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戒告の盾  作者: ヨシ
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神威瞭

二人はゆっくりと後ろを振り向いた。そこに、銃を構えた身長の高い男が立っていた。

茶髪で黒いマントを着ていてまるでマジシャンみたいな格好、この男は誰なのか二人は考える間もなく分かった。そしてそのボスのすぐ後ろにボスの側近である部下達ナンバー2からナンバー5までのイナズマ団が立っていた。

二人は盾で素早く防ごうとしたが遅かった。相手の銃の構えに抵抗する方が危険と分かるからだ。

「ずいぶんと派手にしてくれたじゃないか…久しぶりだな…三田原準司君」この男は話し出した。

「どういうことだ?何で準司の名前を?」将吾は聞いてしまった。

「おーい…三田原君だけかと思ったらおまけもついてくるとは…ここでいけにえをしに来たつもりか?」

このイナズマ団は三人に銃を向けた。

この茶髪のした背の高い男、どこかで見たような…。

準司は思わず夢で見たあの男と同じだ。まさか、まずいこの男は…。

「お前…まさか…イナズマ団ボスの…神威」

「ほおー、まだ小さかったあの時から覚えていたってわけかー?すげえじゃねえか、そんな頭して今も健在だと?」

準司と将吾はどうしても盾で防ぐことができなくなってしまった。この男の圧で動こうとするとかえって危うくなる。

しかし準司は動けないかわりに聞きたいことを話した。

「何でこんなことするんだ?葵は何も関係ないだろ?」

「おーい、圧かけてくるんじゃねえよ。君にはわかんねえか知らないが訳があっての意味だ。だからその女子大生も関係があるってわけだ」

「ふざけてるのか!」

「準司!」準司は激怒したが、将吾はよせ!と止めた。

するとボスのすぐ後ろにいる側近達は一斉に銃を構えた。

「だーから!そうやって圧かけてくるなって言ってるだろ?本気で打っちまうぞ」イナズマ団ボスは銃を打つ構えで狙いを定めた。

「この世はもう嫌なことだらけではないか…今は平和って何のどこが平和なのかも分からないのに世間はそう解釈している。周りは未だに揉め事が続いてばかりで嫌なことばかり続いてばっかりでそれでも今が平和と言えるのか?だからこういうわけだ…この世っていうのはただ何の利益もないっていう世でしか存在しない。ようは戦い続けて生き残るまで戦い続けるってなわけさ。強い者は生き残り、弱い者は消されていくって聞いたことあるだろ?…そして今日、何なりと罠にはまったお前自身も…ここで終わりを告げなければならないってわけだ」イナズマ団ボスは構えたままその場で固まっている。

「…それが理由で多くの人たちを殺し続けていたっていうのか?」準司は体が熱くなった。

「…何だ?不満があるとでも言いたいか?」

「お前は間違ってる。一人を殺すだけでも罪が深いというのに…お前はやっぱり普通じゃない!」準司の正義感が出たことにイナズマ団ボスと側近達は笑いだした。

「お前はお前の父親とやっぱり似ているなーほとんどが…だからお前自身もお前の父親にならって死ぬがいい」

イナズマ団ボスは銃をいつでも打てるようにカチャっといわせた。

「俺を殺しに来たなら二人を巻き込ませないようにだけはしてくれ。二人は大事な仲間だから」

「準司、ダメだよせ!自分を犠牲にしちゃダメだ!」将吾は準司を止めようとした。

「俺たちの罠にはまった以上どうしようもないぞ。さあ…覚悟だ!」

ボスが打とうとしたその時、廊下側からうるさく失神銃の打つ音が聞こえた。そして別の角度から失神銃を打ち側近のナンバー4と5が床に倒れた。

「誰だ!」ボスが振り向いたその時、辰准教授と警察達が銃を構えて立っていた。

「そこまでだ!神威!」辰准教授は失神銃を構えていた。警察達は銃を構えて部屋の中に入っていく。

「あっ、辰先生!」将吾は片手を上げ呼んだ。

「おお、二人ともよく耐えたな!もう大丈夫だ」

警察達は神威とまだいるイナズマ団達を監視するよう銃を構え続けた。

「一人でも今度こそ逃がすなよ!いいか!」

「はい!」警察のリーダーが部下達に強く指示を出した。警察のリーダーと部下達は全員のイナズマ団を捕らえようと銃で抑えている。

「今度こそ確保だ。覚悟を決められよ」警察のリーダーが銃をイナズマ団ボスの顔に突きつけた。

「確保か…捕まえたかったら捕まえてもいいかもね」

するとその時、イナズマ団ボスが指パッチをした途端廊下から部屋までの電気が全て消えた。

皆がうわあ!と混乱し一体どうなっている!?とか電気をつけろ!と言葉が入り交じって飛び交っている。

辰准教授はファインドグラスで電気のスイッチを探しそこまで壁を手につけながら歩いた。そしてスイッチを全て入れた瞬間、部屋の電気はついたが…


「あれ?イナズマ団はどこだ?」いつの間にかボスをはじめイナズマ団全員の姿がない。

「すぐに探し出せ!」警察のリーダーがそう言うまでもなく辰准教授は目の前の開いている窓の異変に気づいた。直ぐ様辰准教授は開いている窓のところまで行き下を見た。残りの警察も急いで下を見た。

「くっそ、逃げられたか!」辰准教授は右手の拳を悔しがって叩きつけた。

「警部!廊下にもイナズマ団の姿がありません!」

「何!?まだどこかにいるはずだ。すみずみ探し出せ!」

「はい!」

警察達はライトをつけて暗くなった廊下を照らしながら直ぐ様イナズマ団を探した。

「辰先生、葵を見つけられましたが傷だらけでこんなことに」準司は辰准教授に葵の姿を見せた。

「君達の探していた友達だな?良かった、見つかって。とりあえず縄をほどこう。応急処置をしたいところだが救急車を呼ぶことだな」辰准教授は小道具の中からカッターナイフを取り出し上下の縄を切った。

「皆さん、ケガはないですか?」辰准教授と途中から協力していた警察達数人が準司達に声をかけた。

「大丈夫です。それよりこの女子大生に手当てをしなければなりません。おそらくイナズマ団にやられた跡かと」辰准教授は説明した。

「ひどいケガですね、私たちから救急を要請しましょうか?」

「いえ、私が救急車を呼びますので大丈夫です」

辰准教授はスマホを使って救急車に電話を入れた。

「…葵、大丈夫か?」準司は葵に話しかけた。

「…うん…大丈夫…よく…イナズマ団と…戦えたね」

葵ははあはあとゆっくりと息をしながら話した。

「辰准教授のおかげだよ、盾がなかったらここまで来れなかったさ」準司は説明した。

「…ここに…いることも…辰先生という人が…分かったの?」

葵は聞いた。

「そうなんだ、もう本当に辰先生がいなかったら助けられなかったさ、スマホでニュースを見て分かったらしい」準司は細々と説明した。

「葵がイナズマ団に捕まったと話聞いて衝撃だったよ。一体どうなるんだろうとこっちもハラハラしたさ」将吾も葵に話しかけた。

「警察の人に任せた方がいいって話もあったけど辰先生の説得もあってやっぱり助けに行く方が先だと思って」将吾はにっこりと葵に笑い元気づけた。

「準司…将吾…ありがとう」葵がそう言うと準司と将吾はうんと返事をした。

「救急車を呼んだぞ。これで一安心だな。病院先で診てもらってからこの後どうするか相談していけばいい」辰准教授は三人に説明した。


図書館の中も外も警察や報道関係者、テレビカメラマンとアナウンサーや報道記者などが集まってイナズマ団が現れたことで騒ぎになっていた。どの局も「女子大生がイナズマ団に連れ去られた」というニュースはもはや避けられなくなった。ただ、葵の名前は一切報道されてはいなかった。


「そういえば、辰先生、人質の解放はどうなったんですか?」準司はつい辰准教授に聞いた。

「ああ、そのことなら警察との協力もあって無事に解放したさ。イナズマ団に縄で縛りつけられてたけどあれは酷かったな。犯人が銀行強盗をする場面をテレビ番組で見たことあるだろ?あんな感じだった。いち早くイナズマ団を失神銃で眠らせて捕まえられてる人たちを解放させたけど敵の数があまりに多かったのは苦戦したな」

「そんなに数が多かったんですか?」将吾は聞いた。

「そうだな、警察も警官隊も抵抗したけど何とか皆無事で何よりだな」

「辰先生、イナズマ団にやられてなくて良かったですよ。そんな数を相手に立ち向かったんですから」準司は辰准教授を褒めた。

「まあな。一時はどうなるかってハラハラしたこともあったからな。まあそうこう言ってるうちに救急車来ると思うよ」


その十分後、救急車が到着した。救急隊が葵のいるところまで駆けつけに来て葵を担いで担架に乗せた。準司も将吾も辰准教授も救急隊と一緒に一階まで降りてついていった。一階についた矢先にストレッチャーを用意していた別の救急隊が皆を待ってくれていた。

担架に乗っていた葵はストレッチャーに乗せられ、そのまま救急車に乗せられた。

ブルーシートで被せてあったので、その向こうの先はどんな様子か分からなかったが、警察や報道関係者などが慌ただしくうるさく飛び交っているのが分かる。おそらく東京から地方までの各記者達がここに集まってきているのだろう。

「それにしてもすごい数の人たちだよな?」将吾は準司に聞いた。

「それだけ大変なことが今日あったということだね」準司は冷や汗をかいた。

「同じ同行者の方いらっしゃいますか?」救急隊は三人に聞いた。

「じゃあ僕が行きます」辰准教授が手を上げた。

「先生、いいんですか?」将吾は聞いた。

「しょうがないだろ?大学なんだし。まあ親が来てくれるといいが突然のことだったからこの場合先生が行くことが妥当だろ?」

「先生、だったら僕も行きます」準司は力になりたいと思いそう言った。

「いや、君までついてくる必要はないよ。先生がすることだから、それに君達が乗ったら三人になるからな、ここは二人までだから」

「じゃあ先生、葵をお願いします!」準司はそう返した。

「おう、任しときな!」

準司は深く頭を下げた。

そして救急車の後ろのドアを閉めると救急隊達が乗り込んだ後にサイレンを鳴らしながら近くの国立病院に移動し、場を後にした。

「準司、葵が無事で良かったな」将吾は準司の肩を置きながら言った。

「そうだな」準司は言った。

「…葵が回復するまで暫く待っておいた方がいいかもな、ところでこっからどうする?」将吾は聞いた。

「どうするって?」

「ほら、報道記者達がざわついてるだろ?俺たちカメラに映ったら怪しまれるんじゃ?」

「そっか、それ忘れてたな。じゃあどうしようか?…ひとまずここから出ようか」

「うん、そうしよう」

出方が分からないまま出られるところを探しそして外へと出た。


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