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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第二部 カズハ・アックスプラントの初めての建国
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取り敢えず建国した俺は暇を潰すため敢えて泣き喚く事にした。

 その後も順調に勝ち続ける俺。

 やはり苦戦したのはデボルグ、ルーメリア、そしてエアリーの3人だった。

 そして――。



『只今より決勝戦を開催致します!』


 今大会で一番の盛り上がりを見せる会場。

 そして目の前に立っているのは予想通りの男。


「はは、凄いね。これだけ盛り上がってしまうと僕も緊張してきてしまうよ」


「嘘こけ。超余裕の表情じゃねぇかよユウリ」


「そうかな。僕には君の方がよっぽど『余裕』に見えるけど」


 互いが互いを牽制する。

 たぶんだけど、ユウリは『勇者ゲイル』より強いと思う。

 俺の直感がそう告げている。


「お前さ。どうして『勇者候補』止まりだったんだ? ゲイルに弱みでも握られてたのか?」


「まさか。純粋な実力不足だよ。彼の妹さんは前大会の優勝者だろう? その兄が勇者なのだから、僕なんて足元にも及ばないさ」


「ふーん……」


 明らかに何か隠している感じがするけど、別にどうでもよし。

 さっさと試合を終わらせて1000万G貰って家に帰りたい。

 勿論エリーヌと色々きゃっきゃうふふした後で。


『それでは決勝戦――――始めええええぇぇぇぇ!!』


 主審の合図と当時に突っ込む俺。

 先手必勝。

 最初から本気で行かせてもらおう。


「《ストライプ・トラスト》!!」


 ノーチャージで《ツヴァイハンダー》を突き出す。

 相手はユウリ1人だから力を溜めて突き出さなくても問題ない。


 無数の斬撃がユウリを捕らえる。


「《アイスシールド》」


 それら全ての斬撃が氷の盾に防がれる。

 なるほど。

 ユウリの得意属性の一つは《氷》か。


「今度はこっちからだね。凍てつく光は全ての生命を根絶する――――《氷陣光輝波アイシング・ソーサリー》」


「え」


 吹雪と共に無数の光の波動が俺の全身に激突する。


(氷の結晶に光が反射しているのか……?)


 一撃一撃は大した威力では無いが手数が多過ぎる。

 それに《光》は俺の弱点属性の一つ。

 ダメージ量は通常の250%だし。


「くっ……!」


「おや? カズトは《光》が弱点属性かい? これは都合が良い」


 余裕の表情のユウリ。

 やばいな……。

 俺との相性はアルゼイン同様、最悪だ。

 それよりも問題なのは――。


「ていうかなんでお前《氷魔法》と《光魔法》を同時に・・・発動出来るんだよ・・・・・・・・!」


「? おかしな事を聞くねカズトは……。知らないのかい? 僕は《双魔剣士ダブルキャスト》だよ」


 《双魔剣士ダブルキャスト》……?

 また聞いたこともない職業かよ……!

 一体どうなってんだ? この世界は……。


「だからこんな事も出来るのさ。どこぞの・・・・戦乙女・・・みたいにね・・・・・


「!」


 ちょっとドキリとしてしまった俺。

 こいつ……俺の事に気付いている訳じゃねぇだろうな……。


 ユウリの両手がそれぞれ青い光と金色の光に包まれていく。


「《アイスソード》」


 左手には魔法で作り出した氷の剣を。


「《シャインソード》」


 そして右手には同じく魔法で作りだした光の剣を。


「……《二刀流》って……マジですか……」


 俺だけに与えられたチートスキルであった筈の《二刀流》。

 しかもユウリの場合は2種類の魔法で具現化させた剣を装備している。

 流石に世界最強の剣である『あの二刀』より威力は遥かに落ちるのだろうが、それにしたって――。


「僕はね、この技が一番好きなんだよ。だって当然だろう? 憧れの《戦乙女》に少しでも近づけた気になれるからさ……!」


 言い終わるか終わらないかのタイミングでこちらに突っ込んで来るユウリ。


「くそ! 光のつぶてが邪魔だ! 《神速》!」


 《陰魔法》で反応速度を上昇させ、取り敢えずバックジャンプ。


「《スライドカッター》!」


「うお! あぶねぇ!」


 着地と同時に氷の剣が俺の鼻先をかすめる。


「《ゲートフリーズ》」


「しまっ――!」


 地面ごと俺の両足が凍りつく。

 ユウリの奴……!

 滅茶苦茶『戦い慣れ』していやがる……!


「ふふ、全部防ぎ切れるかな、カズト?」


 氷の剣と光の剣を交差し構えの姿勢をとるユウリ。

 氷の剣はまだしも、あっちの光の剣はマジヤバイ……!


「《無双氷輝剣アハト》」


 ユウリのラッシュが始まる。

 俺は《ツヴァイハンダー》を両手で構え防御の姿勢。


(くそ……! さっきとは違って一撃一撃が重い……!)


「まだまだこんなものではないのだろうカズト! 君はまだ《力》の半分も出していない筈だよ!」


「うるせぇ! いま対策を練っているところなんだよ! お前戦い慣れしてるからやりにくいんだよ!」


 必死に猛攻を防ぎながらも律儀に答えてしまう俺。

 いやでもマジで強いこいつ……。

 もしかしたらレイさんやアルゼインよりも強いかも……。


(帰ったらゼギウスを尋問しなくちゃな……。あのジジイ……。俺にしか《二刀流》を伝授してねぇって言ってたじゃねぇかよ……!)


 しかしそれは確か『2周目』での話だった筈。

 もしかしたら既に『3周目』で俺が《二刀流》をマスターしてたから状況が変わったのかも知れないし。

 要は教える筈だった俺が既にマスターしていたから、『別の奴』に伝授した――。

 それがユウリだった、というオチか?



「笑えねぇよそれええええええええええええええ!」



 ユウリの猛攻を大剣一本で受けながら――。



 ――俺は渾身の叫び声を会場に響き渡らせるのでした。


















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