11.0話 エレス (R)
エレス視点です ※昆虫食、バイオレンス、グロテスク注意
わたしはずっと、その家にいた。
その家にはわたしだけ。
その家にはお母さんがくるだけだった。
お母さんがあったかいスープと食べ物とお話をもってきてくれて、
お母さんはいつも、体を拭いてくれて、抱きしめてくれて、頭を撫でてくれた。
もっと会いたいのに、家から出てってしまう前に
「きっと大丈夫だから…、ごめんねエレス…」
いつもそう言って、わたしを抱きしめて、頭を撫でていった。
わたしは出られなかった。出てはいけないと言われていた。
こちらからは開かなかった。
お話しには、家の外には森や川や山や湖があって
魚や虫や獣や鳥がいると教えてくれていた。
スープと一緒に何かが出てきた。
これが虫よ、とお母さんが言った。
わたしは、それは少し嫌だった。
お母さんは「おいしいから大丈夫」といってそれを食べた。
わたしも怖かったけど食べた。おいしかった。お母さんにもそう言った。
やさしい顔をしていた。
寒い日が何回もすぎた。
男の人が家に入ってきた。
お母さんが止めに入ろうとした。
お母さんが叩かれた。
その男の人は怒っていた。
その怖い目で私を見ていた。
すごく怖かった。
男の人は近づいてきて手を上げた。
“こないで”と思った。
すごい音がした。わたしが叩かれたと思った。
だけどそうじゃなかった。
男の人はどこかにいってしまった。
家から外が見えるようになった。
お母さんは、びっくりした顔で見ていた。
なんでそんな顔するの?
その日からは毎日のように叩かれた。
はじめは“こないで”と思えば、やっぱりいなくなった。
何人もいると、叩く人はいなくならなかった
男の人じゃなくて女の人もいた。みんなからそうされた。
謝らされた、謝った、謝っても叩かれた。
食べ物はくれた。くれるのに叩かれた。
嫌と言っても食べさせられた。叩かれた
毎日が怖かった。
毎日、お母さんに助けてほしくて泣いた。
1回だけお母さんが来た。
中に入ると私を抱きしめて泣いた。
私も泣いた。助けに来てくれたと思った。
だけど違った。
ここから出る? …出れるの?
誰かに助けて? …お母さんじゃなくて?
生きて? なんでそんなこというの?
わからなかった。嫌だった。助けてくれないのと泣いた。
お母さんは、生きていれば誰か助けてくれると言った。
お母さんは一緒じゃないの?
なんで?
生きていれば会える?
ほんとうに?
約束?約束ってなに?
ほんとうに会える?
そう約束して、お母さんはまた家を離れた。
……それからどれだけ経ったかはわからない。
私は木がいっぱいある中で寝ていた。
周りは何もなかった、何もかもがわからなかった。
着ていた毛皮は新しかった。
どれくらいそうしていたのかわからない。
私は生きることにした。誰もいないところだった。
そうすればお母さんに会えるから。
約束していた。助けてほしかった。
森の中を草原を川の中を、そしてまた森に入った。
お母さんから聞いていたお話しといっしょだった。
あの虫を見つけて、そのままそれを食べた。おいしくなかった。
果物のようなのもあった。おいしくなかった。
それでも歩いた、歩いていれば生きれるとお母さんはいっていた。
眠っていたら、誰かがこちらを見ていた。
「誰?」
考えるより先にそうつぶやいた。
どうした?と声の人は聞いてきた
「おなかがすいた」
と“わたし”が言った。
何かのにおいで目が覚めた。スープ?
(お母さん?)
そう思ってその人を見た。
「気付いた?スープ出来てるけど、飲める?」
男の人の声だった。そう言ってスープの入った椀を持っていた。
…男の人は怖い。
でもあったかいスープはお母さんしかくれなかった。
干し肉?より、わたしはそれを欲しかった。
怖くてもそれを手に取った。…叩かれなかった。
いろいろ食べさせてくれた。
男の人は怖いけど、叩かなかった。
目を見てしまう。それでも怒られなかった。
少しだけならお話をしてもよかった。怒らないから。
ここ?それはわからなかった。
わからない…、男の人たちはそれを怒る。この人もきっと怒る…。
どこへ?……わからない……、怒られるのはやだな…。
お母さん? …わからない…。…もう怒るよね…
また怒られる!!
いつものようにひたすらに謝った。
何か言っていたけど、聞かなかった。怒られてるから。
男の人が近くに来る。また!!
手が動いた。また!!!
わたしはそのまま、叩かれると思った
……頭に男の人の手がある。怖い。
頭を撫でられている?怖い。
「君を傷つけないから」
男の人の声がする。
それでも少し怖い。
撫でられている頭があったかくなってる。
怒らない?
目を少しだけ開く。
男の人が見たことがない顔をして、頭を撫でている。
少しだけ、お母さんみたいだと思った。
でも男の人だ。
でも何で?怒らない?
ほんとうに?
「本当だ」
笑う顔をしていた。
次の朝。
その男の人の、寝ている顔をじっと見てみる。
もう怖くは無かった。怒らないし、お母さんみたいだと思った。
またスープが出された。
このあったかいのがなくなるのは嫌だった。
このお母さんみたいな人なら助けてくれると思った。
だからこの人、トーラについて行くことにした。
歩いていけばお母さんに会えるから。
その日もスープと、あとは何かわからないものが出てきた。
これがお魚?
お母さんのお話にあった?
どれもあったかくておいしかった。
この人はわたしを助けてくれるのかな?
トーラの寝ている顔を見ていた。
寝ているときは怒られないから。
知らないことをお話ししてくれる。お母さんみたいに。
お母さんに会えるかな?
トーラに聞いた。
お母さんと一緒のことを言った。
それからトーラが何か変だった。
トーラを見ていたら、白い何かが光っているのが見えた。
綺麗な石だった。見たことが無かった。
くれるの!?
うれしかった。あれから笑ってなかった?
この石を見ていると笑顔が止まらなかった
お母さんに会えるように、祈ってくれた。
トーラは助けてくれる!!お母さんに会わせてくれる!!
……何で泣いているんだろう?お母さんじゃないのに
トーラは抱きしめてくれた。お母さんの様に
トーラが森の中に入っていた。
ずっと綺麗な石を見ていた。
…眠っていた。
トーラはいなかった。またわたしだけ?
トーラを探して、森の中を歩いた。
向こうから何かくる?
トーラと、大きな黒い何か?
トーラが私を持って走った。少し楽しい。
あれが熊?
お母さんがお話ししてくれた?
食べられるのは嫌だった。お母さんに会いたかった。
トーラが私をまた一人にしようとした。
トーラが食べられるのも嫌だった
この熊さんはいなくなってほしい
……また約束?
…そっか。
この人はお母さんと一緒なんだ。
なら、トーラは怒らないよね?
あったか~いす~ぷ~ …もう古いな。
罪悪感がパナイです…書き直してると目がかすむ…
言語縛りと年齢縛りを足して書いてます。
エレスの精神年齢が幼いためです。
語彙と罪悪感が厳しいので、この回想をしてるのは、未来のエレスに改変しようか迷ってます…
このヒロイン、やっぱり色々盛りすぎてヤヴァイ…




