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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第二部 カズハ・アックスプラントの初めての建国
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取り敢えず建国した俺は暇を潰すため敢えて束縛する事にした。

「うーん」


 やっぱ優勝決定戦で『縛り』はキツイか……。

 以前の大会のアルゼインやレイさんといい、この『3周目の世界』は色々と骨のある奴が出てきてるし。


 退屈しなくて助かるけど。


「本気出すんだろ? 来るなら来いや、カズト」


 デボルグがめっちゃ睨んでる。

 俺は溜息を吐きながらもウインドウを開き《陰魔法》を選択。


「《神速》」


 身体がふわりと浮く感じ。

 これ酔っちゃうからあまり使いたくない魔法なんだけど……。


「で、《弐乗》」


 更に効果を二乗する。

 もはやおれ自身の重みは一切感じない。

 だから余計に《ツヴァイハンダー》が重く感じる。


「……《速度上昇魔法》か。まあ、妥当だな」


 デボルグも構えを取る。

 奴の瞬間移動はどちらにせよ目で追えないだろうし。

 ならば俺自身の反応速度を高めて、出現と同時に超反応するしかないだろ。

 たぶん。


 俺はその場に《ツヴァイハンダー》を投げ捨てる。


「……どういうつもりだ?」


「重い」


「……けっ、俺と素手で勝負しようってのか? 舐められたもんだよなあああああああああああ!」


 地面を蹴ると同時にデボルグが消える。


(目で追うのは不可能だから……)


 俺は目を閉じ、その時を待つ。


「おらあああああああああああ!」


 左側面からのデボルグの咆哮。

 奴のミサイルのような右ストレートを超反応でかわす。


「ちぃ!」


 すぐさま消えるデボルグ。

 やっぱりそうか。

 攻撃の瞬間だけは・・・・・・・姿を現さないと駄目らしい。

 俺の読みはぴったんこ。


(次は下あたりかな……)


 攻撃パターンもいくつかに絞る。

 こうする事で更に反応速度を高める事が――。


「しゅっ!」


ゴンッ!


 後頭部に鈍器で殴られたような激痛。


「いてぇ! 踵落しかよ!」


 調子に乗ったら読み違えた……。

 すぐさま裏拳を繰り出すがまた瞬時に消えるデボルグ。


「女の頭に容赦なく蹴り入れやがって……!」


 激おこな俺は意識を集中しチャンスを待つ。


 ヒット&アウェイを繰り返すデボルグに対抗できる手段は一つだけ。


「どこ見てんだカズトおおおおおおお!」


 少し離れたところから猛スピードで突進してきたデボルグ。

 ちゃーんす!


「貴方は私から逃げられない♪ 《鎖錠》」


 異空間から一本の黒銀の鎖と手錠が出現する。

 そして手錠が見事デボルグの右腕を捕らえた。


「くっ……! 《束縛系魔法》……!」


 俺は笑顔でデボルグの顔に自身の顔を近づける。


「うっ……」


「ねぇ、デボルグぅ……。さっきは凄く……激しかったわよねぇ……うふ♪」


 デボルグの頬をつつーっと人差し指でなぞる俺。

 絶望の表情のデボルグ。

 というか顔が真っ青。


「ま、待てカズト……! その、俺が悪ガッ――!」


 下から思いっきり顎を膝で蹴り上げる。

 大丈夫。

 恐らく・・・こいつも・・・・十分固い・・・・


「女の恨みは海よりも深いんだよボケえええええええええええ!」


「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーー!」



 

 ――デボルグ・ハザード。


 一回戦、敗退――。





◆◇◆◇





「あー、くっそ……。俺の自慢の髪がちょっとチリチリに……」


 シャワー室で汚れを落とし、控え室に戻る俺。

 女の髪を燃やすなんて、マジ最悪だよな……。

 あの赤髪野郎め……。


「お疲れ様。良い試合だったね」


 声のした方向を向くと今度は金髪野郎が。


「どこがだよ……。あの馬鹿、女の俺に容赦無しだったんだぜ……。マジ外道」


「はは、そうかな。君の方がよっぽど……いや、止めておこう」


 ユウリが言っているのはデボルグのあの倍に膨れ上がった顔の事だろう。

 あれでもある程度は手加減したんだよ。

 恨みは込めたけど。


「お前もそろそろ出番なんだろう? 俺の様子をわざわざ見に来るなんて余裕しゃくしゃくなのもいい所だな」


 綺麗に髪を梳かしながら三つ編みを作り直す俺。

 くそ……。

 相変わらず上手く三つ編みができねぇ……。


「手伝うよ」


 俺から櫛を受け取り、手際良く俺の髪の一部分を三つ編みしてくれるユウリ。

 その流れがあまりにもスマート過ぎて、断る隙を与えてもらえなかった俺ェ……。

 イケメンカリスマ美容師かお前は!


「綺麗な髪だよね、カズト。これぐらい艶のあるストレートな髪だと、逆に三つ編みが解けやすくなっちゃうけど」


「……あの赤髪に少し燃やされたから解けづらくなったけどな」


「大丈夫。そこまで痛んでいないし、ケアすればまた元通りになるさ」


 優しく微笑むユウリ。

 大丈夫……。

 俺、ドキドキはそんなにしていない……筈。

 意識したら駄目だ。

 エリーヌのおっぱおとか考えていよう……。


「あ、ユウリ様! ここにいらっしゃったのですね! 次の試合がそろそろ始まり…………あ」


 受付譲が息を切らせて控え室へと入ってくる。

 てかなんだよ『あ』って!

 そのリアクションは解せぬ!


「ああ。すぐに向かうよ。……じゃあ、また後で、カズト」


「お、おう……」


 いつもの笑顔でいつもの残り香を残し去っていくユウリ。

 大丈夫。

 あたまクラクラはだいぶ軽減されてきた。

 胸に手を置き安堵する俺。


「……俺の次の試合は他の奴らの結果待ちだな……。飯でも食って、またちょっと外で小遣い稼いでくっかぁ」


 エアリーにプリンを奢らされたせいで所持金がかなり減ったし。

 アレだ。

 飼い犬の餌代に苦労する飼い主みたいな感じになってるぞ俺。


「はぁ……。金が貯まんねぇなぁ……相変わらず……」



 どっこらしょっと椅子から立ち上がった俺は――。



 ――《ツヴァイハンダー》を肩に担ぎ、再びフィールドで小遣い稼ぎをする事に。

















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