4.クラスメイト達の決断
投稿がかなり遅れてしまい申し訳ございません。
次回も少々こちらの事情で遅れそうです。
俺のステータス鑑定版を見たクラスメイト達や信者達の反応は、良くも悪くも普通であった。
確かに信者達から見たら、ステータス値に尖った物や特殊な物は無く普通だと思われるが、確かに勇者としての補正がある為、それでも強力だと判断したのだろう。
まあ、クラスメイト達(特に男子達)からは、普通だなと馬鹿にされたり蔑まれているけれどな。て、言ってもお前達も似たような物だろ。
まあ、気にする事も無いか。
そう俺は思いつつ、自分が元にいた場所に戻る事にした。
「凄いね最上君。確かに尖った数値は無かったけれども、それでもかなりの高水準じゃないの?」
「うん?まあな。でもそこそこだろ?神流程じゃない。」
俺は大生院花蓮とお互いのステータス値について話し合いつつ、皆といっても後少数のクラスメイト達の確認をしていく。
それにしても危なかったな。何人かがこちらに鑑定を使ってきていたからな。流石に悪意は無いと思うから確認・管理のつもりでクラスメイト達にしてきたのだろうけれども、俺は少々ステータスがマズいからな。
人の身になったとは言え、生前の魔力などを極小量引き継いでいるからな。
人族……人類にとっては、とてつもな程の魔力量だしな。おいそれと表に出す訳にはいかないし、そもそも面倒であるからな。
しかも、……あの女ぁ!やりやがったな、ちくしょうっ!何故俺だけ成長速度が速くなるように調整されているだよ。てか、何で干渉できたんだよ。
一端落ち着くか。一応周りにはバレないように表情を見繕っているがな。荒ぶっていると判断が鈍るからな。
そんな感じに一人で明鏡止水のごとく精神を落ち着かせつつ、より具体的な話を聞くために近場にある席に座り待機した。
それから数十秒後にクラスメイト達と信者達が座り、話合いが再開された。
「では、まずどの様な事から話ましょうか?」
「まず先程、世界を救ってくださいとおっしゃっていらしたが、具体的にはどの様に、そもそも目標はあるのか?ですね。」
クラスメイトの中心人物である神流が、いつの間にか先生の代わりに本格的に率いる事いなっていた。
まあ、悪い事では無いし、最悪先生が介入するだろう。……ちょっと状況に追いついて無いのか少しアタフタしているが。
俺?面倒だから良いんだよ。率いたい奴に任せれば良い。
「具体的に言うと、……私たちにも実態が分かりません。」
「分からないのですか……。」
「現在この聖国にいる聖女様がテラン神様のお告げを聞いた所、この世界には使徒と呼ばれる者達が居るそうです。」
「使徒ですか?」
「ええ、使徒とお呼びになられたそうです。」
「その存在は一体どの様な存在で?」
「一言で言えば、我々人類……魔物や動物を含めた全生命の敵です。」
その教皇の話に、クラスメイト達は使徒という存在の話をされても、ピンとイメージが湧かなかった。
全生命の敵と言われても漠然としているからだろう。
誰だって突然そんな説明を聞かされても、意味が解らないだろう。
てか……、使徒がいるのか。面倒な事が起こっている世界だな。ここは。
俺はそう思わざるを得なかった。
実際、ライトノベルで読んだ王道的な魔王の暴虐や一国が引き起こした戦争などで召喚された方がまだましだったな、はぁ~。
「はぁ、そんなんですか。」
「若干イメージが湧かない物だと思われますが、すみません、我々も具体的な情報しか分からないのです。テラン神様のお告げでは、聖女様の魔力切れで長くお告げを聞くことはできず、重要な事しか聞き取れなかったらしいのです。そしてつい最近の魔族との戦争を行ったというアルマン王国の報告では、使徒なる存在が居たとか、その位しか我々は分からないのです。」
ふむ、どの様なタイプの奴等かによって面倒な事だな。教皇が言っていた戦争に参加したような使徒なら、簡単とは言わないが一番楽な事だが、最悪な場面だとこの世界の人類社会に溶け込むとか最悪な事になるぞ。
何せ、食い尽くされるかのように人間社会を崩壊させ、本人である使徒は殆ど遊び感覚だろ。……確か。
というか、情報が足りなすぎだろ絶対。確かに聖女の魔力と言ってもこの世界基準よりも少々魔力量が多い人族だろ?まあそこは仕方がないが。全人類無頓着過ぎだろ。この勇者召喚まで起こさざるを得ない状況を作るなんて、……いや、それは使徒たちが優秀だったのかもしれない。
まあ、召喚されてここに来たが、流石にこんな情報が少ない中、勇者としての仕事をするとか言わないだろうな。流石にそんな訳……
「そうですか、分かりました。皆聞いてた?僕は勇者として世界を救いたいと思う。」
はぁぁぁぁぁぁぁー!?何言ってくれてんの!?あの野郎っ!!
ほら見てみろよクラスメイト達をっ!!皆突然過ぎて唖然としているぞ!
というかそもそも帰還ができるかどうか先に聞けよっ!後先考えているようで考えていないよなこいつっ!
俺は平穏にそして趣味を楽しむ人生を謳歌したかっただけなのにっ!
「あの、すみません。」
「何用ですかな?」
「はい、単刀直入にお聞きしますけれども、私たちは元居た世界に帰れますか?」
担任の先生の言葉に、クラスメイト全員がハッとする。今、自分達にとって非常識な事が起こっていて、自分達の世界の帰還ができるか気にしていなかったが、担任の先生の一言によって気付く。
気付いた者の中には、自分の親しい人と会えない事や向こうでの思い出などがあり、次々と嘆いている者や焦燥感を持つ者が現れる。
そのクラスメイト達の様子に教皇は苦い表情をする……、うん?待て、おいまさかっ!?
「すみません、勇者様方。こちらの都合により勝手に召喚してしまい。……そして申し訳ございません。我々にも帰還方法が分からなのです。」
『なっ!?』
その教皇の発言に、クラスメイト達もそして俺も驚く事になる。だが俺は、それもそうかと一瞬で冷めて思考する。
確かに強制転移されてまた転移すれば良いのでは?と思うが、それには膨大な魔力を必要とするし、何よりも俺たちが過ごしていた向こうの世界の座標を把握していない可能性がある。
何よりも、勇者召喚の際に使用された魔法陣は、此処を管理する世界神であるテラン神が代用した物だと思われる。なので、既に転移の魔法陣の構成が分からないかもしれない。
まあ、ここに呼ばれた(転移させられた)目的を果たせば返してくれるだろう。非常にめんどくさいがぁっ!!
まあ、最悪……。
「待って下さい、帰還できないのですか!?」
「誠に申し訳ございません。勇者召喚の魔法陣は、一度使用すると消え去り、勇者召喚の魔法陣の構成をテラン神から一時授かった聖女様は、既に記憶から消滅されています。」
「そ、そんな。」
その教皇の発言に、半数以上のクラスメイト達がショックを受ける。改めて考えてみると勇者召喚と言っても半場拉致に近い状況であるからだ。
それでも異世界だと喜ぶ者や気にしていない者もいるが。
その帰還できない事実に皆ショックを受けている中、二人の人物が声を上げる。
「もしも、その使徒?という存在を倒し平和にすれば、ここに私たちを召喚させた神様も送還してくれるのかしら?」
「へ?もしかしたらですけれども……。約1000年程前に召喚された勇者様は、その頃の聖女からの神のお告げで、最終的に留まるか帰還するかの二択の選択肢があったそうだと聞かされています。」
「ちょっと、それを早く言って欲しかったわよ。」
「そうだな、目標がある事だし、やる事は一つだな。」
「光、私たちも世界を救う為に奮闘するわ。」
「俺もだぜ。皆、どうすんだ?」
その二人の言葉が、皆の暗い雰囲気をかき消し鼓舞していた。
「俺もやるぜ。」
「私もやるわっ!」
「適正職業的に補助の立ち位置になるけれども、頑張るよ。」
と、言った言葉が聞こえてくる。担任の先生はまだ戸惑い気味であった。そんな簡単に決めても良いのか。そして倒すと言っても過酷な話ではないかと。
だが、未だ学生であるクラスメイト達はその事まで考えているが、少し甘めに見ていた。
「私たちも頑張ろう!。ねっ、最上君。」
「……ああ、頑張ろうか。」
大生院花蓮が横から俺に掛け声をかけてくる。
その様子に、少し不安になるが、まあ、何とかなるだろう。最悪……。
今回もこの作品を読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字や感想や評価なども頂けたら有難いです。
次回は、少々投稿が遅れそうです。
次回もこの作品をよろしくお願いします。
別作品『超越者の冒険録』もよろしくお願いします。
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