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2.0話 集落

 

 果実を載せた荷車を引き、集落に着いた。


 冬の寒い時期に備える時期ということもあり、集落中が動いている

 あちこちで煙が立ち、その熱気と人の熱気で少し暑い。

 人々はみな布を巻いているだけの服装だ。


 そんな中を自分は、その集落の中心へ行っているところだ。


 その大きな竈場には、母、ヘスがいる。

 ヘスは食材に火を当てて乾燥させている。顔には汗が見える。


「母さん!採ってきたよ!」


 聞こえるようにそう報告して、荷台を竈に横付けする。

 ヘスがこちらと荷台を見て、笑顔を見せて


「お疲れ!こんなにいっぱい採れた?!」


「うん、まだいっぱいあったよ!」


 ヘスのその労いの返答に、見た中での青果の様子も報告する。


「そう!!…あー、でも、竈が開かないかなぁ、今日は…」


 収穫は多くても、そういう設備は追々である。

 去年はまだ良かったが、今年の荷車2.5台体制には、一日あたりで考えると、竈は足りていない。

 ただ、集落の人数は増えないので、量を作る必要はない。

 作業負担、所要日数、時間を減らすことが目的だ。


「何か運ぶものがあれば手伝うよ?」


 残った時間を、こういったことに使っていけば周りの負担は減る。

 その意味では荷車は万能選手だ。



「ん、そうね!…リアナちゃーん!そっち出来た?!」


 ヘスは、向こうの竈にいる義娘、リアナに聞こえるように声を出す


「…出来てまーす!」と返ってくる。


「だって。あとでリアナちゃんも回ってやってね」


 連携が強い。


「わかった。それじゃ移しておくね」


 そういって荷車の果実を、保存ジャム用と生食用に分けて籠に移していく。

 そして、ヘスが作った乾物の壺を「これ?」「そ!」と確認して荷車に乗せて、次はリアナのところへ向かう。



「出来たものはこれでいい?」「そう、それと…あれを」そうやり取りして、壺を2つ載せた。




 そうして計3個の壺を載せて、貯蔵庫へ向かう。

 叔母、リズもその中にいた。


「叔母さん、乾物の壺3つです」


 そう言って、貯蔵庫の脇まで荷台を持ってくる。


「はーい」


 パタパタとこちらへ来る間に、壺を降ろし始める。


 リズはそこで貯蔵庫の管理を、夫のファズと行っていた。

 そのファズは今、息子のケイルと狩りへ出ているだろう。


 リズがこちらに来た。壺の中身を改めている。


「乾物だね?」「そうです」そう答え、リズがチェックをしている間に、残りの壺を降ろす。


 …無言のまま、3つの壺のチェックが終わり、「この2つはこっちさね」とリアナが作った壺の移動先を示される。


 やはり無言で運ぶ。今は壺の口は開いているが、後々蓋をされるだろう。




 そうして運び終えても、次の仕事はまだある。


 集落の周りを見る。

 狩りから帰る人、解体する人。皮をなめす人、調理する人。

 藁縄を編む人、石器を研ぐ人、木材を削る人、土器を作る人。



 働かざるもの食うべからず、とはまさしくこのことか。

 全員で冬を乗り越えようとしている。


 冬の時は上着代わりに毛皮を巻き、寒さに耐えつつ、秋の貯えで過ごす。その間に家で毛を紡いだり、布を織っている。

 冬を越したらそれが1年だ。ここの人らはそれを1回とただ数えている。

 そのあとに暖かい花が咲き、夏の麦がある。

 冷蔵庫も雪室もない。季節品と保存食と即時調達でどうにか暮らしている。


 そんな世界である。

 残念ながら、自分には都合の良い食品の知識は持ち合わせがほぼない。

 出来ることと言えば、石器や骨角器や木材で道具を作り、負担を和らげられる程度だ。

 構想としては色々考えてはいるが制作にかかる時間は長く、ましてや専属で作れるわけでもない。

 そこまで優しい時代ではなかった。

 集落を手伝いながら、その合間にコツコツと作っていく。そのため取捨選択をして、どれが一番良いか考えていく必要がある。


 そうやって転生した人生を歩んでいくつもりだ。

集落の日常紹介というところで。

麦の収穫かどっちにしようか迷いましたが、冬を越す方がいいかなーと。

リアナ、ケイル、リズは閑話要員でしょうかね。

母はとりあえずインパクト強めの方向で爪痕を残してもらいます。


ご意見お待ちしております。

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