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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第二部 カズハ・アックスプラントの初めての建国
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取り敢えず建国した俺は暇を潰すため敢えて酒を奢る事にした。

『エーテルクランの街:酒場』



「えー、改めましてー。俺は『カズト』。《ユーフラテス公国》の端っこーの方から遠路はるばるやってきましたー」


 俺はそう言い『参加証』を二人に見せる。


「……けっ。お前も闘技大会参加が目的の傭兵崩れって事かよ」


 いや……。俺の傭兵団は一応《アゼルライムス》一の有名傭兵団《インフィニティコリドル》っつー名前なんだけどね。


「私は《ゲヒルロハネス連邦国》から来た『ルーメリア・オルダイン』よ。宜しく、カズト」


 ルーメリアも胸元から『参加証』を取り出し俺達に見せる。

 ……うん。

 今取り出す瞬間見えちゃったごめん。

 多分その服がいけないんだと思うよ。構造上。


「へぇ……。《ゲヒルロハネス連邦国》っていやあ、今『覇権争い』真っ只中の国だろう? どこが主権を取るとかどうとかで……」


 昔エリーヌからそんな話を聞いた事があった。

 俺が今までに立ち寄った事のない国の一つでもある。


「そうなのよ。だから国内の環境も最悪。真っ当な冒険者は皆、外国に逃げ出している最中なのよ。あの国は……」


「けっ、だからおめぇも逃げて来たって訳か。いいよなあ、『女』に対し寛容になったお国に逃げて来れてよう」


 腕を組み足をテーブルに投げ出しながら赤髪は暴言を吐く。


「いちいち喧嘩を売るなよお前は……。で? お前の番なんだけど?」


 ルーメリアが噛み付く前に話を先に進める俺。


「言わねえよ」


「はあ?」


「だから言わねえ。ほらよ」


 ぶっきらぼうに一枚のカードをテーブルに投げ出す赤髪。


『NO.029359 デボルグ・ハザード』


 参加証にはそう書いてあった。


「ふ~ん……。デボルグ君は女の子に自己紹介も出来ないチキン野郎だったんだね~。良く分ったわ」


「んだと――」


「はいストップ!」


 俺が先に進めたせいで不完全燃焼真っ最中のルーメリアが噛み付くのを直前で阻止……出来てねえか。


「マスタああ! こいつらにお勧めの超アルコール強い奴をちょうだーーーい!」


 カウンターでコップを磨いていた店主に指を2本立てて注文する俺。

 今の時間は店も空いている。

 取り敢えず酒を飲ませて気分良くなって帰ってもらおう。


 どうせ明日は闘技大会本番なのだ。

 ある程度酔っ払えばこいつらも満足して明日の準備でもすんだろきっと。


「……あ、それとミルクも一つくださーい……」


 聞こえるか聞こえないかの声で俺の分を追加注文しました……。




◆◇◆◇




「どうしてこうなった」


 あれからおよそ5時間。

 夜も更け、良い時間に差し掛かって来ている。

 目の前には空きコップの山。


「マスタぁぁ! 私ぃ、ジンジャエールのぉ、カクテルぅぅ!」


 ルーメリアがでろんでろんに酔っ払いながらも酒を注文する。

 もう頼まないでお願い。


「けっ、これくらいで酔いやがって……。これだから女ってのは……。マスター! 俺は焼酎をロックで!」


 こんだけ飲んで全然酔っ払った様子のないデボルグ。

 やべぇ……。ちょっと格好良いかもとか思ったのは秘密。


「……なあ君たち。遠慮という言葉をだなぁ……」


 流石に飲みすぎだろう。

 てかもう帰りたい。

 明日から闘技大会なのに大丈夫なのかよこいつ等は……。


「カズト」


「あんだよ」


「余興が足りねぇよ。ちょっとストリップでもやってく――がっ!!」


 言い終わるや否や喉元にチョップをかます俺。

 シラフに見えて大分酔ってんじゃねえかよこいつも……。


「ああー! ストリップなら私の方が得意らよ~! みんな~! 注目~!!」


 急にテーブルに立ち脱ごうとするルーメリア。


「おいやめろ!」


 引きずり落とす俺。

 何で俺がこんな役を……。


「そうだぜ、ルーメリア。てめぇの裸なんざぁ見たくもねぇ。こっちから願い下げだな」


「んだとゴラァ!!」


 メンチを切るルーメリア。

 ああ、もうそれじゃどっちがルーメリアでどっちがデボルグなのか分んなくなっちまうよ俺!


「お前らいい加減に――」


もみもみ。


「勝手に人の乳揉むんじゃねぇ赤髪ぃ!」


 俺の乳に手を伸ばしたデボルグをぶっ飛ばす俺。

 今ちょっとあの日が近付いて来てて張ってるんだから痛いんだよカス!


「……なんかぁ、私ぃ、女としてぇ、カズトに負けるとかぁ、考えられないんですけどぉ」


 今度は俺に絡んでくるルーメリア。

 わざと胸を俺の顔に押し付けて来る。

 お前……。

 これ、ブラしてねぇだろ絶対……。

 てか酒くせぇ……。 


「ルーメリアさんはおんならしいとおもいます」


「……その棒読み、超ムカつく」


 ……作戦失敗。


「けっ、大して乳がねぇ癖に格好だけで色目使いやがって。このドブスが」


「ドブ……!」


「マスタああああ! まだですかあああああ!! 早くお酒持ってきてくださあああああい!!!」


 ルーメリアとデボルグが火花を散らす。

 なんでこいつ等は昨日今日出会ったばかりでこんなに仲が悪いんだよ!

 まるで初期のルルとセレンみたいじゃねぇかよ!

 あー、めんどくせぇ……。


もみもみ。


「乳揉むなっつってんだろハゲ!」


 俺は肘でデボルグの顔面を強打する。

 そういやさっきも結構本気で殴ったんだが、あまり効いている気がしねぇなこいつ……。

 エルフ族のエアリーといい、今大会は骨のある奴らが多いのかもな……。


「……ミルクの成果は無し、か」


「うっせ! いいから手を離せカスっ!!」


「マスタぁぁぁぁ! お酒まだぁぁぁぁ!?」



 もう嫌だ……。


 早く……。俺を解放してくらさい……。


















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