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戒告の盾  作者: ヨシ
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様々の帰還

午後六時手前の時間までようやく皆全員で修業に必要な機械の道具類を全て片付けることができた。まだ夏の季節というのもあってこの時間はまだ日が沈んでいない。鈴虫が鳴り響き始めた頃にもう一度伏竜は集合の合図をして皆全員が集まり、また同じような話を少しだけ話した。

「君ら手伝ってくれたのは感謝する。もう少しでバスが出発するらしいがすまない。もう一度話したいことがある。繰り返ししつこく言うが、六の技の習得できた人できなかった人揃って来週の月曜日の定期部会で大事な話がある。そこでヴィジョン先生から次の任務のこととこの修業をしなければならなかった理由を話されると思う。そこでどういうことなのかが分かるだろうな」だんだんと夕方の時間が濃くなってきたように夕焼けに照らされながら伏竜は大事な話を手短に話したかったがそうもいかなかった。

「残念ながら三十一人中十五人という半分しか合格できなかったという結果になった。そういうことになってしまったなら次の任務に重大な問題になってくるだろうな。不合格の十六人、ただ覚悟はしておけ。十五人しか行けなくなったせいで次の任務に大きな障壁が出てきてしまったというのは必須になってくるからよ。ヴィジョン先生から秘密の話については次の部会が来るまで話すなと言われたから無理だけどな、本当言えば全員が合格をしてほしかった。ただもうこういう結果になってしまったのは受け入れるしか言いようがない。ただ十六人の不合格者よ、次の修業で六の技が習得できるまでのし上がってこい。それぐらいの勢いがなければイナズマ団と戦える余裕などない。いいか?やる気がないなら退部処分も考えられてくる。その覚悟もいいな?」伏竜の緊迫した話で十六人の不合格者たちは申し訳ないという気持ちが段々と沸き上がってきた。皆はしばらく黙ってしまった。誰も話せなくなった。

「もう時間になった。俺から話すことはもうない。帰りは他のタイプの人達と合流してバスに乗り込みなさい。大学に帰還だ。おそらく帰りは夜の時間になるだろう。合格者はよくやった、次の任務も宜しく頼む。ではこの修業の時間を終わることにする。バスに移動するぞ。はい、解散」伏竜が言い終わるとすぐに走るようにバスの方へ向かっていった。その姿は学生全員を捨てて帰っていくかのようにさっさと出ていった。水の使い手の学生全員は盾を左腕に着けたまま伏竜が向かった方向に向かってゆっくりと歩き出した。もう時間がないのに自然と早歩きができなくなっていた。不合格者になった人達が特にそうかもしれないが合格者もショックを受けているのだろう。次の任務でイナズマ団と戦わなければならないのになんでこんな時にこれだけの人数しか行けなくなったのか自分達も責任があるとじわじわ感じてきた。教える側も物足りなかったのかもしれないし、逆にまだ六の技まで行けなかった人達は自分の力不足で皆全員で次の任務に行きたかったのに申し訳ないという罪悪感が沸き上がってきていた。

皆はそれでも一言も話せなかった。ショックが大きすぎていろんな重責感がのしかかってきた気持ちだった。


あまりの重責感を背負った気持ちでのろのろとバスが留まっている停留所までたどり着いた。その時に他の使い手の人達も互いに話し合っていたり何か考え事をして大学バスに乗り込んだり、あれは目標を達成した人達なのか数人の男子たちが喜びあって語り合っているのが見えた。炎なのか岩なのか、あの明るい盾の色はおそらくその使い手かもしれない。

準司がしょんぼりしている水の使い手の人達の一番後ろに並んで大学バスに乗り込もうとしたその時、誰かが準司を呼びかけた。

「準司ー!ちょっと待ってー!」葵の声だ。すごい元気で明るい声に聞こえた。

「おお、葵!そっちはどうだった?うまくいった?」準司は聞いた。

「えっ?ああ、うん。応用の技に盾の舞の技でしょ?全て合格できたよ。準司は?」葵も聞き返した。

「俺は何とか合格できたな。六の技が応用の技だけどそこまで合格できなかったら不合格みたいで。でも俺、六の技まで合格できたから次の任務に同行できるって伏竜さんに言われた。もちろん盾の舞の技も。良かったな、葵。俺たち次の任務に行けることになったな。…あれ?将吾は?」準司はそういえばと今気づいた。

「ああ、将吾ね。私も探してはいるんだけど、草の盾頭の深島さんに教わってどうしたのか何だか心配ね。一体どこに行ったんだろう…ってあれ?あれまさか…」葵はすぐに気づいた。あの体格が少し広いあの男は…。

「おーい、将吾!こっちだよー!」葵がそう大声で言うと将吾はハッと目が覚めたかのように我に返った。将吾はすぐ様急いで二人の元に小走りで向かっていった。

「将吾、あれ以来どうだった?合格できた?」葵は聞いた。

「ああ、まあ…何とか合格できたよ。…うん」将吾は何か他のことを考えているようだ。

「『盾の舞』の技の習得はちゃんとできた?」葵はついでに聞いた。

「『盾の舞』?ああ、あれ?うん、ちゃんと合格できたよ。いやあ本当に深島さんのおかげかな」将吾は仕方なく本音を漏らした。

「おかげって?」準司は聞いた。

「いやあ、それは…深島さんのあの優しいやり方で教えてくれたからやる気がみなぎってきた…なんてね」将吾は段々と顔が赤くなってきた。

「もう将吾って人は。深島さんのことが好きでたまらなかったんだよね?」葵はにんまりとわざと笑顔を見せた。将吾はさらに赤くなって湯気が出てきそうだった。

「そっか。まあこれで三人とも次の任務に行けるから良かったじゃん。そっちの使い手の盾頭の指導はどんなやり方だったか分からないけど、うまくいったんだろ?もし不合格だったら大変な様子だったと思うよ。とりあえず、バスに乗ろう。席は自由に乗れるんだよね?」準司は聞いた。

「そうね、とりあえず乗りましょう。これまでの修業のことを中心に話そうよ。私も話したいこといっぱいあるから」葵は話したいことがたくさんあって気持ちがワクワクしていた。そして三人は一番後列に走る大学バスに乗り、空いている場所の席に横に並んで三人は座った。

やっと寛げたと自由になって開放した気持ちになったその時、あの男が一人で三人を追いかけてきて三人の席に座ろうとしていた。

「坂本?…お前も修業が終わったのがぎりぎりだったのか?」準司は聞いた。

「おう。おめえらに話したいことがたくさんあってよ。このバスが大学に着いたら話せる機会がないか?…」

「気持ちは分かるけど、明日の日曜日に話し合うってどうだ?それだったらできるけど」準司はそう提案した。

「日曜かあ。まあいいだろう、そん時は休みにしてるし。三田原も休みなのか?…」

「午前の時間帯がバイト入ってるから午後からの時間だったら有り難いかな?その時間からならどうだ?」準司は坂本だけでなくみんなにも聞いてみた。

「いいよ。じゃあそん時に話し合おうじゃん。場所はどこで話す?」坂本は将吾の隣に座るようにして、準司は葵の隣に座った。それで準司は坂本と隣にして座った。

「俺のうちに来る?俺の家、坂本は知ってるだろ?」準司は坂本に聞いた。

「ああ、知ってるよ。一回お前んとこの家に覗きに行ったことあるだろ?忘れたとか言わせないだろうな?…」

「ああ、そっか。一回プリントのことで俺のところに来るようにと言って誘ったあの時のことだろう?…」

「そうだよ。それでお前の家ぐらい覚えてるさ。じゃあそこで四人で話すってことか?」坂本が大事なことを聞いた。

「うん。そうだな。葵もそれでいいだろ?」準司は葵を気遣った。

「まあいいけど。でも以外と珍しいね、話し合いたいって初めて聞いた。悪口大会にならない程度にしてよね?坂本さん」葵はわざとさんづけで返事した。

「分かったよ。酒癖が悪かったら注意でもしてくれよ」


そしてだんだんとこの時間まで最後まで修業していた残りの上級生達が一気になだれ込んできた。多少は賑やかになってきたが皆等しく修業でへとへとに疲弊していた。疲れがたまるのは皆誰でもわかりきっていた。

「あっ、そういえばここで話すことができなかったんだっけ?」葵はハッと気づいた。

「そうだな。ヘッドホンと目隠しをまた配られると思うよ。イナズマ団に見つからないようにしないようにさ…」

「何、ちょっとぐらいいいじゃねえかよ。この日のことを今のうちに話し合う機会ここで作ろうぜ」坂本は調子に乗った。

「…んでこいつ、さっきから何してんだ?何か気持ち悪いな。こいつに何かあったのか?」坂本は将吾をようやく初めて見てやっと気づいた。

「いやあ、まあ…将吾が内緒にしてくれって言われたからどうも言えなくてさ…」

「何だよ、めっちゃ気になるじゃねえかよ。それでも言えないのか?」準司は将吾を庇っても坂本はしつこく聞いた。

「まあそのことはここでは言えないからさ。明日に話すよ。いろいろと明日になって話せるようにしただろ?」準司は坂本を落ち着かせた。

「ふーん、まあ何のことかよく分かんねえけどとりあえず明日宜しくな」

「はーい、皆さん。この度の修業お疲れさまでした!こんな時に大変疲れているかと思いますので、ヘッドフォンと目隠しを配っていきますので今まで通りに守ってくださいね!それじゃあ配っていきますので椅子に座って待っていてくださーい!」準司達が話している間にアナウンスがいきなり出てきた。もう修業が全員終わったということか。それにしても皆相当大変だったんだろうな。本当お疲れ様だな。

準司がそう思う中、いよいよ大学に帰る準備を皆はしていた。


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