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~第6幕~

 トランプビルに遅刻してやってきたのは宮迫大事という中年のオヤジだった。しかしこの会社は本当に奇妙な名前をした職員が凄く多いな。俺も他人のことは言えないけどさ。宮迫がユニフォームを着て現場にやってくると、俺たち2人は休憩に入った。なるほどそういう仕組みか。でも、それで遅刻されるって腹立たしいな。




 俺と渡部は弁当を食いながら雑談した。



「兒島君、実は同い年だってね。ビックリしたよ」

「そうなのか、何か渡部君の方が年上な感じがするけどな」

「そんなことないさ。その弁当は? 奥さんが作ったの?」

「いや、俺の手作りだよ」

「へぇ~うまいな!」

「渡部君のヤツは? 奥さんの手作り?」

「うん、まぁな。でも嫁さんは仕事が忙しくて、たまにだけど」

「奥さんは何の仕事を?」

「モデル」

「え!? モデル!? タレント活動とかしているの!?」

「いやいや、そういうヤツじゃなくて絵画とかのモデル。美術大学の学生とかをターゲットに売りつけて儲けるみたいな。あこぎなヤツさ」

(え……これってあんまり聞いちゃいけない系の話か?)

「あ、えっと、さっき来た人は……」

「ああ、宮迫さん? あの人は元々営業職だったらしいけど、営業職の禁じ手をやらかしたらしく、それでここにやってきたパート職員さんだよ」

「何だよ、営業職の禁じ手って……」

「さぁ? 知らん方がいいと思うぞ。下手したら、この作品がBANされるかもだしな」

「お、おう。じゃあ聞かないわ。あの人っていつも遅刻するの?」

「うん、ウチはパート職員が自由勤務。いつでも好きな時に出勤して休憩できる仕組みだからなぁ」

「何その制度!?」

「でも時給400円だからさ。あの人もそうだけど、基本的に遅く来て休憩とらない人が多いよね。あ、そろそろ時間だ。行こうか?」

「もうそんな時間か? 色々まだ聞きたいけど、また後で話は聞くわ。行こう」



 この会社は色々ワケありの物件に間違いなさそうだ。



 でも俺はその得体の知れなさにだんだんワクワクし始めてきた――




 現場に戻ると、汗まみれの宮迫が息を切らしながらも踊り続けていた。



「ミュージック! ストップ!」



 渡部が指を鳴らすと音楽が止まる。そして宮迫はその場で項垂れた。



「宮迫さん、こんなハードなのやっていたら疲れますって」

「俺はブルースが好きなの! 好きなのをやらせてよ! 俺が一人で踊る時間も限られているのだし」

「まぁ、でも宮迫さんはそもそも自由が許されていますからね。ああ、そうだ、こちら今日から社員の能島嘉男君です」

「兒島です」

「お~そうなのか~俺らより大変だと思うけど、宜しく」

「宜しくお願いします」



 俺と宮迫は握手を交わした。



「じゃ、後半戦といきますか! ミュージック! スタート!」



 アップテンポなナンバーがどこからともなくかかる――



 俺と渡部と宮迫は3人揃って踊りだした。ビルを通り過ぎる人達は皆、俺達が可笑しい奴らだと思っているのだろう。でも俺はいつの間にか変わっていた。



 踊らされるぐらいなら踊ってやれ――



∀・)はい、本作のキャッチフレーズがきました!また1時間後!

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