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戒告の盾  作者: ヨシ
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決意と覚悟

ヴィジョン教授は目を閉じたまま準司の話を聞いていた。他のここにいる皆も準司の話に夢中になって何もしゃべらず聞いていた。準司がなぜヴィジョン教授の弟子になりたいのか、その訳を全て話し終えるとヴィジョン教授は目を見開いた。

「なるほど…君のお父さんとは仲良くさせてもらっていたからね。あの事件は今も忘れてはいない。まだ君はその時六歳だったんだね、大変辛い思いをしたと思う。…そうか、イナズマ団からよく耐え抜いたね。そして楢崎さんを知ったのはその時だったんだね」ヴィジョン教授も楢崎のことを懐かしく思い出していた。

「はい。イナズマ団が家に来た時母はもう一息で殺されるところでした。僕も奴がどこで僕のことを知ったのかははっきりとまでは言えませんが、もう一息で殺されていたところでした」準司は少し間を開けてから話を変えた。「…話が変わりますが実は先生、ここに初めて入った時写真が並べてあるのを見たことがあったんです。後ろに飾ってある写真のことなんですけど、その中に楢崎さんも一緒に映っているんですよね?あれはどんな時の写真なんですか?」準司は後ろを向いて右手で写真に向かって指図した。皆も準司の右手で指している方に向かって向いた。

「ああ、あの写真のことか…あれは確かここに転職して一年が経った時ぐらいの写真かな。楢崎さんが私のことを心配して駆けつけてくれた時だった。同じセキュリティ会社に勤務していたこともあってそれで当時の学生達と一緒に写真を撮ったんだ」ヴィジョンは写真の方を見ながら準司をはじめ皆に説明をした。

「そうなんですね…じゃあ楢崎さんはヴィジョン先生の手伝いをされていたんですね。…話をまた元に戻すと思いますがヴィジョン先生、僕も父親がイナズマ団に殺されたことからヴィジョン先生の弟子にさせて下さい。イナズマ団を捕まえるためにも。どうか本当にお願いします」準司は深く頭を下げた。皆は深く頭を下げている準司を見守りそしてヴィジョン教授の反応を待った。

「私からも何度も言うと思うが君に真の質問をしたい。まだ君は一回生だ。相手のイナズマ団を捕まえるのに容易ではない。むしろ強敵だ。まだ君は危険なこととはどんなものかまだわかっていない。私が開発している盾を味方にしてあの強敵を捕まえるために何かを犠牲にする覚悟はあるのか?…」ヴィジョン教授がそう深い覚悟の話をしている時に準司はゆっくりと顔を上げて話を聞いてからはっきりと本心から言いたいことを勇気を振り絞ってぶつけた。

「先生、逃げてるつもりなのですか?逃げてるなら最初から開発をしていませんよね?何のために先生はここにいるのですか?凶悪なイナズマ団を捕まえるためにはそれぐらいの覚悟があるのは当然のことですよね?僕は最初から覚悟は持っています。二度とあの最悪な事件が起こらない時代を築いていくために僕も立ち向かいたい。…僕は逃げたりなどしていません。そのためにここに来たのですから。先生、それでも僕はここから帰らなければなりませんか?」準司は心底から何もぶれていなかった。迷いもなかった。イナズマ団を捕まえる覚悟の証拠を準司はヴィジョン教授にぶつけた。ヴィジョン教授は暫く黙った。周りの皆も準司の熱意にじっと見つめていた。

そしてヴィジョン教授はまた口を開いた。

「そこまでの覚悟があるのは私にも分かった。私はあの時のような失われる残酷さをこれ以上見たくもないのだ。そこを私も心配している。…だが、そうか、わかった。君がそこまでの熱意と覚悟があるなら…いいだろう。ミスター三田原、君を正式に私の門下生の一人として入ってもらうこととする」

準司は少し笑顔が出た。ようやくこの時がきた。長年求めていたヴィジョン教授の弟子になったのだ。

「先生、そんなことしていいのですか?彼はまだ一回生ですよ!二十歳未満の子を迎え入れるなんて今までなかったのに」扉の近くにいた工藤がそう言うと準司のそばにいた将吾はびくっとして工藤の方を向いた。そういえば準司の話で夢中になっていたから工藤の存在を忘れていた。

「ミス工藤、前代未聞だからと言って強制に追い出すのはよくないことだ。責任なら私がとるつもりだ」ヴィジョン教授は覚悟を決めた以上変えることはしなかった。工藤は準司を見つめていたが納得のいかない顔をして少しは怒っていた。

「ミスター三田原。君は一回生の門下生として初めての門下生だ。いきなりとは言わないがイナズマ団捕獲作戦の課題に大いに参加してもらうよ。それは理解できたかい?」

「はい、もちろんです。宜しくお願いします!」準司はもう一度お辞儀をした。

「それからもう一つ…後ろの二人だが私の研究に興味はないか?」ヴィジョン教授はいきなり葵と将吾に聞いた。二人はびくっとして我に帰った。

「えっ、私たち…ですか?」葵が質問した。

「もしかして…いいんですか?僕らも入って」将吾も質問した。

「ああ、構わない。難しいことはそんなに与えないように工夫するから。ミスター三田原のそばでここにいた方がまだいいだろう?」二人はお互い見つめあった。ヴィジョン教授から研究室に通うことを許されたのだ。

「あっ、はい。そうしてくれるなら是非。僕らからも宜しくお願いします!」

「お願いします!」二人は揃ってお辞儀をした。

「ちょっと、ヴィジョン先生!二人も入れるのですか?二人は関係ないじゃないですか?」工藤はさらに焦った。

「構わない。ミスター三田原の友人なら手伝うことも考えられる。助手として手伝ってもらうつもりだよ。気にすることはない。ああ、それともう一点、君たちの名前を教えてくれないか?」ヴィジョン教授はまた二人に質問した。

「ああ、はい。松田将吾と申します」

「私は浅倉葵と申します」二人はヴィジョン教授に名前を紹介した。

「ミスター松田に、ミス浅倉。これからも宜しく」ヴィジョン教授も挨拶した。二人もまた戸惑いながらお辞儀をした。

「よし、新たに三人が新人として加わってくれた。大変かとは思うが強敵のイナズマ団捕獲のために大いに働いてもらう。ここからが正念場だ。覚悟を決めておいてくれ」ヴィジョン教授がそう言うと準司は「はい!」とはっきり言った。後ろの二人は戸惑いながら準司の後に続いて「はい!」と返事した。

聞いていた辰准教授はうんと頷き笑顔を見せた。

ヴィジョン教授は準司に少し朗らかな表情を見せながら見つめた。準司も表情を和らげながら少し笑顔を見せながらヴィジョン教授を見据えた。

「そうだ、三人にこの書類にサインをしてもらおう。ここの研究所の研修者としての証だ。三人ともここに来なさい」ヴィジョン教授は三枚の重要な紙を取り出しボールペンを出して机の上に置いた。準司達三人はヴィジョン教授の元に行き言われた通りに書類に学籍番号と名前を書いた。

「これで研究員として正式に入ることができたな。改めてこの今から三人も研究員として加わってもらおう。宜しく」ヴィジョン教授はそう言うと三人は「宜しくお願いします」とまた挨拶した。

「ここまでで何か聞きたいことはあるか?」ヴィジョン教授はそう聞くと三人は「ありません」と答えた。

「じゃあ他にすることはないかな?…あっそういえばもうこんな時間だ。君たちはもうここで帰ってもいいよ。あっ、そうだ。ミスター三田原にミスター松田、ここにいる辰先生にも言ったんだが君たちの活躍で学長と警察のリーダーから特別賞を授与したいと言っていたんだが聞いてはいるか?」ヴィジョン教授が言ったことに二人は「えっ?」と言った。

「明日の午後一時から学長室に来るそうだ。辰先生と一緒に行くといい」二人は顔を見合わせ辰先生に向いた。

「うん、僕も今さっきヴィジョン先生からその話を聞いたんだ。僕たち三人で学長室に行くようになっている。二人も心の準備をしなきゃな」辰准教授がそう言うと二人は嬉しいのと驚いているのと混じったような気持ちで整理がつかなかった。

「そうなんですか?分かりました。明日は宜しくお願いします」準司はそう言うと将吾もお願いしますと辰准教授に挨拶した。

「光栄なことだな。イナズマ団を相手に戦いながらミス浅倉を助け出したのと、辰先生は人質を解放したのと本当によく頑張った証ではないか。…もう時間も来ているし今日はこのへんとするか」

ヴィジョン教授はそう言うと工藤や辰准教授を始めに研究室を閉める準備に取り掛かった。


薄暗い時間になってくると研究室にヴィジョン教授一人だけが残っていた。後ろの並べてある写真のなかから準司が指摘した一枚の写真を取り出してきて教卓の椅子に座って眺めていた。

楢崎さん、今はどうしてるんだろう。

ヴィジョン教授はあの頃のことを懐かしく思いながら楢崎にそう思っていたその時、ドアの方からコンコンコンとノックする音が聞こえた。

ヴィジョン教授は座ったまま、「誰だ」と大きな声で言った。するとドアがカチャっといって「失礼します」と言う声がした。学生なのか男性の声だ。入ってきたのは身長は百七十センチ以上あり太ぶちメガネをかけていて男前でナルシストのような美男が研究室に入ってきた。

「ヴィジョン先生、はじめまして」そのメガネかけた男はヴィジョン教授に挨拶した。

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