表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
菜緒と莉久  作者: 雪尾ハク
2/2

菜緒と莉久2

 社会人になってからも、相変わらず誰かとキス以上のことはしたいと思えなかった。好きだと思うことに対しても、もともと一人が好きなこともあり、「誰かを恋愛感情で好き」だと認識することはほぼなかったと思う。私がこれまで好きだと思ったのは、高校のときに告白したあの子だけだ。


 数年後、ネットである漫画に出会った。

 主人公のキャラクターは、私と同じように「周りと同じように恋愛ができないこと」にものすごく悩んでいた。恋人を作らないことに対して、周りがよかれと思い紹介の場をもうけるものの、どうしても付き合った後のことを考えて友達止まりで終わったり、付き合うに至らずになっていた。最後は、主人公が自分は「他者に性的欲求を持たない」ということを自覚してハッピーエンドになるのだが、衝撃を受けた。


「持たない、ってことは……必要ないって思うことが、その人にとっては普通ってこと?そもそも、恋愛感情の欲求と性的欲求は別々で認識していいの……?」


 そんなこと、考えもしなかった。調べていくと、誰にも恋愛感情を持たないセクシャリティや、性別を男女どちらにも決めないセクシャリティ、場合や相手によっては恋愛感情や性的欲求を抱くセクシャリティもいたり…多くのセクシャリティがあることに驚いた。


「人間の数だけ、セクシャリティがあるみたいだなあ…」


 調べていく流れで、「セクシャリティ診断」というものをやってみた。私の場合は、アセクシュアル、ノンバイナリーに該当するようだという結果になった。


 何だか、心が軽くなった。人として何かが欠けていたり、無理に好きにならなければいけないものではない。自分の人生には必要ないから、いらないだけ。

 春菊が苦手だから、避けるように。いらないから、買わないように。


 この日から、私の中でつかえていたものがなくなった感覚になった。

 無理に好きにならなくてもいい。それが私にとっての普通だから。

 好きだと思う人ができても、無理に恋愛関係に持ち込もうと気を張らなくていい。相手と友達付き合いができれは、今の私には満足だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ