盾の頭
工藤達チームは上木達を信じて次の上の階へ警察用の盾と防具を身に付けた警備課所属の警察の人達と一緒に階段を登って行った。上へ登って行くと同時に火の勢いがますます増していた。すごい熱風が非常階段まで届いていた。四階に登ると非常階段が空いていた。その側に消防署の人達が消火活動を続けていた。
「消防隊員の方ですか?」警察のリーダーが大声で聞いた。
「はい!警察の方々ですか?」消防隊員も聞いた。
「はい!我々も救助とイナズマ団の捕獲に参りました。消火の具合はどうなんでしょうか?」警察のリーダーも消防隊に聞いた。
「だんだんと火の勢いは弱まってきましたが、まだ鎮火には至っていません」消防隊員が説明した。
「鎮火ができるまで四階から上の階はかなり危険な状況です。我々消防隊はこの四階から上を消火している最中です。我々も取り残されてる人達の救助を急いでいます。消火のことは私達に任せて下さい!警察の皆さんは事件をおこしたイナズマ団の捕獲に集中してください!」燃え盛っている炎と格闘しながら消火を見守っていた消防隊員一人が警察達に分かりやすく説明し警察達に伝えた。
「分かりました。では消火を頼みます。ここの四階に他の人達は取り残されていますか?」警察のリーダーは聞いた。
「はい、聞いたところ奥に何人か閉じ込められていると聞きました。この奥に」この炎の勢いで一瞬絶望しかけた。まだ鎮火できていないこの炎の中に入るのはかなり危険だ。この避難通路に道を開けなければ救助することができない。ヴィジョン教授の開発した消火器で鎮火しきれるのか、ただこの四階から上の階まで消火しようとするならば数と量が足りるのかが心配になる。
それに自分達が行う任務はイナズマ団を一人も逃がさず捕まえることだ。こんな勢いの強い炎の中でイナズマ団と戦うなどかなり危険だ。
「どうします?工藤部長」警察の人数と同じ人数が下の階で鎮火と救助を任せたため工藤部長率いるこのメンバーで消火と救助にイナズマ団捕獲を全てやりきろうとしても数が足りない。
「消火は消防隊に任せるしかないわね。こんなところでグズグズしていても時間が経ってばかりじゃ火がさらに増してしまう。私達も消火器で消火したいけど、私達の任務はイナズマ団捕獲だから時間との勝負になってくるのは必死ね」
「じゃあ俺がイナズマ団捕獲を任せてもいいか?」いつの間にか坂本がひょいと出てきた。
「ダメよ!グループで動かないと、単独行動でバラバラに動く方がかなり危険なんだから」工藤がそう言っているその時、スマホに電話がかかってきた。
「はい…あっ、辰先生?」
『ああ、俺だ。今は文京区のビルで救助とイナズマ団捕獲をやっている。そっちの様子はどうだ?』辰准教授も必死の中で工藤に聞いた。
「はい、今四階の非常口にいるんですが、四階から上の階は火災で動きがしづらくて、救助を先にはかりたいんですが火の勢いでなかなか中に入れない状況です」工藤は詳しく説明した。
『やっぱりそうか。俺も予想していたが、前に進みづらいか。消防隊の人数はどれくらいいる?』辰准教授は聞いた。
「どれくらいの人数かは正確に言えないですが、数は足りている人数だと聞きました」工藤は大きく話した。
『じゃあ工藤さん、警察の人数は?』
「四十人体制で私達と一緒に動いているんですが、二階と三階に十人ずつ消火と救助を任せました。今ここにいるのは二十人います」工藤は詳しく説明した。
『それじゃあ最上階に行く時にその人数ではかなり危険だなぁ。もう少し警察の人数を増やすのはどうなんだ?頼めないのか?』辰准教授は大きな声で工藤に聞いた。
「今聞いてみます」工藤は素早く警察のリーダーに聞いた。
「警察の皆さんの人数を増やすのはできますか?」
「人数ですか?分かりました。今加勢を計りますので呼びます」警察のリーダー役はすぐに加勢の要請をお願いをした。
「工藤さん、今ここに他の警察もこちらに加勢に加わりますから安心して下さい」
「あっ、ありがとうございます!…辰先生、今警察の人数が増えましたので人数確保は大丈夫です」
『そうかだったらそれでいい…後もう一つニュースを見ているんだが、そっちの高層ビル、最上階と三階から六階までが火災で全焼しているのが映っている。ということは一階と二階、七階から十階までがまだ燃えていないということが分かる。その階にイナズマ団が潜伏しているかもしれない。それにまだ時限爆弾かそれ以外の爆弾を設置しているのかもしれないから、くれぐれも気をつけて動くことだ。奴らも次何してくるのか予想がつかない場合もあるからそこは用心してくれ。難しいこと、自分では手に負えない場合は警察や消防隊に助けを求めることだ、いいな?』辰准教授は工藤達に説明すると工藤は「はい、ありがとうございます」と言って感謝した。
『後もう一つ言い忘れてたが、盾の頭そっちに一人用意しておいたぞ』
「盾の頭?」工藤はいきなり聞き慣れてない言葉が出てきたので聞き返した。
『部長なのにまさか知らないなんて言わせないだろうな?ヴィジョン先生の元弟子で卒業生のあの頭のことだよ。事件のことを知ってそっちに向かっている。水の使い手の頭だ。分かるだろ?』辰准教授がそう詳しく説明すると工藤はだんだんと思い出してきて「あっ、ああー!あの人のことですね!はい!助かります!」工藤は興奮した。工藤が興奮している訳が分からない残りの人達は早くしてくれないかとイライラしてきた。
『そっちの爆発事件がおきた江戸川区の高層ビルに向かっている。こっちの文京区にも頭一人が来る予定だ。到着するまで時間がかかると思うがとりあえずそっちはそっちのやることに集中してくれ。時間がない。また何かあればこっちから電話するからここで切るぞ。くれぐれも気をつけて動いてくれ!』
「はい、分かりました。私達も頑張ります。また電話で、じゃあ失礼します!」
『ああ、無事を祈る!』工藤はスマホの電話を切った。
そして頭の中が素早く切り替わったのか工藤は皆に説明した。
「みんな、聞いて!ここから救助とイナズマ団捕獲の班に別れる。救助は消防隊と一緒に動いて下さい。そしてイナズマ団捕獲は警察と一緒に動くようにして下さい。動きやすくするためにこうするしかありません。とりあえずそれぞれ班に別れて、辰先生が言うには一階と二階、七階から十階までがまだ燃えていないみたいだから捕獲する側は警察と一緒にその階まで行ってください。そして救助する側は消火活動に集中してください。ごめんね、私も救助を手伝いたいけど、時間の都合でそうするしかないから、救助班の皆さんはそっちに集中してください!私はイナズマ団捕獲に集中しますので本当に後は頼みます。じゃあもう時間がないので各それぞれ動いて下さい。警察の皆さん、ここからも宜しくお願いします!」
「分かりました、一緒に行きましょう」警察がそう返事すると、工藤は捕獲班と一緒に上の階に急いで向かった。一番興奮している坂本は工藤のすぐ後ろに走り「よっしゃあ、捕獲だー!」と言って階段で上に向かって走っていった。その後ろに捕獲班達は続いて着いていった。
準司達三人は救助班としてここに残った。
「よし、工藤部長達を信じよう。手分けして消火を急ぎましょう、消防隊の皆さん私達も加勢します、宜しくお願いします!」
「分かりました!」水の使い手の桐原結依が工藤の代わりに救助班のリーダー役として引き継いだ。
「じゃあ消火器を持って中に入ります。火傷しないように気をつけて」桐原リーダーに続き皆も準司達三人も消火器を持って燃えている炎に向かって消火を始めた。
リーダーが消火器で火におもいっきり噴射していくとすぐには消えなかったが徐々に火が消えていった。ようやく道が開けた。
「よし、この調子で廊下と部屋に消火をみんなでしていって!」
「はい!」皆で返事して酸素マスクを頼りにそこらじゅう燃えている炎に向かって皆それぞれ消火器で消火していった。準司達も消火器で火をおもいっきり鎮火していきながら誰かいないか端から探していった。ほぼ全員の消火活動で火がますます鎮火していけた。
「君たち皆さんはここの会社の方達ですか?」消火していた他の消防隊員達が消火中に聞いてきた。
「いえ、学生の者です。ヴィジョン教授の弟子でして救助に駆けつけに来ました」桐原は説明した。
「ヴィジョン教授?つまり大学生ということですか?」
「はい、イナズマ団捕獲のためにここに、とりあえず消火を手伝います!」桐原は説明している場合じゃないと消火に集中していた。
「助けに来てくれたんだね。ありがとう、でも気を付けるんだよ。ここにはまだ消防隊達が何十人もいるからそこは安心して下さい」
「分かりました、ありがとうございます!」桐原は感謝した。これなら一から心配することなく消防隊と連携がとれる。
皆の力でようやく火が鎮火してきた。後は中にまだ生存者がいないか探しに行くことだ。準司達三人も手分けして白い煙の中に入りながら「誰かいませんか!」と叫んでみた。
すると、
「誰か、助けてください…私はここにいます…」かすかな声がした。男性の声だ。準司はその男性のところまで行き部屋を開けた。そしたら
「あっ、大丈夫ですか!?ケガはありませんか!?」やっと見つけた。まだ中にいたということは呼吸ができているか確認した。ただこの男性はハンカチを口に当てていたので重症にまではなっていなかったが、油断は許せない。
「呼吸の方は大丈夫ですか?とりあえずここを出ましょう…」
「お兄さん…実はまだ…あそこに…人がいるんです…助けて…あげて…ください」男性はごほんごほんと咳をして必死に準司に訴えた。
「分かりました、全員を救出しますのでとりあえず消火ができているのですぐに非常階段の方に逃げてください。そこに消防隊がいますので。残りの方達のことも任せてください!」準司はそう言うと男性は「ありがとうございます!」と言ってハンカチを口に当てながら外へと逃げた。
準司はその近くのドアを開けた。すると女性だろうか、スーツ姿の着た女性ともう一人の女性が横向けに倒れていた。
「大丈夫ですか!?救助に駆けつけました!聞こえますか!?答えてください!聞こえますか!?」準司がどれだけ女性二人に体を揺すって返事しても二人ともしばらく返事がなかった。




