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大人の階段のぼる、そうさ僕モモタロ  作者: 森のくま
うちはうち、よそはよそ、そして自分は自分
4/6

いざ、出陣

ここがキビダンコ社か‥。流石に大きいな。僕は改めて大きな存在に会いに行くんだと思うとワクワクして来た。

自分の道を貫いて尚且つ多くの人の幸せに貢献している方。


よし、キビダンゴ社に入ろう。


「申し訳ございません。お約束のない方はお会いできません」



一瞬で断られてしまった。お忙しい方みたいだ。でも僕は自分の心のやりたいことを、今度こそ必ず叶えてあげたいんだ。僕は、諦めない。必ず社長に会ってみせる。


そのためには、情報収集だ。

僕は、社長のことを知らなすぎる。とりあえず、キビダンコ社の社員に聞いてまわろう。もう僕は他人の目を気にすることをやめたんだ。


こうして僕は、キビダンゴ社に出入りする社員と思わしき人たちに声をかけた。

やはり、怪しいと思われているのか、笑顔で断られることが多かったが、たまに話を聞いてくれる人がいた。

その中の一人に、僕の生き方や考え方を応援してもらい、面白い人を紹介してもらうことができた。

その人はバーをやっているらしい。僕は、すぐにそのお店に行くことにした。

だけど今はまだ陽が出ている時間。流石にバーは開いてないだろうと思いながら歩いた。バーに着いたが、やはり閉まっていた。

誰かいないか一応ノックをした。そしたら、はーいと返事が聞こえた。もしかしたら、キビダンゴ社の人に紹介してもらった、バーのマスターの佐藤さんかな。

しかし、予想に反して出て来たのは茶色い髪を一本結びにした背が小さくて笑顔が可愛い女の子だった。ここに勤めている子かな。


「あの、こんにちは。突然訪ねてごめんなさい。モモタロと言います。佐藤さんは、いますか」


「こんにちは。佐藤に何かご用ですか?もし何か伝言があるなら伝えますが‥。佐藤は2時間後には来ると思います」


「いえ、ある人から佐藤さんを紹介してもらってて、今日会いに来たんです。あの、もしよければここで待ってもいいですか。」


「そうでしたか。すいません、開店準備があるので、2時間後に来ていただけませんか。」


やはりそうだよな。でも、この子は佐藤さんのことを詳しく知っていそうだ。何か佐藤さんのことを教えてくれるかもしれない。


「そうですよね、すいません。あの、邪魔にならないようにするので、こちらで待たせてください。お願いします。」


そう言って僕は頭を勢いよく下げた。


「え、なんで?」


え、なんで?って、そうきたか。確かに初対面でグイってこられると疑問に思うよな。ここで誤魔化す方法はたくさんあるだろうけど、僕は自分の心に正直に生きることにした。だから、自分以外の人にも正直に接するんだ。


「実は、佐藤さんに会うのは初めてで、佐藤さんを紹介してくれた方とも知り合いではないんです。だからお会いする前にどんな方が知りたくて、お話を聞きたくて‥」


「え?話が見えないんですけど。」


真顔でそう言い放たれた。けっこうストレートに話すんだな。でも僕は負けない、自分の心に。


「あの、最初から話すと長くなるので、中でお話しを聞いてもらえますか?」


「わかったわ。こちらにいらっしゃい。ドアは開けておくけどいいわよね?」


自衛のためにドアを開けたんだな、彼女を安心させるために、少し離れたところに座って、話し方も優しくしよう。


「あ、はい。お邪魔します」


こうして僕は、彼女に今までのこと、そしてこれからどうしたいのかなど、けっこう時間をかけて話した。彼女は開店準備で忙しい中、真剣な顔でほんのたまに僕の顔をみてくれて、頷いてくれた。彼女は、たまに言い方がストレートになるけど、根は優しくて真面目なのかもしれない。だから僕も詳細に話してしまったのかな。それに一度も批判や意見を僕にしなかったから、話しやすかった。


一通り話し合えた僕は、お店の中をじっくり見ることにした。


「それでさ、あんたは結局何がしたいの?」


彼女がいきなり話しかけてきた。僕が何をしたいか?


「え、だから、僕は、自分の心に正直に生きて、幸せに‥」


「あなたの心に正直に生きるのはわかった。だけだ、それであなたの幸せって何?」


「僕の幸せ?僕の幸せは、自分に正直に生きる人生そのものだと思う。僕は今まで反対の生き方をしてきた。色んなことに対して我慢をしてきた。だからわかるんだ。幸せは、自分に正直に生きることそのものだって。」


「何かを成し遂げることじゃなく、正直に生きることそのものが幸福ってこと?」


「何かをしたいと思ったら、それをする。何かを成し遂げたいって思ったら、それをする。それも自分の心に正直に生きることだと僕は思う」


「言い換えれば、欲望のままに生きることよね。それって正しいのかしら?」


「うん。僕は抑圧のまま生きた方が病むと思う。経験から言うとね。ここの佐藤さんも、自分の夢という欲を叶えてバーを開いた。そして、多くの人にお酒を楽しむ場を提供した。それは佐藤さん自身の幸福でもあり、他人の幸福でもある。だから自分の欲を叶えることは、多くの人の幸福にも繋がると僕は考える」


「だけど、誰かの欲によって苦しむ人もいるわ」


「お金も使い型によって、誰かの幸せにもなるし、逆にもなる。欲も同じようなものだと思う」


「なるほど。面白い話を聞かせてもらった」


突然、低い声が聞こえた。声の方向を見ると長身で痩せている男性がいた。


「あの、佐藤さんですか?」


「いかにも、僕は佐藤です。よろしくね。モモタロくん。君のことはキビダンゴ社のあいつから電話で聞いてるよ。面白い子がいるから話を聞いてくれってね」


「お疲れ様です、マスター。私奥の作業してくるので、表の方お願いします」


「お疲れ様ですかなえさん。わかりました、僕はここでモモタロさんとお話ししていますね。裏の作業よろしくお願いします。それではモモタロくん、お待たせしました。少し僕と、お話ししようか」


佐藤さんは、笑顔僕にそう言った。


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