盾頭の決断
ヴィジョン教授は続けて話をした。
「そしてだ、この豪華客船の救出作戦について今から伝えようと思っている。私が考えていたのだが、また二手に別れてもらおう。船の中でイナズマ団を捕まえる作戦と乗客達を外に逃がす逃げ道をつくる作戦。そしてもう一つは外からの救出の作戦を図ること。先ほど言ったように別の船を数台出し、乗客達を乗せてあげることを準備しその場から離れなければならない」ヴィジョン教授は黒板を使って丸い磁石を船に例えて皆に説明した。
「えっ、ちょっと待ってください。国際条約で各客船に搭乗する人数分を確保するためのボートは用意されていることを義務づけられていますから別の船の出港は必要ないんじゃないですか?」雷の盾頭の柴岡健一郎は質問した。
「確かに豪華客船にも脱出用のボートがたくさんあると思うが、もしイナズマ団が乗っていたとしてその人数が多くその上救出の妨げになってしまえばボートに乗り換えて脱出するのに妨げが生じる。それに当日は何千人かもしくは一万人という大人数が搭乗するだろう。最新の豪華客船のデビューという意味もあって初日は大混雑するのは確実だからね」ヴィジョン教授は続けて詳しく話した。「もしイナズマ団の攻撃を受けた場合人命救助と脱出が必要とするのは必須だが、時間にも限りが生じてボートに乗せることは大変厳しくなる。危険な状況に巻き込まれたとなればこの人数ではボートに乗せるのはできたとしても救命ができなくなる恐れがある。これでは脱出を図ろうとしてもその事態がおきれば船に取り残された人達が孤立してしまい一大事になる…」
「だから、他の船数台も出港させていつでも乗れるようにして救出させる必要がある…」
「そういうことだ」ヴィジョン教授の説明に鋼の盾頭の寺松が繰り返し分かりやすく翻訳した。
「これが、イナズマ団の狙いを阻止する作戦ということだ。イナズマ団の人数はどれだけいるのかにもよるがまさかの大人数だとしたらこの場合難易度が高くなるのは間違いない」ヴィジョン教授はだんだん冷や汗が出てきた。
「ヴィジョン先生、事情は分かりました。イナズマ団が次の八月にデビューするあの豪華客船に爆弾を仕掛けて海に沈めさせるという計画がおきるんだろうということを。確かその豪華客船って、ヴィクトリアプリンセス号という巨大豪華客船のことですよね?」炎の盾頭の灯田原が聞いた。
「ああ、その名前だ」ヴィジョン教授はすぐに返事した。
「そっか、そういえばその豪華客船めちゃくちゃでかい船らしいよな。ジャンボジェット機二台分あるというでかさらしい」風の盾頭の菅田は説明した。
「そんなにでかい船なの?」草の盾頭の深島がびっくりした。
「一度調べた方がいいかもな。縦の長さ相当でかいし、横の広さもすごいらしい」水の盾頭の伏竜はそう助言してあげた。
「じゃあそんなでかい豪華客船にイナズマ団が事件をおこすというなら私達の人数じゃあ太刀打ちできないんじゃ…」深島はだんだん顔色が悪くなってきた。
「警察に医療関係者も現場に乗せなければならないのは必須だが、問題は本当にヴィジョン先生の予想を信じてもらえるか、そして船に搭乗するように説得してもらえるかだ。私達が事情を説明して警察や医療の人達も賛同してくれればスムーズに作戦が立てられるんだが…」岩の盾頭の堅本は最悪の場合も予想しながら計算しているのでその壁を乗り越えられるか心配してきた。
「どうなんでしょうね?でもそのように説明していけば警察も理解はしてくれるんじゃないかと思うんですが…」花の盾頭の宮桜が答えた。
「ある程度の説得も必要ですが証拠を見せなければ警察も動いてくれないというのも十分あり得るな。それでも強引に説得させて予想を伝えていくしかないのも事実ですよね」柴岡はそう説明した。
「そこはヴィジョン先生、先生の説得でも難しいですか?」菅田は聞いた。
「確かに証拠がなければ警察も動いてくれないのも事実だな。…しかし新聞でも書かれていたように神威は二人のイナズマ団下級幹部を殺したという情報も入ってきている。ただ十一番目の下級幹部一人だけが生き残ったというのも事実だ。警察の分析もどうなっているのか聞かなければならないこともあるが、おそらくだがその十一番目のイナズマ団幹部は八月にデビューする豪華客船に乗り込んで不審なことをおこすのはこの流れを感じ取ればだいたい予想はつくだろう」ヴィジョン教授は何度も予想は立てているため計算に自信があった。
「でも先生、イナズマ団追跡チームの警察の人にそのことを早く伝えておけば警察も動いてくれるんじゃないかと思うんです。向こうの警察も色々と角度を変えたり分析したりしてますからヴィジョン先生の分析も話を聞いてくれはしてくれると考えられますが」宮桜も警察にその情報を伝えられる自信はあった。
「そうだな。俺も同じ意見です、先生。イナズマ団対策本部室に行ってその情報を伝えるのはできるかと思います。イナズマ団下級幹部最後の一人になった要注意人物が次にいつどこで事件をおこすかを予想してみればその豪華客船に見張りと対策をすれば被害を最小限にとどめられるかと思います」灯田原は冷静に焦った様子も見せず堂々としていた。
「そうだな。では私からも警察に電話を入れ的場警部という警察をはじめとしたチームと話し合うことも動いておく。的場警部と話せる機会を設けて情報と作戦を伝えようと考えている。そこは私に任せておいてくれ。…ではここからの話だが、豪華客船に見張りをつけると同時に、他のどこかでもイナズマ団はいつどこで何をするのか分からない場合がある為見張り役を行ってほしい。同時テロを起こすのか、他に仲間を使って事件を起こす可能性も考えられる。そこでだ、盾頭の皆諸君は役割分担を図り、各それぞれ動いてくれることを今言い渡す。そして一番の主役だが、豪華客船に乗る盾頭を誰にするか今ここで決めてもらいたいのだができるか?」ヴィジョン教授が聞くと皆はすぐに答えられず少し時間をかけて考え始めた。豪華客船に乗り込むとしたら数多くの乗客たちの救助をしないといけない上、イナズマ団の人数とその主犯格の十一番目のボスを捕まえなければならないとしたら盾頭一人だけでは時間内に間に合うかが心配になってくる。一人は行かなければならないのは確実だが人数を増やすとしたらもう一人の盾頭が必要だ。沈黙が続いて五分は経過したが、ようやく決心した盾頭が一人出てきた。
「ヴィジョン先生、僕が行きます」手をあげてヴィジョン教授に申し出た。灯田原剛である。
「ミスター灯田原か。この任務を引き受けてくれるか?」ヴィジョン教授は確認の意味で灯田原に聞いた。
「はい、仮に豪華客船に爆破事件が起きた時の対処も必要の上冷静さが必要かと思いますのでこの場合、僕が行った方がいいかと思います。だから、その豪華客船に行ってきます」灯田原は迷いはなかった。むしろやる気が満ちてきた。
「何度も言うかと思うが、覚悟は決まっているか?」ヴィジョン教授は再度納得いくまで聞いた。
「はい、覚悟はできています」心の中で強く炎が燃えてくるのを灯田原は感じとっていた。
「分かった。…炎の盾頭として救出と捕獲の二つの任務をお願いする。ミスター灯田原も自分の命を守りながら全員の乗客の無事をはかってくれ」
「分かりました。お任せください」灯田原はそう言って会話を降りた。
「ミスター灯田原が豪華客船に乗り込み弟子達と一緒に任務を行ってくれる。他の盾頭も必要になってくる。あともう一人、誰か豪華客船の監視役を任せてくれる人はいるか」また沈黙が流れた。自信がない盾頭もいなくはなかった。そんな巨大な豪華客船の中で救出と捕獲の任務を行うと想像するとしたら相当
な体力も必要になってくるし頭を使って避難の道をつくらなければならないし相当大変になってくる。
「ヴィジョン先生、もしもう一人必要になってくるとしたら俺か伏竜ならどうでしょう?鋼の盾頭ですけど速さや持久力は自信あるので。伏竜さんは水の盾頭ですから船は水の上を走るんでもしもの時に水を防ぐこともできるから対処はできるんじゃないかと、伏竜はどう思ってる?」寺松は伏竜に聞いた。伏竜は腕を組んだまましばらく黙り込んでいたが、数秒後に答えた。
「なるほど。水の修業ならいくらでもやってきたからな。…分かった、鋼の盾頭の言う通り場所は船の中と上だから、水に関することは問題ない。耐久力と冷静さは自信ある。炎の盾頭である灯田原の冷静さと重ねれば俺たちがパニックになることはない。パニックになってしまっては乗客を混乱することにつながることになるしむしろそれこそ本末転倒だ。…寺松さん、この任務俺に任せていいですか?」伏竜は自信がみなぎってきたところで寺松に聞いた。寺松は冷静に伏竜に目を向いて話をしっかり聞いていた。
「分かった。…じゃあ、任せていいんだな?もし厳しいなら俺に任せていいぜ?…」
「いや、手伝ってくれるのは有り難いがこの仕事俺も手伝うことにする。灯田原さんと協力できればある程度乗客全員を無事に助けることができる。イナズマ団捕獲作戦もな。…ヴィジョン先生、もう一人はこの伏竜が行きます。灯田原さんと協力し合いながらこの任務を引き受けます」伏竜も灯田原と同じ迷いがなくなった。戦場になった時のことを予測した時だんだんと心の中で燃えてきた。
「ミスター伏竜、いいんだな?決心はついているんだな?」ヴィジョン教授はもう一度聞いた。
「はい、迷いはありません。灯田原さんと同じその豪華客船に搭乗します」
「分かった。君も同じことを言うが命を大事に守りながら乗客全員を無事にはかってくれ。救出とイナズマ団全員の捕獲を頼む」
「分かりました」伏竜も冷静になっていた。むしろ灯田原に負けないびくともしない冷静心が芽生えていた。
「では二人、よろしく頼む。残りの盾頭皆は引き続きイナズマ団の捜索を行ってくれ。これで今日の盾頭合流会議を終わるとする。夜遅くなったがお疲れ様でした」
「はい!」皆がそう返事してから帰る準備を行っていた。




