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序章 片翼の姉妹神
それはまだ創世から間もない頃
世界を支える2柱の姉妹神―――黒き翼を持つ姉神プロムと白き翼の妹神エフィメートは争い合い、勝利したエフィメートはプロムを贖罪の地へと送り世界に安寧が訪れた。
しかし封じられる直前にプロムは己の片翼を引き千切ると、千の羽根を世界へと振りまいた。
「この羽根は人の魂に溶け込んで芽吹き、いつの日かお前たちを越える者を生み出すだろう。その時こそ私はここに帰ってきて真に世界を解き放つ。」
大神の呪詛に多くの者が恐れ慄く中で妹神エフィメートも己の片翼を引き千切ると千億の破片と成して世界を祝福した。
「ならば私はこの世界を光で満たしましょう。お姉さまの撒いた力が人に変革をもたらしたとしても心にこの光がある限り必ずや正しき選択をする事でしょう。」
かくして、心に光と闇を宿しながら人は地に満ちて幾千万の時が流れた。
創世神話 邪神の封印より抜粋