5話 【 日本機密組織 ブレイブ 】
日本ブレイブ本部は適正試験ドーム会場の近くに建てられている高層ビル。
土地は東京ドームが10個は入ると言われるほど広く、異世界への研究所やブレイブバーの訓練所、 さらには技術員が事務所がある。
そんな広々とした土地の本部で、説明マップの中に建物の記載があっても名前が明記されていない建築がある。
それこそ政府が世間に隠し、超機密情報であるダイブシステムが設置されている。
ダイブシステムは世界に5つしか設置されておらず、関係者以外は何時、何処でブレイバーが異世界へダイブするかは適正試験合格者が出た今日以外は情報を伏せられている。
「な、なぁ光輝。 俺本当にこの施設に入ってもいいの?」
超エリート部隊に所属している阿良々木光輝の親切心から特別に異世界ダイブの見学を許されて来た俺は、ドーム会場から徒歩10分で着いた日本ブレイブ本部の高層ビル内部に入っていた。
ここまで来るのにすれ違った従業員の人達は俺を見るなり「なんで一般人がここに?」みたいな不思議そうな目で見てくる為ものすごく居心地が悪い。
あまりにも居心地が悪すぎてビルに入ってから光輝の服袖を握りっぱなしなくらいだ。
「大丈夫だよ。 もしも誰かに何かを言われたら僕が止めるから安心してよ」
「だ、だけどさぁ~」
「ほら、そんな心配していたらもう着いたよ」
そう言って幾つも廊下に並ぶ部屋の1つに光輝に続いて入るとそこは何もない真っ白な部屋だった。
「・・・光輝さん?」
「うん?」
「俺の目がおかしくなければここには何もない部屋に見えるのですが?」
「その通りだよ。 勇士の目は正常さ」
光輝は部屋に入って真っ直ぐ歩いた先にある壁に右手を添えた。
すると、手を添えた壁から無数の光の線が壁中に流れて行き、なんとなく開けっ放しだった扉が勝手にしまった。
『指紋認証確認。 登録ナンバーとの認証・・・クリア。 その他の認証データベース・・クリア。 全データ認証コンプリート。 ワープシステム起動まで3・・2・・』
急に機械音の声が部屋に響き渡り無数に壁に広がった光の速度が徐々に上がっていく。
「ちょっ! ちょっと待って光輝!! これなに!」
「大丈夫だよ~」
「いや、俺は説明がほし―――—!」
『・・・1・・ワープ機能オールグリーン。 ワープを起動します』
視界が一瞬で真っ白になる。
それが眩しすぎて目を瞑ったのか、それとも急に真っ白になった反動で瞑ったのかはわからない。
ただ、俺が次に目を開けた時には先ほどまでの何もない部屋とは一転、違う景色が広がっていた。
いくつも設置されている映像ディスプレイに数えきれないくらい忙しそうに働いている従業員。
そして前面には映画館のような超大型スクリーンが幾つもの見たことない風景を映し出していた。
その光景は俺が16年生きてきた中で1番呆気に取られていた瞬間だったかもしれない。
「うん。 無事にワープが出来たみたいだね」
前に立っていた光輝が振り返り俺と目を合わす。
「歓迎するよ勇士。 ここが空に浮かぶ異世界の扉を攻略するべく設立された日本機密組織———【ブレイブ】だ」