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自由詩本館・散文詩別館  作者: 鉛の精
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【星の名は】他

【その星】



われら銀河を渡る者

多くの星を調査せり

辺境の とある くすんだ小惑星

星の民は只ひとり


詳しく聞いてみたところ

この者すべてを破壊せり

孤独を愛し、孤独のみを友となす

完璧なる孤独を得んがため

全ての住人、滅すにいたる


立ち去る前にふと思いつき

この星の名を聞いてみる

その者小さき声で答えけり


「この星の名は、地球なり」


--------------------------------

【勇者の帰還】



ボクは、待った


共に戦った勇者達の帰還を



まずは豪腕の戦士、モリアゾン


彼の太刀は、全てを砕く



次に控えしは妖艶の魔法使い、ヒューダルノ


彼女が杖を一振りすれば、パーサーカーも逃げ出そう



そして最後は神業の僧侶、パーリウォルダ


彼の癒しは全てを救う



しかしドラゴンは余りに強く、善戦むなしく彼らは敗れた


命からがら逃げ出した、盗賊のボクを除いては



ボクは、もう一度彼らに会いたい


何としても彼らに会いたい



だからボクは必死に待った


ドラゴンの巣から逃げ出すことも無く必死に待った


あの凶獣に見つかって、食べられてしまう恐怖に震えおののきながら


そして三日目の朝、神がボクのささやかな願いを叶えたもうたことを知った


ボクは、ようやくまた彼らに会えたのだ


ドラゴンの排泄物となった歴戦の勇者たちに

---------------------------------

【洗顔】



なんて憂鬱な朝なんだろう


気分を変えるため、俺は公園の水のみ場で顔を洗う


しかし様子が変だ


蛇口から出ているのは、なぜだか硫酸


俺の顔は、みるみるうちに溶けてなくなっていく


まぁ、いいさ、どうせ会社の金を使い込んだこの我が身


社長に合わせる顔なんて、元々なかったのだから

-----------------------------------

【無上の悦び】



ボクは宇宙人にさらわれた


そこで待っていたものは

恐ろしく過酷な運命のいたずら


奴らは言う


ここにスイッチがひとつある


押したが最後、地球全人類は

一瞬で蒸気と化すだろう


しかし押さなければ、お前には

苦痛に満ちた死がまっている


さぁ、どうする どうする?


さぁ、どうする どうする?



奴らはこれまで幾度となく

こうした事を繰り返してきたのだろう


そして星の住人が悶え苦しむ様を観察し、無上の悦びに打ちふるえてきたのだろう


しかし奴らは人選をあやまった


奴らが悦びにひたるその前に

ボクはためらいなくスイッチをおす


奴らはあっけにとられたそののちに、

怒り、そして咆哮する


なんてふざけた生き物だ

これほどあっさり同胞を手にかけるなんて


お前のような奴には死よりもつらい

大きな罰をあたえてやろう


奴らは俺を改造し

不老不死不死身の生き物とした


さぁ、これでお前は決して死なぬ

同胞のいなくなった世界にて

永遠の孤独を味わうがいい


ボクは地球に戻されて

奴らは彼方へ飛びさった



誰ひとりいない世界をみわたすボクがいる


なんて静かな世界だろう


これこそボクが求めていた世界


完璧なる孤独の世界


それが永遠に続くのだ


ボクは無上の悦びに打ちふるえた

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