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戒告の盾  作者: ヨシ
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本番の六の技

桐原はまた冷静になって機械の中に入っていった。多少は緊張していてもこの最後の試験に受かることだけを考えていた。良い天気の下で今度は中ではなく外でやるので、太陽の光で眩しい上暑かった。

確かに水を使う技なので中でやれば建物の中が濡れてしまうのを避けたく、ただ真夏の炎天下の下でテストをするのも避けたかったが、そうするしか方法がなかった。

日光が眩しいのが一番テストを受けるのに難易度が上がっているかのようになっているが、これを突破しなければならないというのもまたきつい試練に感じてきた。やっと六の技を覚えられたというのに、日光でテストを受けづらいのも厳しかった。

「非常に良い天気だから気持ち良いだろ?雨だったらどうしようか考えてたところだったんだがその心配もなさそうだな。ただ、君らのご指摘の通り、日差しがきついのは分からなくもない。せっかく六の技を習得しようとしてるというのにこの明るさじゃあ、眩しくてやりづらいのは堪忍してくれ。すまないな」伏竜はこんな時でも冷静に何も揺れることなく楽観視しながら楽しそうに話していた。

「しかしだな、これも修業の一つと思え。難易度は上がってはいるが、この日差しのきつい中で一体どうやって盾を使って六の技を出して周りの攻撃を防ぐか君らの知恵が試される。…なんだかんだ言っている場合じゃないみたいだな。じゃあ一番の桐原、盾を構えてくれ」桐原も日差しのきつい南から西の間ぐらいの視界にどうやって盾で六の技を繰り出せるかを考えていた。確かに難易度は上がっている。

しかし、これを突破できなければまた一から練習し直さなければならない。そんなことになると時間が間に合わなくなる恐れもある。ここは何としても一発で合格を決めたいところだ。

桐原は盾の舞のテストをしっかり思いだし、その為にあの時と同じように立ったまま目を閉じた。…ここでどんな障害物にぶつかってこようと必ず全部クリアしてみせる。…よし!

桐原は集中力を高めた。すごいことに周りのことなど全く気にならなくなった。

「よーし、桐原もう行っていいか?」伏竜は聞いた。

「はい…お願いします」桐原は静けさを吹き出したかのように聞こえる範囲で静かな声で伏竜に伝えた。

「分かった、では始める。一人目の通過者になってくれることを祈る。盾を構えろ。…三、二、一、始め!」伏竜は中にある機械と同じのボタンを押した。ウィーンという開始の合図が鳴った。その音に気にすることなく伏竜はじーっと桐原を見続けた。

やはり中と外の景色はだいぶ違う。中の景色は風もなく静けさで落ち着けていたが外の景色は風があり、時に吹いてくる。そういう障害物もある。そして、日光が当たる。しかも強い日差しだ。夏の季節だから熱中症には十分気を付けないといけないところだが、そんなことも気にするなと伏竜は言いたいのだろうか。

しかし、そんなことしてしまえばもし万が一変なことがおきれば責任とれるのか?桐原以外順番待ちしていた三人はふとそう思っていた。

ついにボールが飛んで来た。風の音が邪魔で聞こえているのか心配だったが、桐原はそれを乗り越えられた。左後ろから飛んで来たボールを左後ろに振り向いてすぐさま盾で受け止めた。桐原はそのまま集中力を継続し、盾の舞を忘れず感覚を掴んだ。

「どこから飛んで来るか分からないぞ。そのまま自分で飛んで来るボールを探し当てろ」伏竜の言われたことをしっかりと聞き、次に飛んで来るボールを探し続けた。

次は右からボールが飛んで来た。すぐさま桐原は右に向き盾で防いだ。

そしてそう間もないその時、真後ろからボールが飛んで来た。それでも、桐原は負けていなかった。真後ろに振り向いてすぐさま桐原は盾で防ぎ止めた。危機一髪だった。上手いことボールを防ぎ止めた。

「よし、その調子だ。そこから盾の舞を思い出せ」伏竜の掛け声で桐原はさらに集中力を発揮した。

ここからが盾の舞の技が入っている六の技の正念場。全て必ず外さない!

覚悟が入った桐原の周りのボールが一斉に飛んで来た。

六の技、空間の慈雨。

桐原は覚悟のそのままで盾の舞を披露した。周りのボール全てを一周しながら日本の伝統の踊りのような舞ができた時、盾を構えて次々と全てのボールを弾き返していった。外が何だろうと、風が吹いていようと太陽の光が何だろうと桐原は夢中になってもう目の前のことだけしか考えていなかった。そのおかげで六の技を繰り出せている。

六の技である空間の慈雨は、盾の舞ができあがった時に水で攻撃に対して弾き返すだけでなく相手の投げてきた場所まで跳ね返すという攻撃技も繰り出せることができる。

桐原は水を繰り出してその跳ね返す技を出すのもできるようになっていた。後は、全部のボールを跳ね返すだけだ。

そして…最後の最後まで、桐原はボール全てを跳ね返した。ものすごい体力と気力を使ったので、息がきれても座り込まなければならないぐらい落ち着かなかった。その為、桐原はその場で座り込んで汗でびっしょりになりながら息をきらしていた。

「よーし、桐原。よく頑張ったな。大したもんだ。君を一人目の合格者と認定する。体が落ち着くまでしばらく安静にするといい。本当よく頑張った…」

「はい…ありがと…ございます…ハア…ハア」桐原はこれ以上動いたら大変だと察し、ゆっくりと四つん這いになりながら機械の外に出た。

桐原の披露を見ていた周りの皆はおもいっきり拍手をした。桐原が元の場所にようやく帰ってくると増田や霧林、そして準司はかけよって褒め称えた。

「よく頑張ったな、桐原さん。もう今日の修業全て完了できたじゃねえかよ。すごいぜ」増田も興奮が止まっていない。

「増田…くん…ありがと…ね…」桐原は意識だけは自分でしっかりとしていた。

「よし、じゃあ次の二人目。機械の中に入れ」増田の番だ。一気に緊張が走った。

「伏竜さん、僕が行きます」増田も覚悟が入った。

「分かった、機械の中に行ってくれ」伏竜の掛け声で増田は機械の中に入っていった。


「伏竜さん、宜しくお願いします!…」

「はい、気合い入れて。覚悟決めて、盾を構えろ…」

「はい!」そして増田も目の前のことだけに集中を高めた。


増田も桐原の披露を真似できているかのように六の技が披露中に完成できていた。全てのボールを弾き返し、その上、向こうの遠くまでボールを跳ね返すことができていた。そして、ついに…。

「増田、よく頑張った。君も合格者だ。しかも二人目だ。よく時間内に完成できたな。本当よく頑張った。君も外に出て休憩しておきなさい…」

「はい…ありがと…ございます…ハア…ハア」増田も息がきれていて、すぐに立つことができなかった。しばらく時間が経ってから増田は地面に手をつけながら元の場所に戻っていった。

増田の披露に桐原に続き周りの皆は拍手をしていた。

「では、次の三人目は確か…霧林、君だったな?…」

「はい!宜しくお願いします!」霧林は気合いが入っていた。多少は緊張していたが、やる気は漲っていた。

霧林は機械の真ん中に立ち、桐原と増田が披露した技を覚え直し目を閉じて集中力を高めていた。

「では霧林。三人目の挑戦者となる。おもいっきりぶつかってこい」伏竜はやる気を奮い立たせた。

「はい!そのつもりです!覚悟を決めています!…」

「よーし、じゃあ始める。二人に続いて三人目の合格者になることを祈る」伏竜はそう言って、機械のスイッチを入れた。そして、また一気に緊張感が高ぶってきた。


霧林は気を失いそうだったが、意識を高めた。六の技を盾の舞を披露しながらだんだんと自然に覚えられていた。次々とボールを跳ね返し、そして、ついに…。

「よし、霧林!よく頑張った。全てボールを弾き返した。君は三人目の合格者だ!おめでとう。もうこれですることは全てやりきった。君も外に出て休憩しておきなさい…」

「ハア…ハア…ありがと…ございます…」霧林もしばらくは歩けなかった。四つん這いになって、元の場所に戻っていった。三人目の合格者となった霧林に見ていた皆も拍手をした。見ていた準司も拍手をしていた。

「おめでとうございます、霧林さん。三人目の合格者ですよ!」準司はおもいっきり褒め称えた。

「ああ…ありがと…ね、三田原君。次は君の出番だよね?…頑張って…四人目の…合格者に…なってね…」

「はい、頑張ります!」霧林はもう動けなくなった。息がきれながら座ることにした。

「俺…君の…披露を…見ても…いいかな?」霧林は準司に聞いた。

「えっ?…あっ、うん。いいですよ。ただ保証はないですけど…」

「いやいや、そういう…目で見ないから。できなくても…何も思わないから…。ただ、君は四人目の合格者であることを祈ってるよ!」霧林は右手を出して準司に握手をしようとしていた。

「あっ、はい!ありがとうございます!」準司は霧林と握手をしてしっかりと握った。

「よし、では四人目の挑戦者は…三田原だったな?三田原、準備はいいか?」伏竜はそう呼び掛けた。

「はい!伏竜さん!準備はできています!合格できるように頑張ります!宜しくお願いします!」準司は勢いをぶつけた。

「おう、そうか。その勢いなら合格してくれよ。よし三田原、中へ入れ」伏竜の合図と同時に準司は勢いよく機械の中に入っていった。



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