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八日目

拳が朝食を食べおえ持ち物を整理していたころ、部屋がノックされた。


「拳殿、おはようございます。翁ですじゃ。お迎えに上がりましたじゃ。」

「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」


拳たちは宿をでて訓練施設に向かう。


「今日拳殿にしてもらうのは体力訓練と戦闘訓練ですじゃ。時間は約3時間昼食をはさんだりするので終わりは3時ころかと思いますじゃ。」

「結構がっつりやるんですね。ついていけるか心配ですが、頑張ります。」

「はっは、休憩も挟みますし、戦闘訓練では何組かに分かれて行うのでずっと動きぱなっしというわけでもないので大丈夫かと。」


うーん、不安だ。


そんなこんなで二人は訓練施設に到着し、訓練場に向かった。


「「「翁軍事長代理おはようございます!」」」

「「おはようございます!」」

「うむ。諸君おはよう。こちらは佐藤拳殿じゃ。今日は一緒に訓練をするのでな、皆よろしく頼む。」

「佐藤拳です。足手まといにならないよう頑張りますので、今日はよろしくお願いします!」

「「よろしくお願いします!」」


すげー迫力だ。やっぱ兵隊ってすげえな。


「では、早速訓練を開始する。各自柔軟や準備をし、10分後に再度集合するように。」


 翁が号令をすると各々が柔軟を始めた。拳も柔軟を同様に行う。そして、10分後まずは、10キロのランニングから始まった。一キロ3分ペースで走っていた。

 このペースは結構なペースであるはずだが、拳は同年代の天才のステータスをほこるゆえ、なんとかついていけた。

 次に行うのはフルプレートの鎧をつけての20メートル走だ。これを20本行った。

そして、そのまま腕立て腹筋背筋を100回ずつ行う。鎧は総重量20キロあり、かなりの負荷がかかる。すべてを終えたあと拳はふらふらだった。


「拳殿いかがでしたかな?」

「翁さん、もうフラフラです。僕は兵にはなれませんね。」

「はっは、またまたご謙遜をなんだかんだついていけてるではありませんか。素晴らしいですぞ。」

「ありがとうございます。」

「次は戦闘訓練ですが昼食後です、まあゆっくりしてくだされ。はっはっは。」


翁は拳に食堂の場所を伝えるとそのままどこかへ行ってしまった。


食堂へ行く1人の兵隊に呼ばれる。そこにはすでに配膳がなされていた。

メニューは茹でた鶏肉400g、サラダ、山盛り麦飯、牛乳、謎の飲み物、ヨーグルトとタンパク質多めの筋肉メニューだ。


「あのーこの牛乳以外の飲み物はなんですか?」

「ああ、これはミノタウロスの雌の乳ですな。牛乳よりもタンパク質とアミノ酸が豊富で筋肉と疲労の回復に効果的なんですよ。」

「なるほど、ありがとうございます。」


この世界は食文化に関して言えば元の世界と変わんねぇな。ありがたい。でもプロテインはないみたいだな。


拳は兵士と日々の生活や拳技や剣技について語りあった。

そして、技の取得方法が判明した。

技は基本的には取得している技を一定程度使用し、さらに新しい技を使える体作りが必要になるらしい。両方を満たすと自動的に技が出せるようだ。もっとも、特殊な条件が必要な場合もあるとかですべてが判明しているわけではないということだ。


ようはレベルアップみたいな感じなんだろうな。特別な動作をするわけではなく、意識するだけだし、技を覚えるために訓練は不要そうだ。今後は自主的な体つくりが課題だな。


昼食を食べ終え雑談していると次の訓練の時間になっていた。


「拳殿行きましょう。」

「はい。」


拳は兵士たちとともに訓練場に戻った。


「では、次に徒手格闘の訓練を行う。呼ばれたものは中央に集合し、他のものは見学すること。」


そして、翁は3組ほど指名。最後に拳を指名した。


「拳殿の相手は儂ですじゃ。」

「え?いいんですか?」

「もちろんですじゃ」


兵士たちはざわついていた。


「え?翁さんて戦えたの?」

「ばっか当り前だろ。首取の翁だぞ!」

「そうだぞ。あの人は一瞬で首を切断する方だぞ!」


おいおいまじかよ。これは心してかからなきゃだ。


「では各々準備でき次第開始するように制限時間は10分。途中で相手が降参した場合は終わりじゃ。拳殿用意はいいですかな?」

「ええ。」

「では、行きますじゃ。」


翁は一気に拳の前に移動すると正拳突きを放つ。拳は体をひねりながら躱しつつ裏拳で翁の顔面を狙う。しかし、翁はかがんでそれを躱し、起きる勢いで拳にアッパーを放つ。それに対して拳は手のひらでいなす。この一連の流れのあとで両者は距離をとる。


「「おおー!」」


一瞬の出来事に見学していた兵士たちは声を上げていた。


「はっは、さすがですなまさか完璧に防がれるとは。」

「いえいえ、こっちは必死ですよ。翁さん気を使ってくれてるではないですか。」

「はっは、見抜かれていましたな。では次は全力で行きますぞ。」


パン!


「うぐっ」


一瞬で拳は腹パンされる。拳はなんとか体勢を整え再び距離を取ろうとするも翁はそれを許さない。


パンパンパパン


翁は細かいパンチを何度も放つ。拳もやられてばかりではない。何とか腕で攻撃を防ぐ。しかし、


いってー!防いでもこんなに痛いのかよ。攻撃力と速さがさっきと段違いだ。


拳は完全にダメージを流せないでいた。


「はっはまだまだ行きますぞ。」


翁のラッシュは止まらない。拳も必死に食らいつき決定打をくらってはいない。拳は翁の隙が生まれるのをじっと待った。


このままじゃ埒があかない。こうなったら突っ込むか。


拳はガードの姿勢のまま翁に体当たりした。急な拳の攻撃にも翁は体をひねりなんなく躱し、さらに拳に足をかける。それにより拳は転んでしまった。


ずざーっ


っ!やばい体勢を!


と拳が立ち上がろうとすると目の前で翁の正拳突きがピタッと止まった。


「いかがなされますかの?」

「降参です。」

「うむ。いい訓練になりました。ありがとうございましたじゃ。」

「いえ、手も足も出ませんでした。正直悔しいです。」


「はっはっは、これでも拳殿よりも何年も訓練と実践をしてきましたからのそうそう負けるわけにもいかないのですよ。それに今回は技と術の使用がないですしの。拳技を使用されていたら危なかったものしれません。」

「え?翁さん拳技ないんですか?」

「ん?拳殿技はただの技であれば誰でも覚えますが武技は最初に覚えた武技しか覚えられませぬぞ?」

「そうだったですね、知らなかった。」


神様の知識って最低限のことしか教えてくれないのな。と拳は改めて思った。

そうして最初の組の訓練が終わり二組三組目とどんどん進んでいき拳は3戦して戦闘訓練は終わった。翁以外との訓練では拳は全勝だった。


「拳殿今日はおつかれさまでしたじゃ。」

「今日はありがとうございました。いい経験になりました。」

「いやーまさか兵士では手も足も出ないとは。そうじゃ拳殿我が町の兵士になりませぬか?」

「すみません、僕は単なる旅人なので。」

「冗談ですじゃ。ご安心を。」


よかった~


「それはさておき、拳殿、ヨシツネン様のことよろしくお願いしますじゃ。それとこれはヨリトモン様からですじゃ、旅にご活用ください。」


そういうと翁は拳に金貨10枚分の旅費を金貨銀貨を混ぜて渡してくれた。拳はもらっていいものかと悩むも背に腹は代えられないということでいただくことにした。


「ありがとうございます。ここは素直に頂きます。ヨシツネン様のことについては全力を尽くすことをお約束します。」


そして、拳は訓練場で翁と別れた。その後拳は町で旅の準備をし、宿へ帰った。拳は風呂に入り夕食を食べ終えるとすぐに就寝した。

明日はベンケンさんと合流してついに出発か。


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