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16.0話 母として-2

~エレスの魔法を再び見たところから~

 昨日、魔法を使って倒れているため、魔法について踏み込むつもりはなかった。

 エレスの魔法の代償を、自分は危険視していた。その他にも懸念はたくさんあった。


 エレスは逃げた魚を目で追い、落胆し、


「あんなに逃げるの…?」


 そんな抗議をしていた。


「…お魚だって生きていたいからね」


 その部分はまた教えるとして、確認したいことがいくつかあった。


「エレス。今の力は何回使えるの?」


「?…わからないけど使えるよ?」


「そう…。昨日みたいに、いつのまにか寝ちゃったことは?」


「ううん?あれだけだよ?」


「そっか、…わかった」


「これ、すごい!?」


「あぁ、エレスはすごいな」



 顔は笑顔を取り繕っているが、そんな短い言葉しか自分は出てこなかった。エレスの顔も見ているようで見ていなかった。自分の思考を整理する必要があった。


「でもお魚逃げちゃった…」


 エレスがそう落胆した声を出す。その顔も暗くなり始めてしまっていた。

 そんな顔は見たくはなかった。自分の応対にも少し罪悪感を覚えた。


「“あれ”で魚を捕まえるなら、そうだな。……これで魚を掴むと良いよ」


 そう言って、自分の上半身の布を解き、それを渡す。下半身はまた別の布で覆っているし、予備の布はある。


「え?ほんとうに?」


「本当だ」


 この言葉も何度目だろうか。そんなことを考えると、自然と自分の顔が緩んでくる。


「それじゃあ、もう一回やってみる!」


 笑顔で元気よくそう言った。

「無理はしないでね」とやはり自分はくぎを刺す。「うん!」と言って立ち上がり、魚を探し始めた。


 それを見送り、ふぅーっとため息をついてしまう。

 魔法もそこまでエレスにとって危険ではない。そう思える程度に、ようやく思考が追い付いてきた。

 彼女にとっての魔法とは何か。良くないモノがまた湧き上がって来てしまうかとも危惧していた。考えれば考えるほど、その躊躇いは強くなった。



 幸い、それらは杞憂だった。

 そう一息つき、心を静めて、魚を探す真剣なエレスを見守る。また手をかざした。



「わっ!トーラお母さん、とれたー!」


 エレスは笑顔でそれを持ち上げてこちらに向かってきた。両手の布に挟まれて暴れる、魚の黒い影が見える。


「祝福を…。よくできました」


 良い子だという趣旨のその言葉を使い、優しく褒める。


「かんたんにとれた!」


「そうか。それじゃあ、お魚が逃げないうちに戻ろうか。」


「うん!」


 そう言って、川から出る。

 そして近くの地面に魚を放って暴れるが、陸では逃げれない。

 そうして釣果に喜んだであろうエレスは


「もう一つ、とってくる!」


 と言ってまた川に入っていった。「無理はしないようにな」と言って見送り、地面に座り見守った。

 彼女はその力で軽々と釣って来る。もはや釣りといえるかはわからないが。




 結局、4尾という所でストップをかけた。

 今日の分は十分ということと、4尾目の時は川の深い所まで行ってしまっていて、ハラハラとした気分にさせられたためだ。


「お魚お魚―♪」


 隣で歩くエレスは、すっかり気を良くして歌の様にそう連呼している。

 自分は布の上でぐったりしている魚たちを持ち、野営場所に向かっていた。


 エレスのその釣果を見て、また自分は複雑になる。

 これではどちらが保護者かわからない。ヒモになった気分がしてくる。母親が子供のヒモになるのは如何なことだろう。

 魔法を解析して、もし自分も使えるようになるならば、彼女の負担も減るだろう。そう思って3尾目のときに魔法を覗かせてもらっている。だが、まだまだわからない。


 今までの様に森の中に狩りへ行くことは少し躊躇している。エレスはまた森の中に来てしまうかもしれない。一緒に行くにしても、また熊に遭遇して倒れてしまっては身が持たないであろう。そんな不安があった。


 その点、この方法であれば不安要素はあまりない。その事に気付くことには時間を要さなかった。

 暫くヒモのようになる点を受け入れればの話だが…。魔法が使えなければずっとそうなるかもしれない。



 そこまで考えて、彼女に確認してみる。


「エレス、明日の事なんだけど、森の中に入ってる間は待っていれる?」


「え?わたしも一緒に行きたい!」


「…昨日みたいに危ないこともあるから、待ってて欲しいなぁ」


「熊さんだったら、また大丈夫だよ?!」


「んーー、そうじゃないんだけど…」


「??」


 …これは絶対に無理だ。そう思う。

 彼女の森に対する認識はかなり甘いことは、今日の会話の中でもわかっていた。何故生き残れたのか不思議に思える。魔法に秘密があるのだろうか?

 しかし、森に入らない訳にもいかない。薬草やそこで取れる食材もまた必要だ。

 魔法に秘密があるのなら一緒に入っても大丈夫かもしれない。そう楽観的に思うことにした。


「…わかった。その時は一緒に行こうか。」


「うん!」


 笑顔を作りそう伝えた。やはりエレスもそれで応えた。



 ―――



 今日はささやかながらも豪勢な食事となった。

 昨日と今日の収穫を合わせると、結構な量だった。


 その間、色々なことをまた話した。

 命に感謝して食べよう、などと言ってそれを教えた。

 これは仏教の教えだったろうか?聞いた中では神からの恵み、祝福という主旨が一般的だ。


 また、エレスの魔法の発動方法も聞いた。“あれを取りたい”、“来ないで”と念じるだけだそうだ。

 彼女はやはり自慢するように言い、自分はそれを褒めた。



 そうして話をしながらいると周りは暗くなってきた。日没だ。

 体を洗うように言ったとき彼女は、


「トーラお母さんは拭いてくれないの?」


 そうせがんだ。当然のように自分はそれを離した。


「男の人にそういうことは頼んじゃいけません」


 …これは駄目だった。

 次第に悲痛な表情を浮かべ、俯いてしまった。


 慌てた自分は撤回し、それを了承した。

 せめてもの贖罪として、最後の薬草の一枚を布に巻いて体のあざにそれが染みるよう看病した。

 彼女も笑顔を取り戻してくれた。


 エレスにとっての母親をおっかなびっくり演じる。それが今の自分だとその時に痛感した。

 添い寝もまたその一つだろう。


 エレスのその寝顔を見ながら思考する。


 生きて欲しいと最初は願った。しかしそれがどういう訳か母親にされる。そして本当の母親を探す。

 エレスの唯一は母親として頼ることだろう事は想像に難くない。


 そうされる自分にはあまり抵抗はない。彼女を助けたいという気持ちは強い。

 ならばこのまま明日からの旅程も進めるだろう。彼女には助けられるばかりになるだろう。


 助け合って集落を巡り、交易し、母親を探す旅。

 …なんだ。収まっているじゃないか。


 そう3日間を振り返り、そう願い、休息の日を終える。



てめぇ!それで玉ついてんのか!!・・・母親ですから(合掌)


うーん、色々考えすぎてて辛いわ、この人。もっとライトにいけないものか。

きっと禿るな。うん、そうだな、禿させるか

2話前の回想するところは削除しようか迷ってます…。

思考のベクトルもこれでいいか少し考えモノです。何か硬い言葉が多いしねぇ。。


ここから少し早回しになります。遅々として旅程が進みません。この3日間を10話?

山の集落にたどり着くのは遠いですねー。解決する課題が多すぎます。


ブクマ、評価ありがとうございます。

ご意見、ご感想お待ちしております。

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