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エピローグ

終わりです。

 エピローグ


 静かで代わり映えのしない毎日はどこかに消え去った。

 そして騒々しい毎日を空鷹は送っている。

 狭くてボロいアパートの部屋で騒ぐ二匹。それを遠目に眺める人間一人、それが最近の空鷹の日常である。

「何度言えば分かるのですか、マスターの契約猫は姫紗です。異論は許しません」

「いやでもねぇ。見てこれ、携帯のアイコン。一番目にあたし、二番目に君。これって確定的な証拠でしょ」

 そうなのだ。

 一度契約が破棄されて再契約した姫紗は紫の次に契約したということになっている。

 順番的には一番が紫で二番目が姫紗なのだ。

「関係ありません。最初に契約したのは私ですし、わ、た、し、ですしっ」

「ま、正規の契約猫はあたしで、君はおまけみたいな?」

「違います。私が正規の契約猫です。紫とは違って私とマスターには切っても切れない絆があるのです。そうですよね? マスター」

「うるせぇ俺に振るな、俺に」

「ほら見なさいっ」

「いや、思いっきり拒否られてるけど」

 流石の紫も苦笑する他ない。

「何故ですかマスター、あの日あれだけ私を必要で愛してるって言ってたじゃないですかっ!」

「言ってねぇ、捏造すんな。うぜぇ」

「ひ、酷いですマスター」

「ほらね。やっぱりご主人様は私が一番なのよ」

「あのなぁ、お前ら少しは静かに出来ねぇのか? 四六時中騒がれる俺の立場にもなってみろよ」

「それはマスターがはっきりしないからです」

「そうよ、ご主人様がはっきりすれば全て解決するのに」

「俺の所為でいいから静かにしてくれ。俺は家でくつろぐ時は静寂を求める男だ」

 そう言って空鷹は本を開いて読書を始める。

 本は猫の飼い方というタイトルで、読んでいるページは二種類の猫を飼う場合の喧嘩の対応の仕方である。

 この二匹の喧嘩は本当に頭を悩ませているのだ。

「まぁ……、それでも」

 嫌な日々ではなかった。

 落ち着きなどとは程遠い毎日ではあるが、それでもそれを望んでいる自分がどこかにいる。

 それはかつて自分が拒絶していたモノだった。

 しかし、手に入れてしまえばなんてことはない。失う恐怖はある。

 それでも欲しいと思える程には素晴らしい。

「お前ら、これからもよろしくな」

 そして空鷹は頭を空っぽにしたまま、思ったことをそのまま口に出した。

「二人とも大切なパートナーだから、あんま喧嘩すんじゃねぇぞ」

 それを聞いた姫紗と紫は呆然として、

 二人で顔を見合わせて笑って、

 そして同時に言った。

「「ツンデレだ」」

 空鷹には意味が不明だった。

 穏やかな日々はこれからもう少しだけ続くだろう。

 もう少しだけ。


 件名:おめでとうございます。

 本文:1stステージ通過おめでとうございます。2ndステージにてお待ちしております。


 後日、そんな内容のメールが空鷹の携帯に届いた。


読了ありがとうございます。どんな簡単なものでも構わないので、感想等お待ちしております。

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