙い、辰准教授にラインをして工藤部長に見舞いに行きたいと本音をそのまま伝えた。その時準司はおそらく返信してくるのは昼の時間かそれとも四限目の授業が終わった後かのどちらかに来るのかと予想していたが、何だか嫌な予感もしていた。

辰准教授も授業したり他のことで動かないといけないもあってラインを読んでくれないという場合もある。そんな時は、ヴィジョン教授にラインしていいのだろうかと少し気まずくなってきた。

しかし工藤部長もヴィジョン教授の仲間だから別にラインしてもいいんじゃないだろうかとふと頭によぎった。

とりあえず辰准教授にラインを入れておいていいかな。準司は素直に工藤部長の見舞いのことでラインを辰准教授に送った。


「たぶんだけど工藤部長はもう退院が近くなってきていると思うからそんなに見舞いに行きたいなら手紙を添えるだけでいいんじゃない?準司一人で行くのもあれだからやめておいた方がいいんじゃ…」昼食の時間になっていつも通りに三人で食事をとってる最中に葵は言った。正直準司以外二人は工藤部長の元に仲の良い友達や仲間達は見舞いに行っている為それ以外の人が見舞いに行ったという話を聞いたことがないし、工藤部長本人はおそらくあの性格だから素直に喜びはしないだろうと予想はできていた。

「俺も葵と同意見かな。確かに工藤部長の無事帰還ができることを祈ってはいるけど、あの人のやり方もあるし、しかも三回生で上級生だから俺達一回生が見舞いに行くっていうのも何だかおかしく思うな」将吾は箸を止めて準司に説得したくて説明するように話した。

「…そうなんだ。じゃあ二人が行かないなら俺だけ行ってもいいのは確定だな」準司はそれでも曲げなかった。

「準司、まだ諦めてないの?私達目の前の任務が後もう少しで迫ってきてるというのに工藤部長のことは考えなくていいんじゃないの?…」

「そうだよ準司。俺達のすることはそのイナズマ団を捕まえることだろ?何でそこまで工藤部長のことを気にするんだよ?」葵も将吾も準司を止めたくなった。

「工藤部長の様子が心配な上で次のクルーズ船に行くことの方が余計に気分が悪くなるよ。工藤部長がどうしてるか気になるぐらいなら見舞いに行く方がまだいいに決まってるじゃん。前にも言ったと思うけど工藤部長も俺達仲間の一人だ。しかも部長だし。一番のリーダーを放っておいて自分達だけで行くことの方がなんかおかしいと俺は思うけどな」準司はここまで喋ってしまった分ガツガツとご飯を食べ続けた。

「準司、お前ひょっとして…工藤部長のことが好きなのか?」将吾が冗談半分で準司に聞くと準司は味噌汁を飲んでいる途中で詰まってしまった。ゴホンゴホンとむせてしばらくは止まらないでいた。

「おい、将吾。びっくりさせんなよ。そういうわけじゃなくてさ…」準司はぷーっと吹いてしまったものを自分のハンカチで拭きながら将吾に話した。

「俺はそういう大事にする人だっていうことなの。どんな人にでも差別することなく大切にしていくのがモットーだからね」準司は拭き終わった後、将吾にそう言って食事の続きに戻った。

「準司のそういうところが、お人好しっていうの」葵は準司にそう分かりやすく翻訳した。

「お人好しっていうより、真っ直ぐな人って言ってほしいな…」

「お人好しっていう言い方の方がしっくりくると思いますけど」準司が言い返そうとすると葵も負けていなかった。

「まあまあ二人とも、お互い意地を張り合うなって…」将吾が二人を止めようとしたその時、準司にラインの音が聞こえた。

「あっ、もしかして…」準司はすぐさまスマホを取ってラインを開いた。やっぱり辰准教授からのラインがきていた。

「辰准教授からだ。忙しい中でラインしてきてくれたみたいだな…」

「でもラインができるのはこの時間じゃない?昼御飯の時なら時間が空いてると思うから」葵がそう予想すると準司は辰准教授のラインを二人に聞こえるように読んでみた。

『三田原君、君の要望を読ませてもらったよ。浅倉さんや松田君も一緒なんだな?要件はわかった。そこまで工藤さんの見舞いに行きたいなら私からも連絡しておくよ。ただ本人がどう答えてくるかに寄るけどね。本人が来なくていいって言ってきたならそこまでだろうしそれは分からない。とりあえず工藤さん本人に聞いておくよ。また分かり次第君に連絡しておくからしばし待っててくれ 辰』

「連絡くれたじゃん?まあクルーズ船に乗る当日までまだ時間があるし、急がなくていいじゃない?」葵は気楽に言った。

「工藤部長はどう返事するだろうね?えええ、嫌だあって言ったりして」将吾は過去に工藤部長の性格を見てきたためあえて逆を考えて想像して言った。

「工藤部長っていう人って案外冷たい人かもな。もし断るって言ってきたらまだまだ子供みたいな人だろうし。普通なら大学生にもなっているならありがとうって言うんだけどなあ」将吾がそう言っている時、準司はようやく定食を全て完食した。冷たいお茶を飲み干してからようやく話に乗った。

「どうだろうね。そんな人だったらあの人の考え方ってそんなに幼稚だったら部長の座にいてられないよ。そこまで質が悪いのかなあ。だからさ、俺達で工藤部長の病院まで行って確かめてみるのもいいかもな…」

「行くならあいつを誘ってみるか?坂本のことだけど」将吾は冗談交じりで聞いた。

「いやぁ、やめといた方がいいよ。あの性格じゃあ工藤部長もさらに嫌がるかもしれないからね」葵はビシッと止めた。

準司はスマホの画面を触れて時間を見た。次の授業まであと十分を切った。

「ん?あれ?やベエ。もうこんな時間だった。次の授業に行こう…」

「そうだね。急ぎましょう…」

「おう」三人全員が完食した食器をお盆にのせて洗い場まで行ってご馳走さまでしたと挨拶を言ってから外に出て次の授業に向かった。


再び辰准教授からラインがきて、『工藤部長から連絡がきて、ちゃんと静かにしてくれるなら来てもいいって言ってたから守ってくれるなら見舞いに行ってもいいよ』と返事があったため準司は急いで二人に連絡し、その上もう一度辰准教授に『工藤部長はどこの病院で何時から何時まで面会時間なのか』と連絡をして返事を待った。


そして数日後、辰准教授の情報を元に準司は二人にラインを送った。

三人全員で工藤部長のいる病院に向かうその前に葵が近くの花屋さんに行って見舞い用の花を買ってから行くとラインがきたので準司と将吾は葵の返事を待った。葵が花を買ったとラインがきた後、三人が集合場所を決めて合流し、葵が入院していた場所とは違い、また少し遠くなるかもしれないと葵が言っていたのでまた違う国立病院へ鉄道を使って向かった。

葵と将吾は普段歩きでいつでも鉄道かバスに乗れるようにできているため準司は自転車をあえて使わないようにして二人と一緒に歩きで最寄りの駅まで向かった。

三人とも電車に乗って移動するのはいつぶりなのかというぐらい久しぶりだった。

電子カードで改札口を三人が通り、電車に乗ってその国立病院に向かった。


その駅に下車した後、国立病院までそんなに距離は遠くないため三人がスマホで調べて場所を確認しながらここは歩いていった。


工藤部長のいる病院にたどり着いた。他にも前回の事件でまだケガしている人もいると聞いているのでその場合は声かけしてあげる形で元気づけようと三人は考えた。

工藤が寝ている所はどこかと受付の人に聞いて、受付の人が案内してくれると後はどこにいるのかが把握できると三人は迷うことなくその階に向かうためにその入院専用のエレベーターに乗った。

七階にたどり着いた。七階の入院受付カウンターに行って看護師に事情を言うと「こちらです」と案内されて三人はその後を着いていった。

廊下を歩いてそこまで向かっていたその時だった。その担当の看護師について行こうとしている身長の高いメガネかけた髪を一つくくりにした美女が部屋から出てくるのを三人は見かけた。

これからリハビリにでも行くんだろう。そう思って三人はその場で自然と立ち止まった。そして向こうのその女性も三人と目があった。

「えっ!?」とびっくりして声をあげてしまった。

「…あんた達、この日に来たの?」目を丸くしたまま工藤薫はじーっと三人を銅像になってしまったかのように見つめていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ