後半修業への語り話
「ところでさ、葵達炎の使い手の技は全部でいくつあるの?」準司はそういえばと忘れていたことを葵に聞いた。
「全部で十個あるよ。五の技が応用の技だからそこまでクリアできていれば後でイナズマ団と戦える基盤は整えられるって灯田原さんが言ってたね。私も五の技を習得するまでめっちゃ苦戦してたけど今、五の技を習得しているところだよ。あれ、本当に難しいんだよねえ、どうしよう。習得できるかな」葵はまだ自信がなかったが後もう一息でできそうというちょっとした自信もなくはなかった。
「じゃあ私も聞くけど、準司はどうなの?水だよね?どこまで進んでる?」葵は途中で冷たいお茶を飲みながら準司に聞いた。
「俺か?俺らのところは全部で十三個あるな。そのうち六の技が丁度応用の技でそれまでは基本と標準の技らしい…」
「水って十三個もあるの?」葵は驚いて飲んでたお茶を飲み込めずむせてしまった。
「あ、ごめん。びっくりさせてしまった?」準司は焦った。
「ゴホンゴホン…いや大丈夫だよ。私の方が悪かったから、気にしないでいいよ。…そっか、じゃあ大変なのね。私の方は最高で十の技が最難関だからそれよりもっと上があるなんて思ってなかったなあ。…あっ、それから準司はそのうちどこまで進んでいるかを聞いてたよね?どこまで進んだの?…」
「五の技までは習得できたな。今さっき修業してたけど六の技を習得中でなかなか苦戦している感じだな。一周三六〇度を意識してどこから攻めてくるかを察知して盾で防ぐという技なんだ。伏竜さんはどの攻撃をしかけてきても全部盾で弾き返せなければ六の技を習得できていないと見られるらしい」準司が詳しく話していても将吾は弁当を食べることだけ考えてまるで上の空だ。他のことを考えている。
「その六の技の名前を何て言うの?」葵は興味が沸いて準司に聞いた。
「確か、『空間の慈雨』っていうみたいだよ。詳しいことは修業のことで頭いっぱいだったから伏竜さんは何て言ってたかは忘れちゃったからもう一回聞きにいかきゃな…」
「ふーん。何だか炎の方が修業大変かと思っていたけど水の方も大変っていうのは分かったかも。でも十三個まで全部習得できそうなの?上級生達はさらに上いってる感じ?」葵は肝心なことを聞いた。
「それがさ、おかしいんだよ。俺一人だけ五の技まで習得できて他の上級生は四の技を習得中らしいんだ。普通なら逆だと思わないか?あれだけ真剣にその通りにしているつもりなのにみんな一体何してるんだか…」
「おい、三田原って言ってたな?ここにいたぞ」急に話しかけてきた人達の方に準司が振り向いて上を向くと先程一緒に水の修業をしていた上級生達六人が立っていた。中に宮岡や夏木もいた。
「ごめん準司。私たちちょっとここ抜けるね。私も炎の使い手だから皆藤先輩のところに行くことにするから。じゃあ準司、後は頑張ってね」ちょっと、将吾!と葵は将吾の足をバシッと叩いて声かけをすると将吾は弁当とお茶を持ちながらすっと真っ直ぐに立ち、葵と一緒にその場から逃げていった。
そういえば将吾は草の使い手なのに葵がいる炎の使い手の人達と一緒に昼ご飯を食べるつもりなんだろうか?
準司一人だけになると水の使い手の六人は準司のそばに座り円になって、まだ食べきれていない弁当を足の上に置いてお茶を床に置いて準司に話すようにして向きをそろえた。
「さっきは悪かったな。ただあの時ズルなことでもしたのかなって思ってたし、まだ君のことをあまり知らなかったからあんなことになったんだ。本当にすまねえな」この先輩はあの時にキレてケンカ売ってきた人だということは準司もすぐに分かった。
「俺は宮岡っていう名前だ。宜しくな。こいつは夏木って名前で、こっちは草木っていう名前でこっちは道田。でっ、こいつは寺町で、この人は荒木って名前だ」宮岡が一人一人紹介すると皆は一人一人準司に会釈した。準司も全員に軽く一回会釈した。
「…ところで、君ってもう六の技仕上げれたの?」宮岡が聞いた。
「いえ、まだ僕は六の技の習得に向けて取り組んでいるところです。だから五の技までは習得できました」準司は素直に言った。
「そっか。そこまでいったならまだ達者な方じゃん。俺はやっと四の技を習得したばかりだけどな。でも他にも確か女子だっけな、五の技をやっと習得できたって聞いたな。確か、桐原結衣だっけな…」
「桐原さんですか?」準司は聞いてしまった。
「おう、えっ?知ってんの?」宮岡も聞いた。
「はい、高層ビル爆破事件の時に一緒に戦った先輩でした。工藤部長の代わりにリーダーになってくれたこともありましたし」準司は説明した。
「そっか、あの時は江戸川区のビルの救出に行ってたんだっけ?…」
「はい、そうです」準司は素直に伝えた。
「俺らは文京区のビルに行って救出してたからそういや一回生のことはあまりというか全く知らなかったんだっけ?な?そうだよな?」隣に座っていた夏木という二回生に聞いた。
「うん。そりゃあ左端に座っていたから半分に別れた時窓際のグループは江戸川区のビルの救出作戦に集中してたのはお前も分かっているだろ?」夏木は宮岡に聞き返した。
「ああ、そうだったな。じゃあその時に水盾頭の伏竜さんと初めて出会ったということか」宮岡は再び準司に聞いた。
「まあ、ご縁が深まったんじゃないか?俺たち水の盾だから技覚え早くしないとな。…それでまた話戻すけど、五の技の名前は『滝の渦潮』っていうんだっけ?あれどうやったら技を完成させれるんだ?」宮岡が一番聞きたくて不安で仕方がない気持ちで準司に聞いた。
「あれは俺も最初は苦戦してばかりでしたから、不安な気持ちは分からなくはないですよ。大事なのは、姿勢と呼吸に強気かも知れないですね?…」
「姿勢と呼吸に強気?」宮岡はえっ?と冷たいお茶を飲む前に止まった。
「つまり、気持ちが大事ってこと?」夏木は聞いた。
「確かにそれもそうですけど、腰を正す姿勢をまずは大事でその次に目の前だけじゃなくて周りの一周三六〇度を体全体で感じとりそこからおもいっきり力を入れてから気持ちに力を入れるって感じですけど、何となく分かりました?」準司は説明できてるか自信がなくなった。
「ごめん、何となく分かって何となく分かんない感じかな?まあでもやってみながら伏竜さんに聞いてみるのもありかも知れないな。その一周三六〇度を感じとるってところはよく分からないけど、だんだん難しくなってきているのは肌で感じられるな。分かった。とりあえず飯を完食してからまた修業に移った方がいいよな?早く飯食べきろうぜ」夏木はそう言うと準司ははいと返事しても他の皆はうんうんと頷いただけで速い勢いで残っている弁当の料理をガツガツ食べた。
準司も含めて宮岡達七人全員は時間内に全て完食した。お弁当を全部完食した後七人全員が立って大勢の人達を跨いで青いゴミ袋に弁当のプラスチック容器を捨てた。捨てた後、もう一度元の場所に戻って円になって全員が座りキンキンに冷やしてあるお茶だけはまだ残りあるだけで皆はごくごくと飲みながら次の午後一時から始まる後半の修業について互いに語ることにした。
「確かにこの調子じゃあ、最難関の十三の技の習得は無理なのは当然だし、厳しいのは目に見えてきたよな?」宮岡は自信がない代わりに皆にそう愚痴をこぼした。
「言われてみればそうだよな。だいたいできて七の技までいけるかどうかだよな?」先程何も語らなかった荒木が急に話し出した。準司はこの声誰だろうとビクッとして振り向いた。
「それに四から六までかそれぐらいしか今のところ進んでいないのが現状だよな?」その隣にいた道田という二回生も皆に聞いた。
「だったら、この現状に伏竜さん何て言われるんだろう?」草木という二回生も聞いた。
「分かんないけど、カンカンに怒ってるとか?」端にいた寺町という二回生も伏竜のことを思い出して怖くなってしまいながらビクビクしながら皆に聞いた。
「あの人も見たり聞いたりした感じ、怖い人だからなあ。まあ俺達ができるところまでやりつくしかないんじゃないか?もうそうするしかないだろ?…まだ時間あるからこれ飲んでからトイレ行こう」宮岡がそう言って冷たいお茶を飲み干し、全員が飲み干してペットボトルが空になったら六人が一斉に立ち上がった後に準司もすぐに立ち上がり六人に着いていった。そして別の青いゴミ袋に捨ててトイレの方に向かった。
ただ準司はここはあまり喋らない方がいいと思っていたが、やっぱりこの人達とは考え方が違うなと呆れてしまい、目の前の捉え方は自分で前向きになるしかないと思いながらトイレに行くことにした。




