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戒告の盾  作者: ヨシ
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帰還

適当にカメラマン達に見つからないように逃げ道を通りながらようやく二人は別の道の通りに出られた。報道記者達から隠れながら大学の通りに戻ろうと帰り道を歩いていった。

盾と失神銃と防具を大学に返しに行こうとしたその時だった。

「おい、無事に帰ってこられたみたいだな」英語でしゃべっている。誰かと思いきや二人は前を見た。ヴィジョン教授が二人の前に立っていた。

「あっ、ヴィジョン先生!」準司は興奮してヴィジョン教授に小走りで近づいた。

「ヴィジョン先生、同級生を無事助けることができました。辰先生のおかげもあって無傷で済みました」準司は詳しく話した。

「そうか、それは良かった。盾の使い方を有効に使えたということだな。イナズマ団はまたどこかに消えたのか?」

将吾はイナズマという言葉が聞こえたので、なんとなく理解できた。

「はい…警察と手を組んでイナズマ団を追い詰めましたが、そこから姿を消しました」準司は残念そうに言った。

「そうか…君たちは神威という男に出会ったのか?」ヴィジョン教授が発したその名前に準司はびくっとした。

「はい、出会いました。僕の名前を知っていたようです」準司は告白した。

「名前を知っていた?なぜ君が?」ヴィジョン教授は冷静に聞いた。

「ヴィジョン先生、それはここでは話せません。もう暫くまた後日になってから話をしていいですか?」準司は過去のことを隠し通した。

「そうか、分かった。…まあそれはいい。それより二人が無事で良かった。大学に引き返そう」

ヴィジョン教授は向きを変え大学の方に歩きだした。準司と将吾もヴィジョン教授についていき大学へ歩いていった。


大学に着いたのは夜中5時頃だった。朝日がもう登っているので日差しが周りに飛び散っている。ヴィジョン教授は研究室に着いた後電気をつけて二人を誘導した。準司と将吾は失礼しますと言ってヴィジョン教授の研究室に入った。ヴィジョン教授は中に入ると生徒が使う長い机の椅子に座った。

「まあ、好きなところに座りなさい」とヴィジョン教授は言うと、準司と将吾は静かに座った。

「ヴィジョン先生、先生の盾と失神銃とファインドグラス、それと防具を返します。ありがとうございました」準司は席から立って礼を言った。

「先生、僕からもありがとうございました」将吾も準司に習い深くお辞儀をした。

「君たちの活躍はその大学生を助けることができた。よく耐え抜いたな。辰准教授も無茶なことをしてくれたが、彼が一番活躍したと思う。…ミスター三田原、身に付けているその四つを返してもらおう。君もだ」はいと返事をして言われた通りに二人は盾を外し、身に付けている防具を取り外し、失神銃を置いてヴィジョン教授に返した。二人がつけていた四つの道具はヴィジョン教授の机の上と足元に置いた。

「ちょっとしたことで聞きたいことがあるが、イナズマ団の銃撃からこの盾は身を防げていたか?」ヴィジョン教授は聞いた。

「はい、無事に防ぎきりました」と準司は答えた。

「そうか…この盾はまだ完成したばかりだから攻撃に耐えられるか少し不安はあったが、この盾を作ってくれた職人さん達はそこまで計算していたようだな。彼らがいなかったら危ない目に合うところだった。君達が何一つ傷つかずに済んだこと、心からほっとしている」ヴィジョン教授は冷静に二人にそう説明した。

「私は盾について研究したり開発したりしているがそのことは君たちの耳にも届いているかと思う。周りの理学部の学生諸君もうちに入りたいと騒いでいたが、君たちもそうなのか?」ヴィジョン教授は二人に聞いた。すると準司はすぐに答えた。

「ヴィジョン先生、確かに入りたい気持ちはあります。実は訳があって入りたくて…」準司はそこから先は話したくても話せなかった。

「入りたいために訳がある。その入りたい理由は何なのか話せないのか?」ヴィジョン教授は答えた。

「はい、今はそうですが、それも時がきた時に話す機会をもうけさせてくれないですか?…」

「準司、いい加減話した方がいいんじゃないか?その話…」

「今は…話す時じゃないんだ…」将吾は準司の直ぐ様言ったことに返せなくなった。ヴィジョン教授は準司を真っ直ぐ目を向けたまま冷静に聞いた。

「…何のことか私もよく分からないが、話せない事情なら今は無理しなくていい。私も君が答えられる時まで待つとしよう。…そういえばもうこんな時間だ。君たちは朝から授業があるのか?」ヴィジョン教授は後ろを振り向いて時計の方を見た。

「…そういえば授業のこと忘れてた。将吾は授業ある?」

準司は将吾に聞いた。

「俺は二時限目からあるよ。準司は?」将吾は聞き返した。

「俺も二時限目からある。朝からはないかな」準司は言った。

「じゃあ時間はまだあるようだな。ただいきなりの出来事だったから今回は仕方がない。時間の使い方は君たちに任せるが体の具合は大丈夫か?」ヴィジョン教授は二人が寝ていないまま授業に出ることを心配した。急なこの出来事に授業など出てられないのはヴィジョン教授もわかっていた。

「僕は大丈夫です。何も傷つかずにこの通りですので。今日の授業全てに出席するつもりでいます」

準司は両手を広げてヴィジョン教授に何一つ傷がないことを見せた。

「そうか、それならいつもの通りに授業受けにいけばいい。ただ少しぐらいは休み時間に休んだ方がいいかもな。…じゃあもう時間だ。授業がくるまで体を休むといい」ヴィジョン教授はそう言うと椅子から立ち上がった。準司と将吾も席から立ち上がってありがとうございましたと言って、研究室から出た。すると準司は言っておきたいことを忘れていたことに気付き向きをまたヴィジョン教授に向いて話し出した。

「ヴィジョン先生、また後日ここに訪れていいでしょうか?僕の同じ仲間の大学生が回復してから来てもいいですか?」

「ああ、いいよ。そうだね、その学生さんが回復してからの方がいいね。君が言いたいことの気持ちが整理したらここへ来なさい」

「ありがとうございます」準司はヴィジョン教授にお辞儀をし、研究室を後にした。将吾も準司の跡を追うようにヴィジョン教授にお辞儀をし、研究室を後にした


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