表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戒告の盾  作者: ヨシ
74/88

六の技の完成へ

ついに準司の番が回ってきた。やる気に満ちている中で機械の中のど真ん中に立つと、冷静さを取り戻した。準司が四人目の挑戦者と分かると、伏竜は準司に話しかけた。

「三田原、君は四人目の挑戦者だな?一回生にしてみてはなかなかの度胸があるじゃないか。四人目の合格者になったとしたらすごいことになってしまうな。他の上級生を追い越したことになる。まあそれは何も悪くはないが、奇跡に近いかそれとも…まあいい。三田原、盾を構えろ…」

「はい!お願いします!」準司は盾をすでに構えていた。なぜか準司の気持ちは明るさに満ちていた。普通なら緊張するか、ちゃんとできるか不安になるはずがただ冷静になって見ているだけで気持ちは揺れていない。芯はしっかりとしていて心の準備は整っている。

盾を構えた後、準司は周りの様子などだんだん見えなくなってきた。ただ、目の前のことしか見えていない。

「では三田原。三つ数えたその後に本番が始まる。気を引き締めて全てのボールを弾き返すこと。一つでもボールに当たれば失格と見なし、不合格となる。そうなればまたこのテストをやり直してもらう。先程の三人の合格者達のように君も見ただろ?三人全員が一つもボールが当たらなかったように君も全てボールを弾き返せることを祈る。一発で合格を決めてくれ。では始めるぞ」伏竜が他の三人と違って一回生だからなのかここまで丁寧に説明してくれた。そしていつでも始められるようにすでに開始ボタン終了ボタンの隣に伏竜は立ちながら準司をずっと見続けていた。

「では三田原。覚悟を決めろよ。三つ数える。三、二、一、始め!」そして伏竜は開始ボタンを押した。機械が開始の合図のように作動し始めいよいよ本番が始まった。

三人の先輩達が合格を決めたんだ、だったら俺もここまで修業をしてきたんだから一発で決められるはずだ。必ずここで合格を決めてみせる。

…よし、ボールが来る。準司はどこから来るのか前、左、右、後ろと一周三六〇度の空気を感じてみた。そうしているうちにボールが飛んできた。

左からだ。左から飛んできた。準司は素早く盾を左側に向けそのボールを防ぎ止めた。

「最初が簡単だからといって油断するんじゃねえぞ。まだまだ序章に過ぎないぞ。一つもボールに当たるな。さあもっと集中!」伏竜の助言のおかげで準司は集中力を向上させることができた。よし、まだまだ。

二つ目のボールがすぐさま出てきた。今度は右前からだ。準司は迷うことなくすぐさま盾で封じた。

そしてその次の瞬間に、三つ目のボールが飛んできた。次は真後ろからだ。普通の人からすれば全く気づかないようなボールが飛んできたが、準司は違っていた。負けてなどいなかった。

真後ろから飛んできたのを素早く反応し、準司は素早く真後ろを振り向いて後ろから飛んできたボールを盾で封じ込めた。ここも準司は見逃したり聞き流したりなどしなかった。上手く盾で防ぎ止めた。

「まだまだ、次々とボールが飛んでくるぞ。言われなくてもできるようにしろよ。さあ、ここからが本番だ。油断するんじゃねえぞ」伏竜はジーッと準司を一点張りのように見続けながら言い続けた。

確かに、ここからが本番だ。油断をしてはいけない。盾の舞が使えるのはボールが連続に飛んできた時だ。初めて経験していくつかのボールにぶつかりまくった失敗を二度とさせるわけにはいかない。

覚悟を高めてきた段階で構えを見せた準司は、次に一斉に飛んでくるボールを見逃しなどしなかった。周りから一斉にボールが飛んできているのを準司は感じ取っていた。

だったら一気に盾の舞で全部のボールを弾き返せばいい。準司はここで、盾の舞の技を全力で出し始めた。あの動画に写っていたあの日本伝統の舞のように踊っていたあの動きを思い出せ。あれが盾の舞だ。一つもかすりもしなかったあの技を思い出せ。

そう自分に言い聞かせていた準司は、先輩達三人の舞と同じように踊りながら一周しながら襲いかかってくるボールを弾き返し始めた。上手いこと流れに乗れている。このままの調子で周りから飛んできたボールを全て弾き返すことができた。かすった傷など何一つなく全て防げている。

次々とボールが飛んできている。それにだんだんとボールの数が増えてきている。増えてこようが関係ないと思いながら夢中になって、次々とボールを弾き返していった。

「三田原、何か忘れてないか?それは『盾の舞』だ。俺が見ているのは『六の技』だ。水を使わなくてどうする?まあそのままの様子から水を使った技を繰り出すことだ。分かってるか?」準司は肝心なことを忘れていた。そうだ、水を使ってこれらのボールを水で弾き返して遠くまで飛ばさなければならなかった。…しまった。いや、ここから技を繰り出せる。途中から六の技を出せればいい。六の技とはどういう技か、準司は忘れる所だったがここから挽回できる。

六の技、空間の慈雨。おもいっきり準司は水を噴射しながら全てのボールを弾き返した。しかも、全てのボールがどこまで飛んでいくのかというぐらい遠くへ飛んでいった。

よし、この調子で。準司は体全身を使っておもいっきりボールを遠くに飛ばしまくった。


準司は先輩達三人と同じくだんだんヘトヘトになってきた。体力が限界まで来ているのが分かる。後もう一息だ。まだまだこれらのボールを弾き返さなければ…。

準司は汗をすごくかいている。三人の先輩達のどういった限界のしんどさだったのか、ようやくここまで来てやっと分かった。気持ちがよく分かってきた。

しかし、ここまでやり遂げなければ盾の舞や六の技を自由に扱えない。その上、次の任務に行けなくなるおそれもある。それだけは何としても避けなければならない。

この連続に飛んでくるボールはいつまであるんだ?それに伏竜はジーッと固まったまま突っ立って準司をずっと見続けているだけで何も喋らない。

…さすがは伏竜さん。あの余裕の冷静な表情は心配をかけないようにするもそうだが、それだけの強さを見せつけることで皆を安心させているんだな。

準司は伏竜のうぬぼれていない表情に一瞬感動していたがそんなことをしている場合じゃなかったと集中力をもう一度高めた。

後もう一息だ。もう一息でこの修業が終わる。もうそろそろボールが飛んでくるのが終わりに差し掛かってくる時だ。ようやく時間がきている。後もう少しだ。もう少しで終わる。

盾の舞を踊りながら六の技を連続で出し続けてまだまだ夢中になって続けていられている。そして…

最後のボールを盾で受け止めた後ボールが出てこなくなり、ピーっという終わりの合図が響いた。

終わった…終わったんだ。準司は後ろを振り向いてそこから「やったあああ」と心の中で呟いた。

周りの準司のテストを見ていた人達は大きな拍手を沸き上がった。準司は右手でガッツポーズをとった。

達成感が身体中に染み渡っている時、伏竜は準司に近づいていき手招きした。

準司は伏竜に近づいていくと伏竜は何を言い出すかを準備しているように待っていた。

「三田原、よく頑張ったな。お見事だった。これで君を四人目の合格者に認定する。どうだ?ここまでたどり着いた気持ちは?」伏竜は珍しく準司に聞いてみた。

「いやぁ、本当に…最高です!…ハア…ハア…これで任務に邁進…できますね…」準司は両手を両膝にのせて息をきらしていた。

「まあ、そうだな。次の任務に君も行けることになるな。おめでとうだ、俺も君を安堵している。君の努力を見させてもらった。本当に良かったと思っている。さあ、君も体を落ち着かせて外に出てもいいぞ…」

「ありがとう…ございます!」準司はそう感謝の言葉を伏竜に伝えると息をきらしながら右手で体を抑えながら出口に向かった。その先にずっと見ていた霧林がスッキリしたような顔をして立っていた。

「いやぁ君凄いな、見直したよ。あそこまで一回生であんなに完璧にできていたのは驚きだよ。どこかで一つはボールにぶつかるんじゃないかって思ってたんだけど全部完璧だった。おめでとう、僕からもこの言葉言わせてほしかったさ」霧林はさらに明るくなった。

「霧林さん、ありがとう…ございます!これで…次の任務に…行けますね…」

「そうだな。この調子ならイナズマ団と戦えるレベルになれたと思うよ、僕達は。まあそんなことより休憩しなよ。僕はもう大丈夫だから…」

「あっ、ありがとう…ございます」準司は霧林が座っていた所に一息ついて入口の縦棒を背もたれにして落ち着くまで座ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ