技修業の終盤
やっと準司が四人目の合格者となってしばらく休憩してから十五分以上は経過した時だった。準司はようやく立ち上がることができて、桐原と増田にも挨拶しに行こうとした時でもまだ五人目の合格者が誰もいなかった。というより準司に続いてテストを受けに来た人など誰もいなかった。
そういう訳で、伏竜は一旦中の建物に入って他の皆の様子はどうなのか確かめに行った。
準司はまだ機械のそばに座っている桐原と増田に話しかけに行き、お疲れ様ですと合格できたことに褒めたたえようと挨拶しに向かった。すると桐原と増田は何かといろいろ話し合っている最中だった。
「桐原さん、増田さん。合格おめでとうございます。今僕も終わったところでして…四人目の合格者に認定されました」準司はあまりこれらの上級生とは話さない具合なので、控えめに落ち着いた雰囲気で二人に報告した。
「ああ、確かにそうだったよな。伏竜さんの声で聞こえてたよ。良かったな、これで今日の修業の全てを俺たちやり切ったということだよな。三田原君もおめでとう。これでまずは一安心だな」増田はハイテンションになるわけでもなくただ落ち着いた表情で準司に控えめに褒めた。
「私からも。三田原君おめでとう。六の技のテストに合格できたなら次の任務にも参加できるよね。でもまだ一回生だというのにここまで習得できたなんてすごい奇跡を起こしたみたいじゃん。体力相当鍛えているのね。私その時すごく体力消耗してたからしばらく動けなくて三田原君のテストを見れなかったのは本当ごめんだけど、本当よく頑張ったね。おめでとう」桐原は一回生をここまで褒めたのはこれが初めてかもしれないと自分でも思っていた。準司は「ありがとうございます」とお礼を桐原に言うと後ろから霧林が駆け寄ってきてくれた。
「いやあ、先輩達は見てなかったのは僕も見てましたけど僕は三田原君をずっと見てたんです、本当凄かったですよ。ちゃんと『盾の舞』から『六の技』を教わった通りに披露していて全て飛んでくるボールを全部弾き返せたんで良かったです。最初は、ねっ?三田原君は『盾の舞』に集中してばかりだったから伏竜さんが『六の技』を見ているのになんで『盾の舞』をやっているんだって、そこだけ注意されてはいましたけど『六の技』を繰り出せた後にボールを全部遠くへ吹っ飛ばしてましたからちゃんとできているんだなって。最初は三田原君はまだ一回生だから体力的に厳しいんじゃないかって思ってましたけど最後まで耐え抜きながらやり切ってましたから、見直しましたよ」霧林はまだ準司のテストに感動が満ち溢れていた。
「そうなんだ。まあでもあそこまで耐え抜けたなら三田原君もすごいじゃないか。俺もその時を見れなかったのはごめんだけど四人目の合格者と認定されたなら大いに俺からも褒めていいかな?おめでとう、次の任務も宜しくな」増田は開き直って準司に褒めようと恥ずかしながらそう伝えた。
準司は「ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします」と頭を一回下げて増田にもお礼を言った。
「四人が合格したんだよな?でっ、五人目以降の挑戦者っていないの?」増田はそう言えばと思いついて皆に聞いた。
「伏竜さんもいないってことは…あっ、あれってもしかして…」桐原は建物の中が騒がしくなってきている様子を見て皆が見えるように指を指した。
「あっ、あんなところに伏竜さんがいるじゃん?ということはまだ五人目の合格者がいないってことかな?外で修業まだしている人もいるし、中は賑やかだし…合格した人達はどうしたらいいんだろうね?」増田はようやく休憩して回復してきているのが分かると動けそうになってきている。
「先輩二人さん、伏竜さんのところに行ってみます?」霧林は聞いた。
「行ってみようか?六の技の合格者は次に何をしたらいいですかって聞いてもいいだろうな?…」
「ちょっと、聞きに行ってみる?みんなで?」増田の質問に続いて桐原も聞いた。
「はい!」霧林と準司が返事した。
「じゃあ行ってみるか」増田が立ち上がると桐原も立ち上がり四人揃って伏竜のところに向かった。
中はすごく賑やかになっていた。四人が初めて来た時は誰もいなかったのにこんなに人が溢れかえっていた。六の技の習得までまだ五の技を習得するところの人や盾の舞の習得を目指すために苦戦しながら修業をしている人達もいれば、皆必死だった。
「今が踏ん張りどころね。あともう一息で六の技まで習得できるところに来ているところなんじゃないかな?」桐原は皆の様子を観察していた。
「今、伏竜さんに邪魔したらダメな様子かな?俺たちも手伝うってしていいのかな?」増田は聞いた。
「分からないですけど、一応伏竜さんに聞きに行った方がいいんじゃないですか?」準司が聞いた。
「うーん、そうだなあ。じゃあ聞きに行こうか?」増田がそう言うと四人とも伏竜のところに駆け寄った。
「伏竜さん、忙しい中申し訳ないんですけど…僕ら四人の合格者は次に何をしたらいいんですか?」増田
が伏竜に聞いた。
「ん?おお、そうだ!君らが手伝ってくれればいいんだ!確かに暇をつくるのは避けた方がいいな。君らも先生役になってこの皆に役割分担して教えてあげたりすることできないかな?…」
「僕らが先生役にですか?」増田は聞いた。
「ああ、見た通り人手が足りないんだ。だから四人は合格通過者だから教える側に回ってほしい。できるだろ?」伏竜は今教えながら四人に聞いた。
「分かりました。教えるのはできますが、向こうの六の技の機械とかまだ外で修業している人達をどうしたらいいんですか?あれ見過ごすわけにはいかないのでは?…」増田が聞いた。
「ああ、そうだな。外の方はまだ五の技を完成できていない人に教える人と六の技の機械を見守る人の二人はいてほしいな。そして、中の方で『盾の舞』を教えるのと『六の技』を教える側の二人はいてほしい。この四つの役割を四人誰でもいいから君らが決めてくれ…」
「分かりました」
そういうわけで四人が話し合った結果、桐原はまだ外で修業を続けていて中に入れていない人達に教える指導係に回り、準司は盾の舞を教える側に回り、増田は六の技を教える側に回り、霧林は六の技の機械の操作を伏竜から教わってもらった上六の技のテストの見張りをする側に回るといった形でまだ六の技まで合格していない人に見守ることにした。
午後五時手前の時間に押し迫った。伏竜は笛を鳴らして皆に伝達した。
「はーい、そこまで!皆!外の場所にいたところに集合しろー!」皆はのろのろと最初にいた場所に戻っていた。
「はい。もうこの景色の通り、夕方になってきてます。六の技まで合格した方は俺が言った通りにできたということなのでよく頑張りました。お見事です。ただその裏で合格にたどり着けれなかった人達は言って悪いけれども残念ながら次の任務に行くのは危険とみなしたため六の技が習得できるまでここで後日になっても修業してもらいます。時間がある時にまた俺から連絡しておくのでそのつもりで」伏竜はボードの紙を見て確認をした。
「少しあえて聞かせてもらうが六の技まで行けなかった人、手を挙げろ」すると数人の男女が手を挙げた。
「二つ目の質問、六の技の修業までは行けたけど時間切れで不合格だった人、手を挙げろ」次はすごい人数だった。中にはそれで悔しがっている人達は何人もいるだろう。
「三つ目の質問、逆に合格者を確認したい。どれぐらいいるか手を挙げてくれ」準司や霧林に増田や桐原は手を挙げた。四人も交じって、数えたら十五人はいた。
「うん、ここに書かれてある人数と一致してるな。これで確認できた。三十一人のうち、十五人が次の任務に行くことができるということになった。来週の部会の時にヴィジョン先生から大事なお話がある。俺からは言える立場ではないが当本人から話してくれるからよく聞いておくようにしてくれ。…不合格の人も悔しい気持ちは分からなくはないが不合格の人も部会でヴィジョン先生の話を聞くように、いいな?じゃあもう帰りの時間になったから後片付けするぞ、皆手伝ってくれ」伏竜が終了の合図を出して後片づけの手伝いを頼むと皆はその通りに動いて行った。




