夢の中へ
私シャルロッテ・モローは一応モロー公爵家の正統な後継者ですの。一族が証であるアイスブルーの瞳も深紅の髪も受け継いでますわ。でもぽっちゃりしてる残念令嬢なんですの。そう義母と義妹にずっと、ずっと言われてきましたもの。
お母様が亡くなって、お父様の愛人のミラルダ様と異母妹のパトリシアが屋敷に来てからは、お母様の形見も私の持ち物も全て奪われ、罵倒され暴力を振るわれ、下級使用人にされてしまった。お父様は憎々しげに私を見るようになって、「王太子との婚約がなければ屋敷から追い出せたものを!忌々しい。せいぜい破棄されぬようしがみつく事だな!破棄された日には出ていけ!」と言われました。それから私の部屋は屋敷の外の小屋になりましたの
でも、掃除も洗濯も得意になりましたし、お料理も出来るようになりましたわ。
食事を度々抜かれるのは辛いけれど、小屋裏の森に行けば果物が取れたので飢える事はありませんでした。森の主様のフェルリン様とも親しくなりまして、夜中でも森に入れますの。
そんな私も公爵令嬢ですので婚約者がいらっしゃる時だけパトリシアの着なくなったドレスを着ることが許され、一緒に過ごす事ができましたなの。
アルフォンス・レオルド王太子殿下。ずっと優しくしてくださいました。プレゼント類はパトリシアに奪われてしまいましたけれど。
ずっとお慕いしていましたし、分不相応でも添い遂げたいと、そばでお支えしたいと願っていましたの、アルフォンス様だけは味方だと思っていたけれど、パトリシアと抱き合ってるのを見てしまいましたの。あの愛らしいストロベリーブロンドを見間違うなんてありませんもの。アルフォンス様とパトリシアが…想いあっている?
もぅ会えなくなってしまうのかしら?胸が痛い…
あぁ、なんて愚かな私、散々ミラルダ様やパトリシアから言われていたはずなのに…
「なんて卑しい体つきなの、もしかしてデブを巨乳と勘違いしてらっしゃるの?」「不細工なお顔なのたからおめんでもなさったら?」「アルフォンス様にはパトリシアの方が相応しいのに、いつまでしがみついているの?ホント卑しい女」「能無しの穀潰しの癖に!!魔力も無いくせに、公爵家を継げると思わないことね!!」
言葉の数々がグルグルする。アルフォンス様もやはりパトリシアが良いのね、残念令嬢の私と一緒に過ごして下さった事が奇跡だったのですわ。胸が痛い…叶わなくても、好きな気持ちは変わりませんもの。あぁ…なんて惨めで滑稽なのかしら…もうここに居たくない!!消えてしまいたい!!強く願った時魔塔に召喚されてしまった。
「ここは…お母様の…持ち物?なぜ??だってあの時」
「やっと主が現れた!ここは緑の魔塔。 セレスティーナ様の正統な後継者シャルロッテ様ようこそ」
恭しくお時期をする美丈夫な執事の男性は妖精さん?
「我が名はセバス、お見知り置きを、貴方様はセレス様同様精霊の愛し子、魔力も絶大のご様子、本日からは私がお世話しましょう、あのような闇の館に貴方様を帰す訳にはいきませんから」
「えーと、よく分からないのですが、私魔力なんて無いはずですわ、それにお母様の形見がなぜここにありますの?私はどうしてここに呼ばれたのですか?」
「まず、あなたは魔力がこの国で一番多いですよ?無いと思わされてきた、呪いのようなものたですね、ですが、あなたの悲しみがトリガーとなり呪いが外れた、貴方様を守る為、あなたの魔力に共鳴した魔塔に召喚された、セレス様の持ち物は元々こちらに保管されていましたよ?シャルロッテ様の為に、屋敷にあったのは全てレプリカですよ、あなたは一瞬の洗脳状態にあったのです、あの毒婦どもによってね、言っておきますが、貴方様はセレス様生き写しの美しい令嬢であらせられますよ?少し痩せ気味かもしれませんね。休息と癒しが必要なのです、ここなら誰にも邪魔されず、邪険にもされず、過ごせますよ、あなたの思うままに。」
セバスの情報が多すぎて追いつかない……意識が遠のくような感覚の中思ってしまった。
夢の中でアルフォンス様が私を好きになってくださればいいのに…
そう思った瞬間、身体が強い大きな光に包まれ、真っ白な空間になったと思ったらアルフォンス様が隣にいて微笑んでいましたの、
あぁずっとこうして笑顔の彼に会いたかった、コレは夢ね…なんて素敵な夢かしら
本当は現に戻らなきゃ行けないけど、少しだけ、ほんの少しだけ幸せな夢をみてたいな…少し眠るだけだから…