↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

魔王は人間と仲良くしたい。

掲載日:2020/07/07

魔王は人間と仲良くしたい。 @短編その44

タイトル変更しました(2020/07/16)


タイトル右の名前をクリックして、わしの話を読んでみてちょ。

4時間くらい平気でつぶせる量になっていた。ほぼ毎日更新中。笑う。

魔王を倒す勇者の話・・・


魔王は人間が持っていた一冊の本を読んだ。


そこに出てくる魔王は、人間を痛ぶり、魔物やモンスターの餌にして、残る人間を奴隷にして死ぬまでこき使う。




魔王は先ほど生まれた。


前の魔王が、人間に討伐されたからだ。と言っても何百年も前の事だが・・


魔王はどうやって生まれるか。


時間を掛けて澱んで溜まった、人の悪意と呪いから生まれるのだ。


悪意と呪いで生まれた魔王を倒すことによって、世界を覆っていた悪意が消えて、清浄化される。


そしてまた、何百年と掛けて悪意と呪いが溜まって、魔王が生まれる。


この繰り返しなのだ。


だから魔王を完全に倒すのは不可能なのだ。


魔王が生まれると不思議な事に、勇者と聖女も現れる。


勇者と聖女は生まれる、もしくは異世界からやってくるのだ。


倒した後、勇者と聖女が結婚して、めでたしめでたし。


これがエンドレス。


魔王VS勇者&聖女の、不毛な戦い。そう、魔王からすると不毛なのだ。


俺を倒してふたりはハッピーエンドって。俺は?ねえ俺は??俺にはハッピーは無いの?



「そんな世界・・ぶっ壊してやる!!」


と言って、はたと気がついた。

それじゃ今までと同じだ!!

俺はこの輪廻をぶっこわす!!そうだそれだ!!

世界をぶっ壊しても仕方がないんだよ、余計に恨まれちゃうよ。


「俺は良い魔王になるっ!!」


さて。

良い魔王っていうのは・・人を殺さない、害なさないって事だね?

人間の友達を作るのはどうか?如何なものか?


友達作るのに良い場所・・・


「学園だ!!!」


そうだ、学園に行こう・・・

そして、友達百人出来るかなを実践するんだ。

この世界の支配層である、貴族の子息と仲良くしてみせる。

俺は姿を変化させ、人間の格好に変化させた。

好かれたいから、人間好みの姿になった!!8歳の少年に変身だ!

美形!美少年!!可愛い!!!はわぁ、自分でも見惚れる愛らしさ・・・

頭が良くて、有能で、魔法も使えるキャラにしとくか!

そして貴族に偽装しておこう。平民だと旨味無さそうだしな。



準備万端、俺は人間の国へと下り、王立学園に入学を果たしたのだった。

この学園は8歳から入学、15歳で卒業する。

1年から4年までは、基礎学問と剣技などを学び、残る5年から最終学年は、進路に合わせた学問を習得するスタイルだ。多くの貴族が将来営むであろう領地の運営と経営の為の専門学習、騎士になる者は武術や兵法など、専門学科を学ぶこととなる。最終学年、通称『最』は修学旅行が実地訓練にもなっているので3ヶ月もある。


「思いの外面白そうだな、学園生活は」


学園に入学した俺は、先生方にも注目される生徒となる。

そしてクラスメイトとも・・・まあ、ぼちぼち仲良くした。

王子様と公爵令嬢がいて、ふたりは婚約者同士だとか。

このふたりから勝負を掛けてこられるようになって、返り討ちにしてやっていた。


「ふはははは!!話にならんな!!」

「くっ・・・くそぅ」

「悔しい・・!」


ハンカチ噛んでキーーーです。初めて見ました。

今日も魔法で勝負を申し込んできたので、頭をチリチリにしてやった。

よくも懲りずに毎日挑んでくるなぁ。根性は認めよう。

でもこいつら、本当仲がいい。

将来の王と王妃だからかな?

いつも共闘して俺に掛ってくる。面白い。仲がいいな、と言うと、


「な、仲なんか良くない!!」

「王子が力不足だから手伝ってるだけだし!!」

「なにをぉ、このチンクシャ公女!」

「なによぉ、この目ボクロお色気王子!」

「ははは、やっぱり仲がいい」

「ちーーーがぁーーーうぅーーー!!!」

「ハモってるくせに」


どうせ卒業したら夫婦なんだから、仲良くしとけよ。




こうしてあっという間に4学年を終え、5学年となった。

5年からは、専門学習を選ばなくてはいけない。

王子と公女がいないとつまらん。喧嘩をふっかけられないと、なんか1日が終わった気がしない。

なので、二人と同じ学問を選ぶことにした。

外交術と国政、領地の平定他という、高位貴族が学ぶ学科だ。

これ、俺にも少しは関係あるんじゃね?と思ったんだ。根城付近の土地、馬鹿っ広いんだ。


こうして相も変わらず、王公カップル(こう呼ぶとテレ怒りするのが楽しい)が突っかかってくるのをバッサリだ。

最近はディスカッションしたり、一緒に議題を考えたりもする友人となっていた。




5年生となって・・・俺のクラスではない、総合クラスの事だが、


「みなさん、編入してきたバーバレアさんです。仲良くしてくださいね」


聖女が学園に入学してきたのだ。この時の俺は、全く知らない情報だった。



そんなこと知らず、相変わらず王公カップルと大騒ぎ。

だがなんだかんだ言って、俺も王公カップルも、しっかりお勉強をするわけだ。

このクラスは海外へ行って外交を体験する授業がある。

ネゴシエイターのロビーイングを今回は学んだ。面白い・・・根回し大事。



王公カップルと同級生たちと共に海外へ行っている隙に、なんと勇者も学園に編入していた。

こいつは騎士専門学科に入ったようだ。





俺も聖女も勇者も、全く顔を合わす事なく・・・最終学年、『最』となった。


ようやく『最』になって、漸く聖女と勇者を知ったわけだ。まだ顔は見ていない。


・・・・・・・・・・・・・今更?

俺、もう王子と公爵令嬢、王公カップルと仲良しだよ。二人も結構ラブラブだよ。

そして他の高位貴族達とも、名前呼び、あだ名呼びの仲だよ。

はっきり言って、みんな仲良しだよ。


さて、勇者の力・・・・ふうん?そんなもん?俺、ステータス見れるからね。

そして聖女の力・・・ほお。その程度。

ふたりで力を合わせて、俺と戦うと言う訳か。

ふん・・・・・・・

カマーーン!!かかってこいやぁ!!

いやいや、俺は戦わない。今は、な。

だって俺、いい魔王になるんだもん〜。殺されない、輪廻から外れるんだもーん!



それからの授業は、本当に楽しいものだった。

外交の場に立ち、王公カップルの補佐をして、高位貴族と協調して進める。

修学旅行は、隣の大国、ゼブライ王国だった。


ゼブライ王国の王子、ギルブリットと対談し親交を深めたり、騎士団練習場で彼の護衛と擬似訓練をしたり。

友好を誓い、1ヶ月の修学は終了して帰国したのだった。




そして卒業式。

楽しい学生生活が、ついに終わった。

先ほど卒業式を終え、今から卒業パーティーだ。


俺はダンスのパートナーに、王子の姉と出席。とても美人。


こうして俺は人間の中に混じって、7年間の学園生活を終えたのだ。


つまり、結論・・・


人間、最高!!


俺は人間の悪意と呪いから生まれた。

でもこの数年で、人間の良さを堪能した。

俺の中にある悪意や呪いは、ほら。ほとんど無くなっているのだ。

たまに故郷?の根城に帰るのだが、魔物も出ない、モンスターも減った、魔族がなんかいなくなっている。

俺の魔力的なエネルギーで、あいつらは増えて育つから、それがなければこの通り。


だから俺が良い魔王になれば、もう大丈夫なのだ。

今はまだ王公カップルにも内緒だが、いつかは・・・俺が魔王だと教えたい。


「お前は魔王らしくないな」


そう言って笑ってくれるといいな。学園時代のように、付き合えると良いな。


王公カップルは半年後に結婚式だそうだ。

その時に伝えられたら良いな。

俺達、親友だから。









・・・・ああ。

夢、か。


卒業式のパーティーの時、俺が思っていた事・・・


やっぱり、人間とは、分かり合えなかった。


もう魔物の数も減った。モンスターも弱体化した。魔族はほとんど目撃されなくなった。


でも、聖女と勇者は魔王を倒す為、討伐の旅に出たんだ。





そして俺の根城を見つけたんだ。


部下など一人もいない、俺だけがいる城に、あいつらはやって来て、無抵抗の俺に聖なる光を浴びせたんだ。


俺は体がボロボロになり、全力の力が出せなくなっていて、そこを勇者が斬りつけたんだ。


変化していた俺の体は元の姿に戻って、そして・・・体の奥底にあった悪意と呪いが吹き出した。


また聖女が光を放ち、悪意と術を消し去った。



5日後は・・王公カップルの結婚式だったのに・・


行けなくて・・御免よ・・・





魔王だったものの手から、一通の招待状が落ちた。

それには王家の蝋印が捺印されていた。






結婚式より一月前に、魔王は友人に手紙を送っていた。


『やあ、元気か?俺だよ、俺。

お前ら結婚すると思ってたんだ。

おめでとう!

良い王様とお妃になりやがれ。

今お前らに結婚プレゼントを用意しているんだ。

だからそっちに行くのが少し遅れる。


それと、今まで黙っていたんだけどな。

俺、魔王なんだ。

お前らの敵だったんだけど、人間と仲良くなりたくてさ。

お前らみたいな友人も出来たし、この機会にカミングアウトだ!

なあ、やはり魔王は怖いか?

だったら、俺は人間から離れて暮らすよ。

でももし、学園にいた頃の友情を感じてくれるなら、結婚式の招待状を送ってくれ。

それが届いたら、お前らの式に行かせてもらう。


じゃあな。


返事はこの手紙を届けた俺の使い魔に渡してくれ 』


この手紙に、王子も公爵令嬢も、大層驚いた。

だが、この手紙を受け取ったふたりは、すぐに招待状を送った。


だが魔王は来なかった。




一月後。

魔王を倒したと、意気揚々と戻った勇者と聖女は、お城にやって来て報告をした。


王子も王太子妃も、顔を真っ青にし、拳を固く握って震えながら聞いた。

そしてついに我慢できず、王太子妃は大声で泣き出したのだった。

王子も彼女を抱きしめ、くぐもった声で泣いた。


国王も、王妃も、息子である王子の親友が、魔王である事を息子から聞いて、彼ならばと結婚式の出席を快く許可していた。高位貴族の友人達も、それを聞いて『あいつなら魔王、ありえる』と納得し、笑い合った。

彼が来たら、サプライズをして・・・そんな計画も立てていた。


彼のよすがを思い出せば、いつも明るく笑う少年だった。息子の親友だった。


「今、この世は泰平だ。討伐などお前達に命令をした覚えは無かった。なぜ、勝手に行った!」


王は愚かな二人を侮蔑の目で睨んだ。

勇者も、聖女も、なぜ自分達が睨まれるのか分からなかった。

魔王を倒した自分達は、英雄だと褒めそやされる。大勢の人達に喜んでもらえ、褒美もたんまり貰える。

そう思っていた彼らはただ驚くばかりだ。


「お前達は、心優しい良い魔王を殺したのだ。人間と仲良くしようと、歩み寄ってくれた魔王を・・もうそんな優しい魔王は現れない。大事な友人たらんとする、彼を殺したのだ」


王は厳粛に述べた。王の席がある壇上から、冷たい視線で見下ろしたままだ。

王子は涙をポタポタと溢しながら怒鳴った。王太子妃は、王子の胸に顔を埋めたまま、掠れた声で詰った。


「あいつは貴様らを攻撃したか?しなかっただろう?!何もしなかっただろう!!この・・人殺し!!」

「私達の親友を、返して・・・彼を、返して・・・」



御目通りした後、勇者と聖女はどこかの塔に閉じ込められ、数日後に国から追い出された。

誰もその後の二人の行方を知る者はいない。




王子と友人の貴族は、魔王の根城に赴き、彼の遺体を埋葬した。

王子達へのプレゼントは、大きな飛行船だった。

多分、これに乗って結婚式に参加するつもりだったのだろう。







そして今、一冊の本がある。


タイトルは『優しい魔王と親友達』という。

人間と仲良くなるために、学園に入学した魔王と友人のお話だ。


こうして良い魔王は、人々に語り継がれているのだった。


ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。

どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。

pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。

https://www.pixiv.net/users/476191

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。