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戒告の盾  作者: ヨシ
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訓練の参加へ

準司、葵、将吾、坂本はどっちから行こうかと後ろから眺めながら悩んでいた。一回生は一番最後の列になるのは確実だから時間は長くなるのは間違いない。まだ三回生が訓練を受けているところなため後列の二回生全員は外で立ちながら待機していたり座って待機している人達もいた。

「これって順番関係なくどっちからでも行っていいんだよね?それに並ばないといけないよね?」葵は三人に聞いた。

「そうなんじゃない?見た感じあの三回生達も適当に並んでたからどっちからでもいいと思う」将吾が答えた。

「ふん、じゃあ俺は右端のあの機械に行こっかなあ」坂本は二回生女子の後ろに並んだ。

「俺は真ん中の機械に挑戦するよ」将吾はそう言って真ん中の最後列に並びに行った。

「準司はどうする?」葵は準司に聞いた。

「そうだな。俺は順番通りに行きたいから左端から行こうかと思ってるけど」準司は葵にそう言った。

「準司もそう考えてたの?私もそうしようと思った。じゃあ二人であの左端の機械に行かない?」

「いいよ、そうしよっか」準司はそう言って葵と一緒に左端の最後列に並んだ。


前列の三回生、二回生が次々と息が切れてハアハアとヘトヘトになって倒れたり、次の機械に移動したりしてだんだんと順番が回ってくると準司達は盾を自然と構えてくるようになった。準司と葵が並んでいる列であのポンプの水圧を浴びただけで息が切れてる人が相当多かった。その様子を見ていた後ろから眺めていた人達、そして準司と葵は表情が曇り出した。

「ねえ、あれ大丈夫なの?息ができないぐらい苦しいのかな?」葵は準司に聞いた。

「そうなんじゃない?あれたぶん息ができないような水圧がかかってるから水から防ぐ訓練というより肺活量を鍛えるための訓練じゃないかな?」準司は葵に聞こえるように顔で後ろを向きながら説明した。

「私たち、あれ耐えられると思う?」葵は準司に聞いた。

「分からない。やってみるしか」


そしてついに準司の番が回ってきた。準司の前に並んでいた二回生の男子がハアハアと息が切れて両手を膝に置いて暫く動かなくなっていた。それを見ていた葵はさらに顔が真っ青になった。

「準司、頑張ってね。どんな感じだったか教えてよね」葵は自信がなくなってきた。

「わかったけど、自分で確かめた方が早いと思うよ。じゃあ行ってくる」準司が葵に向けて手で合図すると葵は頑張ってねと準司に言ってるのが聞こえた。

準司は前に進んでいくと月本が笑顔で合図した。

「君は確か一回生だったような…名前は?」月本は聞いた。

「三田原準司と申します」名前を準司は紹介した。

「なるほど、一回生でこの訓練を受けるのは君が初めてということだな。体力相当使うけど覚悟はあるかい?」月本は少し圧をかけた。

「やってみなきゃ分からないです」準司は言った。

「そうだな。じゃあ早速訓練を始めようか。そこのバツ印があるだろ?そこに立ってくれるか?」準司は言われた通りにそこに移動した。

「さっきも言ったように大量の水が一気にぶっかかってきてきます。それをあなたが盾でおさえつけることです。そして暫く押さえ続けてください。体力もそうですが、肺活量を鍛えるための訓練でもありますから頑張って耐えて下さい」準司はやっぱりそうだと確信した。相手が仕掛けてくる攻撃に耐えるための訓練じゃなく肺活量を鍛えるための訓練だということを後ろで見ていた時そう思っていた。

「では放水が始まります。盾を構えてそのままじっとして下さい。では始めます」機械がウィーンという音がなり始めた。そして数秒後に水が徐々に出てきた。だんだんと水圧が上がっていきついに準司の盾に向かって水が一気にぶっ飛んできた。すごい水圧が襲いかかってくると準司は必死に盾を構えて前に押し返した。確かに息がしづらい。ここまでこんなにきつくなるなんて…なんて苦しいんだ。やばい、呼吸を整えたいのに水圧の勢いで立て直せない。

準司は焦ってきた。このまま耐え凌ごうとしたくても動けなくて体勢が取りづらい。一体どうすれば?

準司はバツ印の場所から少し後ろに後退した。力を抜いてしまえばそのまま後ろへ吹っ飛ばされる。こうなったら理由関係なく体全体で前に押し倒すしかない。もう一度バツ印の場所に前へ戻らなきゃ。

とりあえず理屈抜きで準司は体全体で前へおもいっきり押し倒した。おもいっきり、おもいっきり…。

バツ印のところに少しだけだが、前に進んでいけた。準司は歯を食いしばった。体全体が潰れるかもしれなくてもそれでもいい。終わるまでこのまま耐え凌ごう。

十分は過ぎた。月本はようやくスイッチを押し機械を止めた。

「はーい、お疲れさまー。どうですか?大変でしたか?」水圧がだんだんと弱まると準司は前のめりになって倒れた。息が切れてハアハアと言って暫く立てなくなった。

「大丈夫かい?動けそうか?」月本が準司に聞くと準司は息が切れながら話し出した。

「は、はい…ちょっと…ましに…なりました。…こんなに…こんなに…体力使うんですね?」準司は意識をしっかりしながら月本に聞いた。

「ハハハハハー。そうでしょう?これが肺活量を鍛えるための訓練なんでね。初めてにしてはよく耐えられましたね。よく頑張りました。じゃあ残りの二つの機械に行って下さい」

「は、はい…ありがとうございました」準司は一端立ったまま膝に両手を置いてハアハアと落ち着かせた後、葵のところに戻ろうとした時、葵が心配そうにして準司に声をかけた。

「準司、大丈夫?」

「うん、俺はある程度耐えられたから大丈夫だけど、放水している中に盾で押さえつけてた時は本当に息ができなかったな。だから俺も葵がこの訓練に耐えられるか正直心配かな」

「えっ?」準司は説明したが、葵はますます顔色が悪くなってきた。

「まあでも葵は空手やってきたもあるし体力はまだある方だろ?そこまで鍛えたんだったら心配することはないんじゃないかな?」準司は葵に自信を持たせようとそう言ってあげた。

「…何か準司の言ってること嘘っぽいような感じに聞こえるんだけど。本当に私も耐えられるんだよね?」葵は準司にもう一度聞いた。

「それはやってみないと俺も自信持って言えないよ。ただ俺は葵がこの訓練に耐えられると思うけどな。さあ、もう時間だよ。月本さんも待ってるよ」準司は後列の待っている人達が気になったため、葵にも向こうに目をやった。

「じゃあ俺次の機械に行くからまた後でな。大丈夫、葵も強く鍛えてきたんだからもっと自信持って、な?じゃあ行くよ」準司が葵に言うと葵は「分かった」と言って諦めて月本のところに行った。

準司は隣の機械の訓練に移動し、列の一番最後に並びに行った。


次の機械は鉄針を盾で受け止める訓練だ。どんな修業なのかだいたいは想像できてはいるが、確かあの鉄針を銃弾だと思って盾で受け止める訓練って聞いたけどな。

そういえば、坂本と将吾は今どうしてるんだろう?葵は今から放水の訓練を受けているし、ただ二人はどこにいるのか気になるな。

準司は周りを見渡してもどこにいるのか見つけにくかった。よくよく見渡していた時、坂本の姿が見えた。あいつは放水の訓練の行列に並んでいて後ろから五番目に並んでいるのが見えた。あいつ、もう二つの機械訓練を受けたんだろうか?それとも二つ目に並んでいるんだろうか?あいつもせっかちだからなあ、もう二つの機械訓練受けたなら余裕な気持ちでいるんだろうな。

そう見ているうちに葵が放水の訓練を受けている所が見えた。葵も前かがみになって必死に耐えているのが分かる。このまま耐え続けてくれと準司も心の中で呟いた。

あの放水の量は確かに豪雨の中で自転車を走らせている時のあの息苦しさと似ていたが、準司は経験していたとしても、葵はどうなんだろうか?自分と同じ経験したことがあるなら話は別だが、もし経験がないとしたら…。

葵は必死に顔の表情は大変そうに見えてはいたが、逃げもせず水圧におもいっきり耐えていた。後何分で終わるのかわからないがあそこまで耐えしのげているのならもう一息だ。頑張れ葵。

前の様子を伺いながら葵を心配そうに見て準司は思った。


川下が担当している機械の順番にようやく準司の出番がきた。川下が「はい、次の人」と合図をした時準司は前に出た。

「君確か…」

「はい、三田原準司と言います」準司は紹介の挨拶をした。

「四人で同時にここに来た一回生の一人だね。さっき松田将吾君が受けてたけど知り合いなの?」

「はい、同級生でゼミも一緒で友達です」準司は詳しく紹介した。

「なるほど、分かりました。さっきも説明があったようにこの機械は鉄の針が一斉に飛んできます。それを盾で防ぐ訓練です。すごい衝撃がきますが、それでも耐え忍んでください。時間がきて、はい止めと言うまでその場で耐え続けてください。何か質問はありますか?」川下が質問すると準司はいいえと答えた。

「よろしいですか?では心の構えを行ってください。覚悟を深めて盾を構えて集中するようにして下さい。ではいきますよ」川下は機械のスイッチを入れた。すると機械がウイーンと音が鳴り始め、川下が合図を送った。準司は盾を構えた。

「そこのバツ印に立って、はい行きますよ、三、二、一、発射!」川下がもう一つのボタンを押した。すると鉄の針が一斉に準司に向かって飛んできた。盾に鉄針がぶつかってきた時すごい衝撃の波が伝わってきた。そして連続して鉄針が盾にぶつかってきた時すごい衝撃の連続がぶつかってきた。

準司はその衝撃で目が一気に覚め必死に盾で押さえつけた。

「はい、強い衝撃ですがそのまま耐え続けて。攻撃が襲い掛かってきたと思って、さあそのまま耐えて」鉄針が連続に飛んでくる音に負けないぐらいの大声で川下は準司に声かけをした。

すごい振動だ。盾が壊れるんじゃないかというぐらいガンガンガンと音を立てている。これが銃弾だと想像すると余計に怖くなってきた。確かにこれを銃弾だと思って盾で防ぐ訓練を受けないとイナズマ団と戦える資格などない。そう考えるとそんな甘ったれた考えをしている場合じゃない。準司はそう考えると姿勢を立て直した。

もしもイナズマ団が銃弾の攻撃をしてきたとしたらどう防ぐかの訓練だけでなく、銃弾の攻撃が降りかかってきたとしてもその圧力に屈さない根性を鍛えるための訓練ということも身に付けておかなければならない。そう思った準司は姿勢を少し前に倒して鉄針の攻撃に耐え忍んだ。この感覚、イナズマ団と図書館で戦った時のことを思い出した。銃弾が降りかかってきたあの衝撃を今でも忘れていない。その経験をしたからか怖さは取れていた。

ようやく十分ぐらいは経った。川下は「はい、止め!」と大声で叫び、機械のボタンを押して鉄針の放射を止めた。

「どうもお疲れさん。どうだ、怖かったか?」

「最初のうちは盾に当たった時の衝撃にびっくりしましたが、イナズマ団と戦うことを考えると耐え抜かなければと思いました。いい訓練と思いました」準司はなぜか自信が漲ってきた。

「そうか、それならいい度胸だ。そうだ、その考えが大事だ。イナズマ団という敵を知るきっかけにもなる。そんな甘い考え方ではこの訓練は耐えられないことも学べるだろう。まだ一回生なのによく耐え抜いた。その調子で次に進むといい。まだここが初めて受けたところかい?」

「いえ、水圧の訓練を受けてここに来ました」準司は説明した。

「そうか、じゃあ残りは滝島さんの機械訓練だけだな。ここまで来たらもう怖さもなくなっただろう。あともう一息だな。それじゃあ頑張ってくれ」

「ありがとうございます!」準司は感謝の挨拶を川下に言ってお辞儀をすると、また右隣に向かい滝島の機械訓練に行き最後列に並ぼうとした時、後ろらへんに葵が両膝に両手を置いて前かがみになって息がきれているのが見えた。準司は葵の所に並ぶ前に駆け寄り「大丈夫か?」と声をかけた。

「…準司…あれ本当に耐えられたのね」葵は息がハアハアといいながら返事した。

「あの勢い、息なんてできなかったよ。何とか耐え忍んだけど…これ、次に行かなきゃならないんだよね?」葵は準司に聞いた。

「葵は余裕で耐えられると思ったんだけどな。どうする?ヴィジョン先生に言ってリタイアする?」準司はそう聞いた。

「いや、大丈夫だよ。まだ心の準備ができてないだけ。…鉄針の訓練だよね?準司はもう受けたの?」葵は準司に聞いた。

「うん、もう受けたよ。確かにぶつかってくる衝撃は凄まじかったけど、イナズマ団と戦う覚悟を意識して受けたらそんなに苦しくは感じなかったよ。あの鉄針を銃弾が降りかかってきたと思って覚悟しないと甘ったれた考えじゃ耐えられないと思うな。たぶんそんな訓練じゃない?」準司は葵にそう説明した。

「…なるほど、分かった。だったら訓練受けられると思う。もう準備できたから並んでくる。準司はあと一つだけなんだよね?」葵は準司に聞いた。

「うん、滝島さんの訓練だけだな。あの訓練は反射神経を鍛えるための訓練だろうな。じゃあ俺行ってくる…」

「おーい」横から将吾の声がした。振り向くとやっぱり将吾だ。

「みんなもう全部行った?」将吾は皆に聞いた。

「いや、俺は滝島さんの機械訓練だけだな、将吾は?」

準司は聞いた。

「俺もあと一つだけで、滝島さんの訓練だけになったな。だから準司と一緒さ」

「じゃあ将吾は鉄針の訓練を受けてから水の訓練を受けに行ったってこと?」準司は将吾に聞いた。

「ああ、そういうことだな」将吾は皆に分かるように返事した。

「水の訓練、あれ本当に肺活量めっちゃ使うよな。あれは苦戦したな。耐えられるか本当に心配したぜ」将吾はあの怖さを思い出しながら経験したことを語った。

「じゃあ将吾も最後の訓練受けるんだよね?いいなあ、私まだ一つしか受けてないのに」葵は焦りが若干出てきた。

「まあ焦らなくていいよ。でももう次に行けそうか?」将吾は聞いた。

「うん、もう並ばなきゃね。二番目の訓練受けに行ってくる。二人は三番目の訓練受けに行くんだよね?頑張ってね」葵は二人に応援した。

「うん、頑張ってくる。葵も頑張れよ」将吾も葵にそう応援した。

「じゃあ俺達行くね」準司は葵に言った。

「うん、じゃあまた後でね」葵がそう言うと準司と将吾は三番目の最後列に並びに行った。



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