新学期
よろしくお願いします。
俺の名前は坂上 啓介。県立y高校に通う2年の男子高校生である。この物語はごく普通の高校生であるこの俺の平凡?な日常を綴ったものであるので過度な期待をしないでもらえるとありがたい。
始まりは二年の始業式だった。
「チッ・・・あんたと一緒のクラスか・・・」
教室の前でそう悪態をついたのは幼少期からの幼馴染であり腐れ縁でもある霧島・シャーロット・希美である。名前からわかるように彼女は日本人とイギリス人のハーフである。
「どうでもいいけど人前では、はなしかけてこないでね・・・」
そう呟くと彼女はスタスタと教室に入っていった。うぜえ・・・。彼女は顔は可愛いのだ、顔は。いや容姿は優れている。あの長い金髪や青い目。それにモデルかと思うほどのスタイル。彼女の内面を知らずに容姿だけなら恐らく惚れていただろう。事実俺以外には完全に仮面を着けている学校では1年の頃から希美ファンクラブなるものが存在している。
「よう・・・また同じクラスだな」
「雄介か・・・今年もよろしくな」
教室に入るとそう声を掛けてきたのは1年の頃から同じクラスで何かと絡むことの多かった佐々木 雄介である。
「それはそうと、今年は霧島さんと一緒のクラスだな。なんてツイているんだ俺たちは」
「おう、そうだな・・・」
何を隠そうこの男こそが先述の希美ファンクラブの発足者なのである。なんでも1年の入学式の日に運命と出会ったのだとか・・・。彼女の仮面に下に隠された真の姿を知っている俺は何度も希美の本性を伝えようかとも思ったがそのたびに彼の恋心と本人の名誉の為に思いとどまった次第である。
「なあお前って結構前から霧島さんと知り合いなんだろ?紹介してくれよ?」
「紹介ったって俺と霧島はそんな仲良くないし・・・」
「まあそうだよな、お前と霧島さんじゃあな・・・」
若干引っかかる言い方ではあったがそのまま聞き流すことにした。そうなのだ、俺と希美は釣り合うとか釣り合わないとかじゃなくある時期を境にかれこれもう何年もまともな会話をしていない。とある理由から今更普通に笑いあうなんてことはもうほとんど不可能なのだ。
「おーい、みんなー席に着けー」
そうこう雄介ととりとめのない会話をしているうちに初めてのHRが始まった。
いやあ、どうも新学期の新しいクラスの雰囲気というものは苦手である。結局今日は雄介としか話してない。ボッチではないからまあいいかなどと考えながら帰路に就こうとすると後ろから呼び止められた。
「坂上君、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
ん?えーと誰だ?まだクラスの人の名前全員覚えてないんだよな。目の前にはショートカットの華奢な女の子が立っていた。えーとこの子は・・・ああそういえば、たしか1年の時隣のクラスだった名前は確か加藤 雪だったっけ?なんの用だろうか?
「いいけど、どうしたの?」
「それじゃあ少し着いてきて」
そういうと彼女はスタスタと教室を出て行った。仕方なく俺も彼女の後に着いていく。なんだろう?なにかしたかな?などと考えていると今は誰も使用していない物置のような空き教室に着いた。俺も中に入ると彼女はドアを閉めた。
「それで話って?」
俺がそう問いかけると彼女は深く息を吸い込んだ。
「それじゃあ約束通り私と付き合って」
は?
読了ありがとうございます。良かったら末永く見守っていてください。