本番前の準備事
準司は盾の舞を完成させた桐原に話しかけに行った。桐原は準司に振り向いた。
「桐原さん!盾の舞の技覚えができておめでとうございます」準司は存分褒め称えた。
「あっ、ありがとう。次は増田君と霧林君と、三田原君の番よね?」桐原はほっとした気持ちで温もり感が出てきていた。
「そうですね。確かに次は自分の出番ですけど桐原先輩の盾の舞、周りから飛んできたボールを完全に防ぎ止めたのは完璧でしたよ…」
「ありがとう。まだこれからだから緊張しているのはよく分かるよ。でも三田原君も最初からあんなにできていたんだから次もできると思うよ。水の盾頭さんの教えてもらった技を完成できるように頑張ってね」桐原も準司を褒め称えた。
「はい、ありがとうございます!」準司は緊張より他の気持ちの方が勝っていた。そのため盾の舞の技を完璧に覚えなければならない大事なことを後回しになってしまった。
「あっ、やべえ。急いで盾の舞の練習をしないと」桐原を褒めちぎった準司はふと思い出した。ここまできて完成させねばならないのはあと準司も含めて三人だ。早くして盾の舞を完璧に完成させた後、六の技を習得させなければならない。六の技を習得できれば、今日の修業訓練は終了となる。
ここまで来たからには一刻も早く必ず成功させたい。誰が早く六の技を習得できるのかとかそういう競争をするのは一ミリも考えていない。ただただ、皆全員で六の技まで習得できることを願っているだけだ。準司は余計なプレッシャーを払いのけて目の前のことだけに集中しながら準司はそう思っていた。
桐原はたった今、盾の舞を完成させた。後は六の技を習得すれば今日のすることは成し遂げたことになる。準司も急いで六の技の習得まで行きたいと思ってくるとできるかできないかなど考えずとりあえずやりきることしか眼中になかった。
「よし、一人が『盾の舞』を完成させた。これができれば後の六の技の習得は楽にできるようになる。似たような技だからそんなに苦戦することはないだろう。…まだこの時間なら『盾の舞』と六の技の『空間の慈雨』の習得に力を注げば終了時間まで間に合うかもしれないな。但しまだ五の技まで習得できていない奴はかなり厳しいと思った方がいい。この時間で五の技まで修業しているならここまでくるのはきついだろう。だが、ここにいる皆は全員五の技まで完全に習得することができたということだ。あと二つの技を習得できるようにせいぜい頑張ってくれ」四人より後に来た皆はここからまた難しくなってくるのを桐原の盾の舞の技の披露を見てから緊張感と絶望感がよぎってきた。
「じゃあ、ここからまた枝分かれみたいになってくるだろうな。桐原は六の技を教えたっけな?」伏竜は桐原に聞いた。
「はい、伏竜さんが披露していたのは四人で見てましたので。ただ気になっていて、この機械を使って練習するのはできませんか?…」
「そうだな。本当は機械を使いたいが、この機械は後から来たこの皆に習得してもらうことにしたいから桐原はその場で『盾の舞』を使うなどしてさっき俺が見せた『空間の慈雨』の技を覚えているか?その技を披露できるように修業してくれ…」
「分かりました」桐原は盾を構えて次の六の技の修業に集中することにした。
「じゃあ、後から来た皆は俺のパソコンを使って動画を見せるから『盾の舞』とはどんな技なのかを見てもらう。動画の中に映っている人の舞の踊りを完全にコピーするかのようにしっかり覚えて、しっかり覚えられたらこの機械を皆は覚えているか?俺はその時にいなかったから分からないが、聞いたところに寄れば滝島さんが防衛技能訓練で指導してたそうだな?その時の機械がこのことだ。周囲からボールが飛んでくるから全てのボールを盾で防ぎ止めること。これができれば『盾の舞』が完成できたことになる。完成できたら『空間の慈雨』の技をやってもらうが、その時はまた俺から教えるつもりでいる。ただ『盾の舞』を完全にマスターすることだ。…ここまでで何か分からないことは?」伏竜は皆に質問した。するとある二回生男子が聞いた。
「伏竜さん、『盾の舞』と『空間の慈雨』とどう違うんですか?…」
「それ君らは聞いてなかったっけ?…分かった。『盾の舞』は水の使い手だけじゃなく炎や鋼や草、花など全部のタイプにも共通する技だ。この技はただ防御力を各段と一気に上げ攻撃から身を守りやすいようにできる技をいうが、ただ攻撃はできない。一方の『空間の慈雨』はそうやって防ぎながら攻撃することができるという一石二鳥ができる技をいう。…話聞いて分かった?」伏竜は逆に聞いた。
「分かりました」質問した二回生男子はそう返事した。
「他に大丈夫か?」伏竜がもう一度聞くと少し間が空いたがもう一人の二回生が質問した。
「伏竜さん、僕からもですけど、なぜ六の技を覚えるまでの手前で『盾の舞』を覚えるというタイミングになっているんですか?…」
「結論から言えば『盾の舞』は応用の技だからだ。それまでは基本、標準と習ってきたがいきなり基本から『盾の舞』を覚えるのは体力的にも気力的にも限界にきてしまう恐れがあった。五の技まで習った技覚えは基本から習得していきながら体力を少しずつ鍛えていく。体力がだんだんと温存していけたら次の段階に進むようになっている。俺が最初から『盾の舞』を教えなかったのは、プレッシャーに感じて前に進めなくなるからだと判断しあえてずっと六の技を教えるまで黙っていたわけだ。だから、六の技の習得にたどり着いた時に『盾の舞』を教えるようにしていたというわけだ。君は平松か?俺の説明で何か物足りないか?」伏竜は平松という二回生男子に聞いた。
「いいえ、よく理解できました」寺松は余計な事はこれ以上言わないようにしようと会話を自ら降りた。
「他何か聞きたいことはあるか?…ないなら今すぐ始めるとしよう。君ら後から来た人達は十何人の人数だな?君らには六の技を教える前にこの『盾の舞』とは何か、一番重要な技の披露をこの俺のパソコンにDVDを流すから映像をしっかりと見ておくようにしろ。まずはそれを君らはやってもらう。ただ、余計なことをしたり、私語をしたり変なことをしたりした場合、後でどうなるか覚えとけよ。いいな?…では今から流すので注目しなさい。…そして先に来た桐原含め四人は続きをやっておいてくれ。俺もそっちの面倒見るから『盾の舞』を練習して、完成できたと実感できたら俺に言いに来てくれ。ちゃんとできているか、ボールを全部弾き返せているかをしっかりとこの目で見ておく。…三人はもうできたのか?」増田、霧林、準司に聞いた。ただ三人とも何も怖がっていなくいつでもどうぞとやる気に満ちていた。
「伏竜さん、僕からいいですか?」増田は手を挙げて伏竜に言った。
「できたか?…」
「はい…」
「じゃあ、増田。機械のところにもう一度来い。できているかしっかり見てやる」伏竜はそう言うと増田は何もびくともせず機械にすたすたと向かっていった。
「増田はそこで待っていてくれ。こっちの面倒も見ないといけないからすまねえな。じゃあ君たちは、この映像を見てもらおう。こっちに集中するようにはしておけよ」伏竜はDVDをパソコンにはめ、再生した。再生した映像が流れると皆は真剣に皆が見えるようにして前列が座って後ろは立って見ていた。
「よし、増田。桐原に続いて全部ボールを弾き返せるか確かめてもらおうじゃないか。覚悟の方はどうだ?…」
「いつでも大丈夫です」増田は盾を構えて集中力を高めた。
「よし、その勢いならいつでもかかってこい。さあ、始めるぞ」伏竜はスイッチを押した。機械はまた起動した時、その周りの皆は緊張感が再び高まってきた。




