久しい部会
翌日、準司は二日酔いにならなくて済んだのは良かった為、いつも通りに授業に出席しいつも通りに葵と将吾と合流して一日のする事に集中していた。
土曜日の修業で使い手が一緒だったりそうじゃない人達とも出会ったりして何だか三日ぶりに授業に戻ってきたというのに何だか久しぶりの授業に戻ってきた感じがしていた。
「三日ぶりにいつも通り授業に来てるのに何だか久しぶりって感じしない?」葵は素直な気持ちが隠せなくなった。
「本当だよな。土曜日の修業に参加したから三日ぶりに授業に来たって感じしないよな?まるで夏休み一ヶ月が過ぎて授業に来たって感じがする…って思ってるの俺だけ?」準司は素直な気持ちが葵と同じ隠せなかった。
「いや、俺もそう思ってるよ」将吾も二人と同じ乗った。
「私もそう思うよ。準司一人だけが思ってないよ。たぶんヴィジョン先生の弟子全員が思っていると思う。あの二日前の修業で相当体力使ったでしょ?あれ修学旅行に行ってきた感覚と同じかもしれないよね」授業の部屋全体にヴィジョン教授の弟子達がちょこちょこ座っている人達を見て眺めながら葵は感想をのべているように話した。
「みんな昨日はぐっすり眠れた?」将吾は珍しく二人にそう聞いた。
「うん、俺は睡眠ぐっすり眠れたから疲れ一気にぶっ飛んだよ。…葵は?」準司が将吾の質問を翻訳したように聞いた。
「私もだよ。二日酔いするかって心配は多少してたけどそんな心配はないみたい。何だかあれから夕暮れ時に眠気が出てきたから早く寝ちゃったかな。…ところで将吾、その質問何だか珍しいじゃない?なんでそんなこと聞くの?」この質問を投げかけた将吾に葵は長机の椅子の端から将吾に聞いた。
「なんでって?…えっ?俺何か変なこと言った?」将吾は二人を交互に見ながら焦り始めた。
「いやいや、何も変なこと言ってないよ。やっぱり深島さんと出会う前と後の将吾は何だか違うなってそう思っただけ…」
「うん、俺も同意見」葵の返答に準司も乗った。二人とも将吾に向かってにんまりとわざと笑顔を見せてあげた。
「まあ確かにいきなりは言わない方がいいという準司の意見と同じだけど、いつかは恋が実っていければいいもんね。あっ、でも将吾。他の人も深島さんのことを好きだって言っている人もいるかもしれないからなるべく早くお付き合いしておいた方がいいかもね」葵がそう言うと将吾ははっと目が覚めたかのようにそういえばと思い出したようだ。
「そっか。深島さんって俺たちの年代より年上だもんな。やばい、もしかすると社内恋愛してるかもしれないよなあ。うわあ、もしそうだったら恋物語は夢のままに終わるかもしれないってこと?」将吾は再び二人に振り向いて聞いた。
「いや、俺に聞かれても…」
「うん、私も…どうしてあげたら…」
その時、チャイムが鳴った。皆学生達がいつの間にか満席に座ってきている。同時に統計学の教授が入ってきた。
「はーい、では授業を始めまーす。プリント取りに来てください」皆全員、教卓に向かい今日の行う授業用のプリントを取りに行った。
四限目の授業が終わった。昼食、理学に関する授業を無事受け終わった三人はようやく授業全部終わったと解放感に包まれながら、いよいよ待ちに待っていたヴィジョン先生の部会の研究室に向かっていった。この日に、ついに次の新たな任務がヴィジョン教授から発表される。ただ遊びに行っているのと違うのは分かっている。ここからもあの事件と同じようなことがイナズマ団はやろうとするのか、それともそれ以上にまた最悪なことをやろうとしてくるのか。緊張感を出したくてもなぜか出てこなかった。情報が完全に聞いていないからか、どんな危険なことが待っているのかを感じ取ることが準司には感じ切れていなかった。
やっと研究室にたどり着いた。奥まで三人が進んでいくと、研究室の中は少し賑やかになっていた。中に入ると次の任務のことをヴィジョン教授から話されることから合格者達は待ち遠しくしていた。
三人が全員が使う大学の教室みたいな広い部屋にいつも通りに入っていくともうまだこんな時間なのに満席になったのかというぐらいほとんどの人達が部屋に着いていた。ここに来るのもなぜか最後の金曜日の授業が終わって、そして土曜日に誰も知らないあの場所で修業訓練をしていたというのに今日という月曜日になってもまるで夏休み一ヵ月後に来たのかというぐらい久しぶりに戻ってきた感じがしていた。
まあ定期部会は毎週月曜日に行われる為一週間後に再びここに戻ってくるのは何だか久しぶりに感じてもおかしくはない。
三人は一週間ぶりにいつも使っている左前の机椅子にたどり着くと鞄を机の上に置いた。すると葵は急になって準司達二人にこう言った。
「あっ、二人は自由にしてて。私、先輩達に行かないといけないことを思い出して…」
「えっ?何か約束事でもできたのか?」準司が聞いた。
「うん、皆藤先輩達にお礼を言いに行きたくて三人の先輩達がいなかったら私ももしかしたら合格できなかったかもしれなったかもしれないから、だからお礼に言いに行かないと…」
「そっか、そうだな。葵も先輩達と仲良くなれたことは良かったんじゃないか?そういう機会もあっただろうし。何かで助けてくれたならそりゃあ言いに行かないとな。うん、行って来いよ」準司は葵にそう言ってあげた。
「うん、時間が来たらまたここに戻ってくるね」葵はそう言って早速同じ炎の使い手の二回生先輩の皆藤という女子大生のところへ向かっていった。
「…俺も宮岡さん達のところに挨拶しに行こうかな。あの人達は合格したんだろうか?俺見てないから分かんないけどな」準司は時間を気にしていた。
「…俺も挨拶しに行こうかな?草の使い手の人達も合格不合格がはっきりしたしな。ただ不合格者の前に来て挨拶しに行ったら機嫌が悪くなってしまうと何だか止めといた方がいいかなって思ってきたりするな…やっぱりやめておこうかな」将吾はあの修業のことで申し訳ない気持ちが湧き出てきた。
「将吾のところも何かあったのか?」準司は聞いた。
「うん。準司が言ったように合格者不合格者がはっきりと半分半分に分かれたって言ってただろ?それ、俺たちのところもそうだったんだ。全員の人数は案外少ないけど、その中で半分にはっきりと分かれたな」将吾は鞄を下に置いてから机の上で腕を組んでわざと横に寝たような姿勢にした。
「…だったら、俺も挨拶はやめておいた方がいいかもな。たぶんあの宮岡さんのグループは六の技まで行けなかったかもしれないし、それで怒りそうな感じかもな…うん、やめておこう」準司は時間がくるまで将吾と会話を続けた。
午後五時のチャイムが鳴った。皆全員自分の席に座っていった。葵も準司達のところに戻ってきた。準司の隣の席の坂本はまた遅刻している。準司が坂本の大変さに気にかけていたその時に坂本が入室してきた。走ってきたのだろう、息が切れているのが分かる。
「坂本、この時間は本当に大変なんだな」汗をかきながら息が切れている坂本に向かって準司は気にかけた。
「いつも遅刻で悪かったな。実験とか観察とかで忙しくて仕方がねえんだよ」坂本は服を手で風を送った。
そう間もない時に、いつの間にかヴィジョン教授が入ってきた。そしてその後に水の盾頭の伏竜と炎の盾頭の灯田原が入ってきた。重大な話をここで話すのだろうと思うと皆は緊張感が一気に高まってきて急にシーンと静かになった。
「皆諸君。先の土曜日の修業、お疲れ様でした。そこで色々合格不合格が出てしまったかもしれないが、すまないがあえて厳しいことを言わせてもらう。使い手問わず、合格者全員は次の任務に行ってもらう。次の任務となる場所の舞台は…」ヴィジョン教授はA四サイズの分厚い紙をファイルから取り出して、皆に見えるようにして片手で見せた。…よく見るとクルーズ船の写真が見える。
「この船を見たことはないか?超大型クルーズ船ビクトリアプリンセス号だ。このクルーズ船に合格通過者は全員乗ってもらう。話が済んだら乗車チケットを配っていくからそのつもりで」ヴィジョン教授がそう言うと皆は「クルーズ船?」とざわざわしてきた。この船にイナズマ団が出てくるのか。この大型クルーズ船を見て、皆はまさかとだんだん不安と緊張が走ってきた。不合格者はただただクルーズ船の写真をぼうっと見つめているだけだった。




