7.初めての戦闘訓練3
「さて、次は俺の番ですか。」
「次は君の番だね。よろしく頼むよ。」
そして俺と騎士長は互いに向き合い、騎士長は正眼に長剣を構え、俺は自身は手にある大きさ2メートルオーバーの大剣を右手に持ち、ただ単純に持つだけの構えとは言えないような態勢になる。
「良いのかい?その様な構え方で?」
「別にいいですよ。そんなに心配しないで下さい。残念な結果にはさせませんから。」
「君が良いなら別に良いのだけれども。……それじゃあ始めようか。いつでもよろしいですよ?」
「それじゃ、遠慮なく。」
「……ッ。」
俺の構えに心配を覚えた騎士長は、大丈夫かと心配そうに尋ねてくるが、自分的には何も問題ないので構わないと答える。
その返答に騎士長はどう思ったか分からないが、結果的に自分が納得しているなら良いと言い、摸擬戦を開始する。
そして摸擬戦を開始し、騎士長が遠慮なくと言うので、俺はお言葉に甘えて先制攻撃を仕掛ける。
俺は騎士長にクラスメイト同様に一直線に走りかける。その走る速さはかなり早く、軽く東城紗江の素早さを優に超えている。
そのスピードに騎士長はかなり驚愕していた。何故なら、魔力感知をすれば分かるが、何人かのクラスメイト達同様に身体強化を掛けている事が分かるが、クラスメイト達よりもかなり洗練されている魔力が体中に纏っていて、無駄が少なくスキルレベルで言えばかなり高レベル所か一段階二段階位上だと言われても良い位であったからだ。
俺の魔力循環による身体強化を見て、咄嗟に騎士長も身体強化を使い、俺の初撃である袈裟切りを防ごうと剣を合わせるかのように構え直し対応する。
そして俺と騎士長の剣同士の接触時に、ガゴンッという剣本体からなるような音ではないような音と、騎士長が立って構えている場所からボコと凹むような音がなる。それ程まで俺の攻撃がかなり重かったのであった。
「くぅっ、重いっ!」
「まだ行くぞ」
そして俺はそう言い、すぐさま次の動作に入る。
俺は騎士長と騎士長の持つ長剣を土台にし、自分の持つ大剣を軸にし上空へと跳ぶ跳ねる。そして上空に飛び跳ねる際に宙返りをしつつ、騎士長のがら空きである背中に向け大剣での攻撃を叩き込む。
その際に予想していた騎士長は反応し、そして、先の攻撃より諸に受けるのはマズいと判断し、俺の攻撃を受け流しつつ距離をとろうとする。
まあ、実際にそれが正しい判断なのだが、悪かったな。
「『魔撃』」
俺は攻撃する瞬間に魔力を瞬時に大剣に籠め、斬撃と共に解き放つ。
実際にこの時に摸擬戦なのである程度は控えているが、攻撃力だけではなく魔攻撃力も上乗せされるので、かなり強烈な攻撃となっているし、超至近距離からの攻撃なので、かなりのダメージが入る。
魔力が込められている事を魔力感知ではなく、紺色の魔力が纏わり込められている事を把握した騎士長は、流石に表情を引き攣らせざるを得なかった。
騎士長は、流石にここまでとは予想していなかったであろう。実際に、ちらりと横目でクラスメイト達を見たら、皆、想定外の摸擬戦でかなり唖然としている。それに、最初の大剣の構えの時に実際、素人だと判断したのだろう。まあ、実際あまり否定できない事なのだが。
そして俺の攻撃が繰り出される。
俺の攻撃によって先程以上の音を出しつつ、砂埃に包まれる。
傍から見れば、勝負はついてのであろう。まあ、実際にはまだらしいけれども。
「流石騎士長と言うべきか?。」
「いや、結構だよ。実際に体力が2割3割と持っていかれたからね。それにしても凄いね、君……じゃなかった、勇者様。明らかに戦闘慣れしているでしょう?」
「いや、そこまでじゃない。実際に剣を握った事は学校の時の剣道の授業でしかない。」
「うーん?そうなのか?じゃあ、ほぼ素というか素人であれかい?それは凄いを通り越して戦闘センスえぐいね。」
「ドストレートだな、おい。まあ、確かに否めないがな。」
実際、砂埃が落ち着くと、無傷の騎士長がいた。まあ、体力は鑑定して約2割減っている事が分かるが。
まあ、ある程度カラクリは分かる。
「瞬間装着か?その盾?」
「やっぱり戦闘慣れしてない?まあ、そうだよ。さっきまで背負っていたのだが、まさか使わされるは思わなかったよ。実際、経験と技術の差で勝てると判断してたのだが、完全に読み間違えたよ。まさか身体強化だけではなく、瞬間装着のスキルを使わされるとは。」
騎士長はただ瞬間装着しただけと言うが、実際はそんな簡単な事ではない。
俺が大剣に魔力を纏わしたのが、攻撃を放つ一瞬であったのにかかわらず、瞬時に判断し行動を切り替え、そして瞬間装着のスキルを発動させた。そして、瞬間装着の際もかなり凄い事で、実際は瞬間装着する際は、自分が身に着けたい武具を自分が身に着けたい場所を想像しなければならい。それをあの一瞬で行ったのだ。かなり強い強者なのだろう。
「では続けようか、まだ始まったばかりだしな。」
「そうだね。勇者様の実力がまだ読み切れていないからね。続けさせてもらうよ。」
そうお互いに言いつつ、摸擬戦を再開する。
今度は、騎士長はある程度力を出してきたのか、スキルや技を使いつつ接近してきた。
恐らく使っているのは、先程まで使用していた身体強化だけではなく、自分の視認速度上昇させる認識加速、自分の防御力を向上させる金剛と鉄壁、そして自分の体重を軽くし素早さを上げる軽量化、そして最後に攻撃力を上げる為の重撃を使用しているのだろう。
実際に鑑定をしステータスを見てみると、数値が約1.5倍から多くて2.5倍近くまで上昇している。
それに対して俺は身体強化だけである。実際にステータス差的に騎士長と俺と言うか勇者とでは元から離れていてし、スキルをしようしてようやく戦えるというレベルであった。
なので、実際にクラスメイト達をたたき伏せていた事はかなり凄く、騎士長の技量と経験がかなり高かったと言えるのであった。
「『風切り』」
「『魔撃』」
お互いにある程度距離を詰めたら、殆ど同時に自分達の技を繰り出す。
騎士長は斬撃から風の刃を魔力で形成し剣戟の技として使用し俺へと攻撃し、俺は先程同様に魔力の斬撃を放つ。
若干、俺の方が魔力の込めた量と魔攻撃力が上回っていたので、押し返すように斬撃が行くが、既に予想がついていてのか、騎士長は技をくりだしたすぐさまに横にずれるかのように移動し、接近し斬りかかる。
俺も、流石にこれで決まると思っていないので、すぐさま騎士長の攻撃に対応する。
今度は俺が防戦に周り、薙ぎ・切り上げ・突き・袈裟斬り・真向斬りと次々と攻撃を繰り出してくる。
騎士長は魔力残量を気にしてなのか、技を繰り出す際の一瞬の隙を作らない為か分からないが、技を繰り出す事は無かった。
まあ、実際に俺よりもバフ効果スキルそ多く使用している騎士長の方が魔力消費速度は上である。
なので、このままいけば勝てるのだが、何と言うか釈然としないな。何か、こう、スッペクの差で勝つと言うのがな。
「ッ、勝ちを急いだね!」
俺自身が守勢ではなく、攻勢に移ろうとしたからであろう。実際、騎士長から見れば無理やり攻勢に移ろうとして、攻撃に少し粗さが見えたのであろう。なので騎士長は適切に攻撃を加えていき、俺の隙をより多く作り出していく。
そして、何合か剣を打ち合わせていると、とうとう俺に剣が大きく弾かれるという大きな隙ができる。
騎士長は当たり前だがその隙を逃す事はせずに、追撃というか寸止めするために俺の胴体に向け剣を振るってくる。
だけど悪いな。
「悪いな。これで終いだ。『魔力爪』『衝爪』」
また、隙を突いたという油断に漬け込むかのように、俺は大剣を握っている右手とは違う左手で、大きな爪を魔力で形成し、横薙ぎにひっかくように手を振るい、切り裂くように攻撃をする。
流石にこれは読めなかったのだろう、そして、まさか自分が誘われていたなんてわからなかったのだろう若干混乱し、今度は確実に防御が間に合わず、諸に受ける事になった。
「うぐっ!?」
流石に、これは当たるだろうと魔力量は若干少なめにしておいたが、それでも元々使った衝爪の効果がかなり強力で、攻撃を与えた際に防御力無視の攻撃とプラスに衝撃を与えるノックバックが効果がある為、かなり騎士長に衝撃が入ったであろう。10メートル位は軽く吹っ飛びその場に倒れる。
「いや~、参ったよ。まさか、最後にあれを使ってくるなんて。体に傷は無かったけれども体力が全損させられたよ。」
そして、この摸擬戦は俺の勝利で終わった。
まあ、騎士長が手加減と言うかまだ出していない切り札的存在がありそうだし。というかあるしな。
本音で言うと騎士長の全力で戦いたかった。
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