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戒告の盾  作者: ヨシ
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技覚えの修業へ

ようやくあの訓練所に近づいてきた。将吾のこともあっていろいろ混乱しそうだったが、準司は何とか心機一転してこの日のする目的をはっきりさせ、やる気を奮い立たせていた。準司の技は水のため、水盾頭の伏竜のもとで技覚えの修業をすることになる。

目隠しとヘッドフォンをつけたままで周りを見渡してはいけないので暇をつくってしまう代わりに寝ることにしていて準司は夢の中でとろとろと熟睡していた。

すると運転手がマイクをオンにして車内にアナウンスを始めた。

「はい、皆さん。声が聞こえますでしょうか?ヘッドフォンを外してしまうと耳がうるさく聞こえてしまうのでそのままヘッドフォンをつけたまま聞いてくれて構いません。はい、まもなく訓練所に到着します。鞄などお忘れ物がないように降りてください」ヘッドフォンをつけたままでも男性の声が響いていたので、準司もだんだんと目が覚めてきた。最初はなんだろうと思っていたが、慣れてくると状況がようやく分かってきた。

「このバスが着いた時から数分後に先ほどの副部長がここに入ってきますので指示が出次第その通りに動いてください。それまではその場で待機しておいてください。ではまもなく訓練所に到着しますのでお知らせしておきます」前に工藤部長が厳しく目隠しとヘッドフォンを必ず着けておくようにと言っていて、もし余計なことをしたら退部処分にするとあれだけのことを言っていたため外の景色を眺めることができないならこの新品の椅子に座って寛いでいた方がまだましだと皆も思うようになった。目隠しで覗いてはいけないというのならまるで長時間エステサロンで癒しを感じているかのようにこの時間は寝ながらエステティシャンにマッサージされているかのような空間にいると想像しながら寝ているのもいいと思っていた。

準司もそんな気分になりながら高級そうな心地のいい椅子で十分熟睡できたので、ようやく修業する時間だと分かると降りる準備をするようになった。

ピーッ、ピーッ、ピーッとバスが後ろにバックしているのが分かるとようやく駐車場に着いたんだなと誰もが思っていた。小学校から高校までの修学旅行や遠足のことを一瞬思い出したが、あんなワクワクするのとは今回は違うとなると残念な気持ちも出てきている。

ようやくバスが止まった。後部座席から上級生達がもう目隠し取っていいだろ?とかヘッドフォンも取っていいだろ?とか不満が露になっていた。ある上級生の一部がふざけてカーテンをこっそり開けて覗いている人もいた。準司もその音が聞こえていたが丸岡副部長に怒られるかもしれないから止めておこうとじっと座ったままいつでも出られる構えをしていた。

時間が多少かかってようやくバスのドアが開く音が聞こえると丸岡副部長が中に入ってくる足音が聞こえてきた。丸岡副部長は反射神経が良いのか上級生達がふざけているのを素早く見抜いていてついにブチギレた。バスに設置しているマイクを持って丸岡副部長はキレて話し出した。

「ちょっと、あんた達!ルール破るつもり?外からあんた達の顔が見えたわよ。ふざけてたら退部処分の審議をされる覚悟しなさいよ!…」

「いやぁ、早く来てくれないから到着した時は外眺めていいだろうと思ってただけですよ」二回生の男子が言い訳して言った。

「私が来てから言う通りに動かないと向こうの人達にも怒られるんだから!どんなことあっても降りていいと私が言うまでしばらくじっとしておかないといけないって言われてきたでしょ?だったら言うこと聞きなさいよ!」丸岡副部長はすごく怒っていた。気がしっかりしていてたまに怒っている工藤部長が印象に思うのだが、ほぼ互角かそれともそれ以上かこの丸岡副部長もここまで激怒しているのは初めて見た。丸岡副部長も意外と怖い人なんだと三回生以外の皆は思っていた。

「とりあえずここのエリア内に到着できたのでまあセーフとしましょう。エリア外で外の景色眺めてたら退部処分を言い渡されていたところだったんでね」怒りが少しずつ冷えてきたところで丸岡副部長はスイッチを切り替えた。

「…じゃあ無事到着しましたので皆さん目隠しとヘッドフォンを外してくれて構いません。その二つは自分の座っている椅子の上に置いてくれて構いませんから、自分の荷物を持って外に出てください。後からでもいいので肝心な盾は必ず左腕に装着して訓練所に行ってください。」じゃあ前列からと丸岡副部長が言うと皆が目隠しとヘッドフォンを取った後、前の列の人達からバスを降りていった。準司達三人の番が来ると準司から先に降りるようにして前に進みバスから降りた。

前と変わらない誰にも教えてはいけない秘密の場所に降り立つと準司はもう開発や実験や訓練の三つの場所をしっかりと鮮明に覚えていた。確かあの前後に動かす扉から入っていき中に入ると盾の根本的な骨組や鉄を刀鍛冶で見たあの風景と同じように金づちで叩きながら盾の形を作っていくあの作業を見たのを覚えている。ただ天気が晴れなのでこの日はすごく気温が暑い。水分補給は必然だろう。


全員がバスから降り立つとそう間もない時に丸岡副部長は全員に拡声器を使って皆にばかでかい声で話し始めた。隣にいつの間にかヴィジョン教授が立っていた。

「はーい!皆さんこちらに注目してください!大丈夫ですか?…じゃあここからいよいよ訓練所に向かいます!そこに前回の部会でお会いした八人の盾頭さんが待っていますので、今からそこまで行きます!それでは左腕に盾を取り付けて、今から行きます!あっ、それとこの気温ですのでここにも自動販売機がありますので休憩時間に水分補給は必ずしてください!では私と先生についてきてください!」丸岡副部長が拡声器を持ったままヴィジョン教授と一緒に並んですぐに歩いていき訓練所に向かい始めた。その後を追うように皆も歩いていった。皆のメンバー達は盾を装着している人が何人もいればまだ盾を鞄の中に入れたまま現場まで行く人もいた。

今回は前の前後に開く扉には行かず、その隣にある道が続いていてそこからがおそらく訓練所に続くための道だと皆は勘で分かった。

確かあの訓練所に行くまでは建物の屋根が一切なく建物内とすぐ隣に学校の体育の時間や運動会や体育祭で使う砂場があったようなことを覚えている。その場所まで行くのに長い道が続いているがヴィジョン教授と丸岡副部長を先頭に全員歩いていった。


ようやく訓練所にたどり着いた。中と外と合わせてすごく広い。ヴィジョン教授を先頭に歩いているヴィジョン教授の弟子達が来たことを八人の盾頭が気づくと中で待機していたが、外に出て皆の所に歩いていった。ようやくこの時を待っていたであろう、技覚えの修業が始まるとなると気が引き締まってきた。

「皆諸君。ここから技覚えを始めていきます。自分の使い手は何かを理解した上で八人の盾頭がここにいますので八つに別れて技を覚えていくようにしていってください。それでは各自それぞれの盾頭に集まってください」ヴィジョン教授がそう合図すると皆全員自分の使い手に従って盾頭に移動した。準司は水の使い手なので伏竜のところに行こうとする前に、葵と将吾にこう言った。

「葵は炎だよな?…ということは灯田原さんのところだよな?…」

「うん、準司は水の使い手だから伏竜さんのところだよね?頑張ってね」葵は手でバイバイと合図した。

「ああ、葵も頑張ってな」準司も葵に手で合図した。

そして、将吾にも挨拶しようとしたのだが…。準司と葵は顔を見合わせてプッと笑ってしまった。将吾はやはりふわふわと目がハートになっていた上、緊張していた。

「将吾、あんたは特にしっかりしなさいよ!ここで惚れてる場合じゃないでしょう!?」葵は将吾の肩にバシッと叩いた。将吾はあまりの痛さでハッと目が覚めたかのように痛がった。

「あっ、うん。そうだったよな。でも、草盾頭さんの可愛さで技覚えできるか怖いよ」将吾はまた弱腰になった。

「それを乗り越えるの!綺麗な女性に教わってくれるなら有り難く思ってやる気出すでしょう?そういう気持ちで行くの、分かった?」葵の活気で将吾は強気になってきた。

「分かった。分かったよ。俺その気で行くよ…」

「もうバスに戻るまでずっと技覚えの特訓に挑まないといけないからね。じゃあもう行くよ。自分のことは自分でしっかりしなさいよ!…じゃあ準司も頑張ってね…」

「ああ、もう行くよ。将吾、葵の言う通り気をしっかり持って。将吾は草の使い手なんだから、なっ?じゃあまたな…」

「ああ、分かったよ…」三人はそう会話を最後にしてそれぞれ自分の使い手に沿って盾頭の元に向かった。


準司は水の使い手の皆の所に向かい、その端にいる伏竜のところに挨拶をしに行った。

「伏竜さん、三田原準司です。宜しくお願いします…」

「おう、前に会ったな。いろいろと技を覚えなきゃいけないものがたくさんあるからな。しっかりと頭の中に叩き込めよ…」

「はい。宜しくお願いします」準司はしっかりと伏竜に深々とお辞儀をした。




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