決戦へ
イナズマ団との激戦はしだいにエスカレートしていた。九階にたどり着いて上木を先頭に盾を左手に持ちながら失神銃を撃とうとしたが相手の乱射でこっちからの攻撃ができず盾で防ぎ続けるしかできなくなった。そこで後ろから、桐原、準司、将吾、そして葵も盾で上木に加勢して前に立ち盾を大きくして五人の盾で後ろにいる皆を攻撃から身を守った。ただ後ろの三回生から二回生までが「なんで一回生が二人と連携してんだ?」と呟いていたが「とりあえず煙球を投げまくるぞ」と白い袋のカバンの中から大量の煙球が入っていることを確認し、取り出して煙球の一本線が出てるところにライターで火をつけ線香花火のようについたらタイミングを計ってイナズマ団に向かって手前と奥におもいっきり投げた。地面に落ちてから火が中に入っていくと煙球はドカンと白い煙とともに錯乱すると煙が充満してイナズマ団を覆い被った。するとイナズマ団全員の攻撃が止まり、ゴホンゴホンと咳き込んで前が見えなくなった。
「よし、皆全員で失神銃を撃ってイナズマ団全員を気絶するぞ!」上木の指示で盾で皆を防いでいた五人も加勢し後ろの二回生三回生全員も失神銃を構えてイナズマ団全員に撃ちまくった。すると次々とイナズマ団は気絶して倒れていきこのまま連続して失神銃で撃ち続けるとイナズマ団全員奥の方まで気絶してそのまま床に倒れていった。
「よーし、イナズマ団全員が気絶したかどうか皆で確認していってくれるか?もしまだ気絶していない奴がいるとしたら失神銃で構えて撃ってくれ」上木がそう指示すると二回生三回生が慎重になりながら奥の方にまでいるイナズマ団全員を確かめながら進んでいった。ある二回生はビクビクしてもしこの中にイナズマ団がまだ気絶していないとしたらと考えた時ぞっとしていた。
「先輩!全員確認しましたが誰も目を覚ましていません!皆全員気絶してまーす!」もう一人の二回生男子が大声で上木に聞こえるように話した。
「分かった!じゃあ皆で手枷足枷を使ってイナズマ団全員の手足を固定していってくれ!」上木の指示通り皆全員でイナズマ団の手足を手枷足枷を使って固定していった。
イナズマ団全員の手足を手枷足枷で固定できたことを確認すると、上木も桐原もイナズマ団全員の手足がしっかりと固定できているかどうか一人一人確認していった。多少時間がかかったが二人もイナズマ団全員の手足が固定できたのを確認できた後、非常階段の前までいき「全員集合してくれ」と上木が皆に振り向き、皆全員も上木の前に立った。
「みんなよくここまで頑張った。後はイナズマ団ボスの幹部の一人を捕まえに行くだけだ。上の階にはまだイナズマ団がいると思うから今の調子でいけばそのボスの幹部の奴にたどり着ける。そこに工藤部長が捕まえられていると思うから助けに行こう。ここは確か九階だったな、確か最上階付近の階も火災になっているのが見えたな。ここのビルは最上階が十六階らしいから十六階から下の階の何階までが火災になっていると思う。ここからじゃあ見えないな。何階からが燃えてるんだ?」
「上木先輩、スマホで調べてみてはどうですか?」準司は上木に聞いてみた。
「なるほどな、一回調べてみるか?」上木はポケットの中からスマホを取り出しニュースアプリを開いて調べてみた。上木が調べていると皆もスマホを取り出し文京区の高層ビル爆破事件と江戸川区の高層ビル爆破事件の書かれているニュース記事を開いて調べてみた。
「下の方は二階から六階までが燃えている。上の方は十二階から十六階が燃えているって書かれている。十二階からが燃えているのか、ということはボスの幹部の一人は十一階にいるということかもしれないな」上木はニュースの記事を見てようやく理解できたが十一階に行くとなるともう一階上の十階を制圧してから早くその十一階に行かなければならないことを計算していた。
「皆ここまで来たけど失神銃の玉とか煙球の数とか手枷足枷の数とかは今どれぐらいある?」上木は皆に大事なことを聞いた。
「先輩、十一階まで万が一に備えられてはいますが、あともう一息でどれもなくなりそうです…」
「先輩、私もです。次の十階でなくなりそうかもしれません」
他の二回生達は二人の返事と同じような顔をした。
「そっかあ、まずいな。桐原さんは?」
「私は十一階までならぎりぎりかもね。でも十一階まで数が保てているなら十階の方は大丈夫なんじゃない?数が足りない代わりに私が煙球を投げるから。それに失神銃も」桐原は数の方は心配していなかった。
「俺もそんな感じだな。十一階まではぎりぎり持つな。だったらこのまま戦えるかもしれないから心配ない」上木も確信がついている。
「よし、じゃあ数が足りてなくて心配な人は盾で防ぎ続けることに集中してくれ。俺たち三回生が攻撃する側に回るから一回生二回生全員は盾で守る側でいいから全員を守るようにだけしてくれ。それでいいからそのようにしてくれ。…最後の戦いだ、今から行くぞ!」上木が非常階段に向かって十階の階段に走っていくと皆も上木に続いて走っていき隠れることなく静かにして登ることなく思いっきり残りの敵に向かって走っていった。
「皆ー!盾で突進していけー!」まるで歴史ドラマで見る戦の中で敵に向かって「うおおおおおおお!」と突撃していくあの光景と同じ突撃の仕方だった。そのどでかい音と声で予想通り十階のフロアからここにもドクロの仮面をつけたイナズマ団が出てきた。思いっきりアサルトライフル銃で乱射しまくってきたが上木達は立ち止まって盾で防いだ。ガガガガガーンという音が響きながら盾で防ぎ続けている中、準司は前に出た。将吾と葵に「おい、やめとけ!」と止められても無視して煙球にライターで火をつけてタイミングを計ってイナズマ団に投げとばした。そして煙球はドカンと錯乱し銃で乱射していたイナズマ団も腕で防ぎ乱射を止めた。そして上木は一番手前にいるドクロの仮面をつけたイナズマ団の男に直ぐ様失神銃で一発撃った。するとそのイナズマ団は倒れた。前が見えないイナズマ団は咳き込んでいるその瞬間に皆で一斉にイナズマ団に失神銃で撃ちまくった。続いて倒れていった。この調子で上木を先頭に皆全員一斉に十階のフロアになだれ込んでいき盾を前にして煙球を使わず勇気を出して失神銃で撃ちまくった。
三回生全員が上木の後ろにまわって数がまだ余分にある人が煙球にライターで火をつけてイナズマ団に投げつけた。ドカンと白い煙が大きく蔓延した時、このイナズマ団達も咳払いするだけで精一杯で目の前が真っ白で何も見えなくなった。その隙間に三回生二回生がその場で突っ立っているイナズマ団全員に失神銃で撃ちまくった。
そして上手くいった。イナズマ団全員一斉に倒れた。
「よっしゃあ、ここも制圧できたな。皆で全員の手足に手枷足枷で縛っていこう」上木の指示で手枷足枷がまだ足りている人達が次々と早速縛っていった。数の足りない人達は次のボス戦に備えたいためにただ手伝いたかったがただ立ちつくしかなかった。
これでここにいるイナズマ団全員も手枷足枷を固定できた。たとえ目が覚めて動こうとしても両手と両足が固定されているのでどれだけ抵抗したくても動けない。今まで手枷足枷で縛ってきたイナズマ団全員も目が覚めても動けない以上無駄だ。ヴィジョン教授が開発したこの手枷足枷もちゃんと計算されているため気にすることはないと皆は信じていた。
「全員を縛れたな。皆、本当よく頑張った。ここからが爆破事件を犯したイナズマ団ボスの手下を捕まえるだけだな」
「上木先輩、工藤部長と一緒に戦いに行ったあのメンバー達は今どうしてるんですかね?警察の人達もここらにいる気配がないし、一体どうしたんでしょうかね?」二回生の男子がそう話すと皆もそういえばと忘れていたことを思い出した。…工藤部長がボスに捕まえられたなら今頃戦ってそのボスを捕まえているはずだ。
でも上の階からは何も聞こえないし、爆音やドタバタした騒ぎみたいなものが聞こえない。…一体どういうことだ?
「まさか先輩、警察も皆さんもそのイナズマ団ボスの手下に負けたんじゃないですよね?」二回生の男子が続けて聞いた。
「まさかだよな…この静かな様子もなんか不気味だな…とりあえず十一階に行こう。そこに何かおきているかもしれないし急ぐしかねえな…」その時、ライン電話が鳴った。桐原のスマホからライン電話が鳴っているのが聞こえる。
「はい」桐原が電話に出て返事をした。
『もしもし、桐原さんか?俺だ、辰和也だ』辰准教授だ。工藤部長が出られないと分かって次のリーダーにかけるしかなかったのだろう。桐原はスピーカーをオンにした。
「辰先生、すみません。工藤部長が出られない訳をイナズマ団から聞いて…」
『イナズマ団?じゃあつまり工藤君はイナズマ団に捕まっているということか?』辰准教授は素早く気づいた。
「はい、そうなんです。実はヴィジョン教授の研究室で救助組と捕獲組と二手に別れて決めまして被害者救出とイナズマ団捕獲と行っていたんですが、捕獲組が十一階に突っ走って戦っていたらしいですが、イナズマ団に出くわした時にその話が出まして…」桐原は詳しく自分たちの知っている範囲内で話した。
『そっかあ、だから電話に出なかったのか…実はだな俺たちの方はこっちの文京区の高層ビルの中にいる人達を救出してイナズマ団全員を捕まえて警察に連行されたばかりなんだ。ようやくイナズマ団のボスの手下の一人を捕まえることに成功したところなんだ。やっと一件落着ができたから次はそっちの江戸川区の高層ビルが心配でそれで大丈夫か電話したんだ。工藤君が出ないなら次のリーダーに電話するしかないと思ってそれで君に電話したということなんだ』工藤が出られない代わりに桐原は詳しい話を聞くことができた。
『ところで君ら、どこまでたどり着いたんだ?もうボスの手下に会ったか?』辰准教授は冷静に聞いた。
「いいえ、今私達十階にいてイナズマ団全員を倒して手枷足枷でしっかり固定したところなんです。もうこの上の階に行くとおそらくそのイナズマ団の手下がいると思います」桐原はさらに詳しく説明した。
『なるほど、確かに十二階から最上階の十六階までが火災になっているから十一階にそのイナズマ団ボスの手下がいるのは間違いないな。さっきニュースを見たけど二階から六階まで消火できたらしいな。ただ今もまだその十二階から最上階までは燃えているみたいだ。ただその残りの最上階までの消火をするためにはその手下を倒してから消火をするしかない。そのイナズマ団は何をしてくるのか分からないから残念かもしれないが今はそいつと戦うしかない』辰准教授の話を皆が聞いてまた絶望の雰囲気が漂っていた。残りの最上階に助けに行くことができないなんてと悔しさと絶望感に染まった。
「じゃあ先生、二手に分けて救助と捕獲と再度別れて行動するのはできないということなんですか?」
『ああ、そういうことだな。十一階にイナズマ団が罠を張って先を通させないように何かしかけてあるかもしれないから先に十二階に助けに行こうとするとかえってそのイナズマ団が何してくるか分からない。極端に言えば殺されるかもしれない。だから、もう十二階から先に行くのは考えない方がいい』辰准教授は必死に説得していたが桐原は怒りがますます勝っていた。
「辰先生、辰先生の判断に納得できません。十二階から十六階までに取り残されてる人達がいるかもしれないのにその人達を見捨ててイナズマ団と戦うなんて私にはできません!だったら力ずくでそのイナズマ団ボスを防いでから十二階に行くことにします!あんな悲惨で残酷な姿をまた見たくもありません。下の階で亡くなられた人達を私は見てきました。すごく悔しくてイナズマ団が許せなくて…こんな酷いことをした事件にこれ以上の被害を出させたくありません。…辰先生、命をかけても十二階から最上階に私は行きます。もう六階で亡くなられた人達と同じような形になっているかもしれない。それでも助けに行きます!」桐原は本気だった。桐原の熱意に辰准教授は言い返せなくなった。桐原の助けたい気持ちも分かるし、イナズマ団ボスを捕まえたい。辰准教授は何かいい方法がないか考えていたが、選択肢は一つしか思い浮かばない。そんな時、辰准教授はあることを思い出した。
『桐原さん、工藤部長にもさっき電話で話したが盾の頭に出会ったか?』
「えっ?…盾の…頭?」桐原は辰准教授が急に話が変わったためなんのことか分からなくなった。
『元々ヴィジョン先生の弟子だったんだが、就職してセキュリティ会社に行ったんだ。イナズマ団に匹敵する強い盾の持ち主を盾の頭と呼んでいる。もうそろそろ君らと出会う時間かと思っているんだが、会ってないのか?』辰准教授はだんだん焦りが出てきた。
「はい、出会ってないですが」
『マジかあ、一体あの水の頭はどこで何してるんだ?…たぶんだがもうそろそろ君らに出会ってくれると思う。ヴィジョン先生とスマホでやり取りしているところを隣で見てたんだけどな。何やってんだか…でも時間がない。君らはイナズマ団ボスと対峙してくれ。俺も水の頭に電話するからすぐに駆けつけにきてくれると思う。その人なら君の救助作戦もできるかもしれないからとりあえずそれまで十一階に行ってくれ。君らの勝利を祈る。もう時間がないだろ?もうここで切るぞ』辰准教授は水の頭という人物とまだ合流していないことにますますイライラしていた。
「分かりました。とりあえずその水の頭さんという人と合流できるまで上の階で時間稼ぎをします。それまではイナズマ団ボスと戦います」
『おう、じゃあ頼んだぞ。水の頭のことはこっちに任せておけ!』
「分かりました!じゃあ行ってきます。失礼します」辰准教授の方からライン電話を切った。おそらく水の頭に急いで電話しようとしているのだろう。
「桐原さん、その水の頭さんという人と合流できれば十二階から最上階までの救助もできるんじゃないか?」上木は聞いた。
「本当だよな?その水の頭という人、盾の頭って呼ばれてるんだろ?イナズマ団に匹敵する強い盾の持ち主ならまだ救いがあるはずだ」三回生の増田は光が指したかのように希望の気持ちがわいてきた。
「もうこのまま行きましょう、工藤部長やみんなを助けるために」二回生男子が三回生を中心に全員にやる気を奮い立たせた。
「そうね、行きましょう。後はあの非常階段を登るだけね。その先にイナズマ団ボスがいる。行きましょう」桐原と上木が先頭に皆も後に続いて非常階段を登っていきついに十一階のフロアにたどり着いた。
しかし、その光景は予想外なものを目にした。




