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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第二部 カズハ・アックスプラントの初めての建国
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取り敢えず建国した俺は暇を潰すため敢えて仲裁する事にした。


『エーテルクランの街:雑貨屋』



「毎度~」


 店主のおばちゃんから紙袋を受け取り店を後にする俺。

 てかおばちゃんで良かった。

 こんなのを買う所をおっさんとかに見られるのは非常に嫌だ。


「……よし。いねぇな」


 俺は店から大通りに出る途中で前後一周を確認する。

 また何処であのイケメンに出会ってしまうか分らない。

 今の俺は何かが変だ。

 新世界の扉を開けてしまう可能性のある人物には近付かないに越した事は無い。


「………!!!」「…………」


 ふと耳を澄ますと雑貨屋の裏手の方からなにやら言い合っている声が聞こえて来る。


(……何だ……? 酔っ払いか……?)


 あまり関わり合いたく無いが、大声で叫んでいる方は男でもう一方は女の声だ。


(……キモい奴に絡まれてんのかな……。ったく……)


 俺は声がするほうに歩を進めた。




・・・




「だから誰がヤンキーだっつってんだよ! このアマぁ!」


「貴方の事に決まっているじゃないの。さっきから大声ばっかり上げて……。小さい男ね」


 髪をツンツンに立てた赤髪の男が娼婦のような格好の女に吠えている。

 あーあれか。痴情のもつれって奴か。


「誰が小さい男だと!? 俺は今回の闘技大会で優勝して『勇者』になる男だぞ!」


「あら……。貴方みたいな人間が参加した所で予選落ち確実なんじゃないかしら?」


「んだとこのアマ――」


「はいー。ストップー」


 男が拳を振り上げた所で間に入る俺。

 関わり合いたく無かったが女を殴るのは反則だろ。


「あぁ? 誰だおめぇ?」


 赤髪ツンツン男が俺にメンチを切ってくる。

 うわ、懐かしい。

 俺よくあっちの『現実世界』でこういうにーちゃんに絡まれてたっけ。

 ゲーセンで格闘ゲームに乱入してコテンパンにしちゃった時とか。


「あら。良いお・と・こ♪」


 娼婦姿の女が俺に色目を使ってくる。

 間違ってもいま手に持っている紙袋の中身が生理用品だとは、口が裂けても言えない。


「お前らさぁ。別れ話でお互い言いたい事があるのは分るけどさあ。そういうのはもっと人気のない所でやろうよ。見苦しいぞ、特に赤髪」


 キッと赤髪野朗を睨んでやる。

 そしたらもっと怖い目でガンを飛ばされ返された。

 ……うん。

 本物は迫力あるね。


「てめぇ、その声は『女』か。ったく……。この街にいる女はどうしてこうもムカつく奴らばかりなんだよ」


 ペッと唾を吐き俺と娼婦姿の女を交互に睨む赤髪野朗。


「あら、それって私の事を言ってるの? 私はこの街の人間じゃ無いわよ。こう見えても『冒険者』だもの」


 娼婦姿の女は艶かしいポーズでウインクを飛ばす。

 ……どう見ても冒険者には見えないんですけど。


「あー、あれだ。ちょっと良く分んないんだけど、喧嘩の原因は何なんだ?」


 今までの会話から察すると恋人同士でも元々知り合いという訳でも無いらしい。

 どちらかと言うと、今さっき出会ったばかりの者達の口喧嘩っぽいし。


「あぁ? そりゃあこいつがいきなり俺を指さして『あんな赤い髪して何を考えてるのかしら~』とか抜かしやがるから……」


「違うじゃない。貴方が先に『うへ、あんな娼婦みたいな格好で真昼間っから堂々と大通りを歩いてやがらぁ』とか言って来たからでしょう」


「何だよ!」

「何よ」


 にらみ合う二人。

 気が強ぇなこいつら……。


「あー、どうどうどう。……て事は、だ。お前ら2人とも別の街からここにやって来て、んでもってお互いがお互いの容姿が気に入らなくてボソッと言っちゃったらお互いがお互いのボソッが聞こえちゃってかっちーんてなって、そしてこの雑貨屋さんの裏手にちょっと来いやして、←いまここ、って感じか」


 腕を組みながらもうんうん、と一人頷く俺。


「……なんかそのまとめ方スッゲームカつくな」


 赤髪に睨まれた。


「まあ、そんな感じかしらね……。眼帯王子さん?」


 誰が眼帯王子だよ!

 女だと分っててわざと言ってるだろお前!


「あー、分った分った。お前らこの街初めてなんだろう? だったら俺が案内すっから。な? それで喧嘩は終わり」


「お前が? ……なんで見ず知らずのお前が俺らを案内するんだよ」


「なんとなくだ」


「……ぷっ、ぷははは! 面白いお嬢さんだねぇ……ぷくく……! いいよ、私はそれでチャラにするよ」


 お腹を抱えて笑う娼婦女。

 あー、もう『娼婦』を付けるのはやめておくか。


「じゃ、話が纏まった所で酒場でも行くっか。俺、良い所知ってっから」


「ちょ、おいてめぇ! 俺はまだ行くとは――」


「まあまあまあ、お兄さん、俺のおごりだから。な? 美女2人と酒が無料で付いて来るよ? こんな機会滅多に無いアルよ?」


 ……最後がタオみたいになっちまったが気のせいだろう。


「あれぇ? それとももしかして、お酒も飲めない様なお子ちゃまだったのかしらぁ?」


 女がクスクスと笑う。

 煽るなよ、いちいち……。


「……けっ、わーったよ。行きゃあ良いんだろ、行きゃあ」


 ペッと唾を吐き俺達に付いてくる赤髪。



 うーん。


 お金、まだ足りるよなぁ……。



 俺は気付かれないように財布の中身を確認した……。


















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