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支天神話 ― 片翼の大神に目を付けられた僕は妹の未来のために足掻き続ける ―  作者: ゆきと
0章  予言の子

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不意の店番

しばらく待っても店主は帰ってこなかった。

仕方なく店番をしてるのだが、目の前の通る多くの人にとって、この店は”壁の落書き”と同じ扱いなのか誰も足を止める者はいない。

「この調子じゃ見てくれた人に絡みたくもなるかな。」

暇なのでさっき見られなかった売り物を見ていく事にした。

どれも見ただけでは用途も使い方も分からなかったが、よく見れば手書きの説明書がついている。

「これは何だろう?」

掌に乗るくらいの木の箱に丸い穴がいくつも開いている物を手に取ってみる。

横にツマミがあり、これを回して使うのだろう。

説明を見ると『ブーン取る取る』とある。

『これで痒い虫刺されとオサラバ!夏の不快な吸血虫ブーンを汗の匂いで誘き寄せ一網打尽!』

「へ~中々役に立ちそうだなぁ。」

試しにツマミを回してみると、途端に強烈なにおいが漂い始めた。

あまりの臭さに、道を歩く人が押し退けられた様にここを避けて行く。

近くを飛んでいたテスリ虫が静かに落ちる。

「・・・えっ、今テスリ虫落ちたよね。毒?まさか臭すぎて気絶した?ダメでしょう。ブーンどころか使った人が死んじゃうよね・・・」

直ぐにツマミを戻して説明書をよく見ると

『(危険)匂いが籠るので、決して室内では使わないでください。』

幸い匂いが身体に染み付く事はなく、直ぐに臭さは薄れたが二度と手を出す気にはなれなかった。


次にキレイに装飾された小箱が目に付いた。

『宝石箱の様な』とまでは言えないが、何かが浮き彫りにされており、随分と手が込んでいる。



同じ間違いはしない様に、今度はちゃんと説明を読む。


『小さな音楽家』

箱の横についている取っ手を回すと、音楽を奏でます。


「へぇー、リューイのおみやげにいいかな。」

特に危険も無さそうなので説明にあった取っ手を回すと、聞きなれたメロディが流れてきた。


ピン・パン・ピン・ポン び~ん! パン・ピン・・・

パン・パン・ポン ぶ~ん! パン・ピン・ポン・・・


一つ一つの音は済んだきれいな音なのに、何だろう?絶妙な所で音を外されて、残念というよりイライラする。

小箱を戻すと、横に置いてあった大きめな土鈴のような物を見つけた。


『けもの避けの鈴』

探索者の方々におすすめ!蓋をを開けて腰に吊るしておくと、匂いと音で獣が寄り付かなくなります。臭いが弱くなったら当店で中身を補充可能なのでお得です。


また”におい物”なのが引っ掛かるが、試しに少し蓋をズラして顔を近づける。

意に反してそれほど酷いにおいはしなかった。

これなら、”吹きこぼれ”(コルドランの周囲にある通常よりも神素の濃い地域。安いエリアルが取れる。)に行く女の人や子供が使うには良いかもしれない。

「? なんで、探索者におすすめなんだろう?探索者だったら、エリアルを取る為にも”けもの”、というか魔物に避けられたらダメなんじゃないかな。」

土鈴を戻すと他の商品も見て行った。


店の物はどれも微妙にツボを外しており、見ている分には面白かった。

中にはそこそこ使えそうな物もあるのだが、そういう物は使い方や説明が『なぜ?』と言いたくなるように的を外している。

無責任な感想を言わせてもらえば、ここの店主は商売に向いていないのだろう。

だが、どの商品にも奇抜なアイディアが隠されているので、作っている人の意気込みは感じられた。


作り手が何を考えていたかを想像したり、別の使い方を考えたりするのは楽しかった。

他に来るお客もいないのでゆっくり時間を潰すのも悪くないし、何より、リューイと話した時に、格好の話題になるのが良かった。


「あら、いつもの人じゃないのね?」

話しかけられて振り向くと、30代後半と思われる女の人が立っていた。

「まぁ、お手伝い?小さいのに関心ね。」

話しぶりから、どうやらあの店主の子どもと思われているみたいだ。

うれしくない・・・

だが、何の関係もない子供が店番をしているのを説明するのも面倒なのであいまいに誤魔化しておく。


女の人は手慣れた様子で幾つかの品物を手に取るとユウキにお金を渡してくる。

「あの・・・僕が言うのも変かもしれませんが、ここの商品をよく買っているんですか?結構、”変な物”しか置いていないと思いますが。」

代金を受け取りながら聞いてみると、相手はケラケラ笑っていた。

「あははは。そうね。ここの説明書を鵜呑みにするとひどい目に合うわね。今買った石鹸はね『汚れが良く落ちてお肌もピカピカ』って書いてあるけど、実際に手洗いに使ったら皮が剥けて大変だったわ。でも、洗濯で使うとどんな汚れも綺麗になってすごく助かっているの。」

「素材が傷んだりしないんですか?」

「それが不思議なのよ。布は全く傷まないわ。ダメなのは人の肌だけみたいで動物の皮は平気なのよね。」

本当に不思議よね、と言って首をかしげていた。


お釣りを渡そうと思ったがつり銭が置いていなかった。

仕方がないのでユウキは自分の持ってきたお金から銀貨を2枚出して相手に渡す。

「お仕事がんばってね。」といって歩いて行くのを見送る。

「この店に来るようなお客は逞しいんだな。」

後でリューイに話してあげる話題が増えてうれしかった。



「ユウキくん?ゴーザおじさんの所のユウキくんでしょう。」

不意に名前を呼ばれて振り向くと腰まであるきれいな髪の女の子が立っていた。









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