プロローグ
拙い文章ですが、一読よろしくお願いします。色々な人の意見を聞いて、次の作品に生かしたいので、出来れば感想等もお待ちしています。
プロローグ
唇の柔らかい感触に驚いた。
ほのかに香る女の子の甘い匂いに頭がクラクラしそうになる。
味なんて分からない。感じるのは温かい確かな人間の体温と鼓動だけ。
自分の鼓動も呼応して跳ね上がる。
心臓が驚くくらい激しく血流を送り出していた。
時間が停止したと錯覚するほど長い時間そうしていた気がする。しかし、実際にはほんの一瞬の出来事なのだろう。
ファーストキスは猫に奪われた。
そして次の瞬間には、セカンドキスを自分よりも少しだけ年下の美少女に奪われていた。
理解が追いつかない。
意味がわからない。
ただ、確かな彼女の息吹を感じた。
その瞬間、紛れもなく彼女はこの世に生を受けたのだ。
他の誰でもない、千和空鷹の手によって。
この状況をなんと説明しようか。
少しだけ普通ではない高校生。品行方正とは掛け離れた問題児として、遅刻や無断欠席を繰り返し喧嘩に明け暮れるうちに不良とカテゴライズされた。
それに不満も不平もない。
彼にとってそれは望んだ評価で、受け入れるべき事実なのだ。
そんな千和空鷹の目の前には全裸のとびっきり可愛い美少女が居て、そして今まさに空鷹と唇を合わせていた。
美しい銀髪をなびかせて。
透き通るような蒼い瞳を細めて。
気持ち良さそうに、その生を噛み締めていた。
傷やシミひとつない美しすぎる白い肌を、惜しげもなく晒したそれは未成熟でありながらも美しい。
妖艶とは程遠く、色気を帯びないその裸体はただ純粋に美しい。
思わず息を呑む程に。
『契約が完了しました』
携帯電話からそんな無機質な電子音声が響く。
それが千和空鷹と姫紗の出会いであった。