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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第一部 カズハ・アックスプラントの三度目の冒険
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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず金を稼ぐことでした。

「よーし! なんか知らんけどやる気出てきた気がする……!」


 ベッドから起き上がり大きく伸びをする。

 ウインドウの所持金の欄に記された金額は185743583G。

 さっきまで約2億とか言っていたけど、実際はまだ2億に到達していない。

 ……というか国を作るのって一体いくらぐらい掛かるんでしょうか。

 

 最初から国を作るよりも、どこか別の国を乗っ取っちゃえば楽なんだろうけれど……。

 だからと言って争いごとは避けたいんだよなぁ。

 無駄な血を流すなんて馬鹿げてるし。

 俺の思い付きのせいで人が死ぬとかアホらしいし……。


「……あ、そうか! 魔王の城を乗っ取っちゃえばいいじゃん!」


 今の俺だったら楽勝で魔王城を奪えるんじゃね?

 やべぇ……! 俺ってやっぱ天才かも!


「……いや、ちょっと待つんだカズト。あ、違うか、カズハだっけ。もう少し考えて行動するんだ。もしも俺が魔王城を落としたらどうなる……?」


 腕を組み顎に手を置き考える。

 俺は今回、勇者にはなれない。

 その俺が魔王を倒します。というか魔王城を乗っ取ります。

 でも乗っ取る前にあの裏ボスが出てくるだろう?

 で、邪魔だから倒すのは確実なんだけど、そしたら口から宝玉出てくるじゃん?

 その宝玉を取らずに次元の彼方まで思いっきり蹴り飛ばすとして……。

 無事に魔王城を乗っ取っても、いずれ別の勇者が魔王を倒しに来るじゃん。

 その勇者が玉座にふんぞり返って座っている俺を見たら、たぶん魔王だと勘違いするよね。

 ……そしたら俺、どないしたらええねん。


「言い訳したってまともに聞いてくれないのは目に見えてるし……。それ以前に俺って口下手だから勇者の顔を見たら速攻でぶん殴っちゃいそうだし……」


 勇者ということは、すでにエリーヌと結婚している可能性が高いもんなぁ。

 そいつがエリーヌと×××なことをしてるとか想像しちゃうと、俺の魔剣が火を噴くだろ。確実に。

 ……ていうか魔剣持ってる時点で言い訳しても意味ないじゃん!

 魔王の剣だろ! 魔剣って!

 以上より魔王城乗っ取りの件、却下します!!


「はぁ……。やっぱ人の住んでいなそうな土地に一から国を作るしかねぇか……」


 そこでのんびりまったり平和に暮らすかぁ。

 俺、家庭菜園とかもやってみたかったんだよね。

 もう戦うのとか、そういうのやめようよ。平和が一番だよ。

 だってアレでしょう?

 どうせ俺、無限ループ地獄なんでしょう?

 裏ボス倒しちゃったら、もっと強いボスとか出てくるんでしょう?

 もういいよ、そういうの。

 だったら倒さないで現状維持したほうがみんな幸せになれるよ。

 というか世界の平和よりも俺の平和のほうが大事だし……。

 もう俺、勇者じゃないんだから良いよね? 自分のことだけ考えても。


 ――と、まあそういう結論に至ったわけで。





 次の日の朝。


「お母さーん。ちょっと出掛けてくるねー」


 朝食を食べ終えた俺は、食器を洗っているお母さんに声を掛け家を出る。

 向う先はアゼルライムスより北に900ULウムラウトほど行った先にある『エーテルクラン』という大きな街だ。

 その街には巨大な闘技場があって、定期的に闘技大会が開かれているんですよ。

 世界各国から集まった猛者どもが競い合って、賞金を手にしたり勲章を授かったりしています。

 俺はといえば、一周目のときは余裕が無くて参加せずに完全スルーしました。

 で、二周目になって初めて参加したんだけど、そのときはすでにチート能力を手にしてたからね。

 確か参加人数が15000人くらいいたけど、6位くらいまで駆け上がって、途中で飽きて棄権しました。

 ほら、俺って飽き性だから。


 それでも結構やり応えがあったんだよね。

 100位くらいから参加者のレベルが上がってきて、10位を超えたら魔王軍の幹部クラスって感じかな。

 あ、でも勘違いしないでよ。

 『やり応えがある』っていうのは、俺が縛りプレイをしてたからだからね。

 具体的に言うと、スキルと魔法を全部封印して、武器は木の棒で戦うっていう縛り。

 そうでもしないと相手を殺しちゃうかも知れないじゃん。

 手加減にも限度というものがあるんですよ。


「よ、お疲れさん」


 街の門に立っていた警備兵に声を掛け街を出る。

 俺を止めようと手を伸ばしてきたけど、俺は華麗ステップでそれを避けウインクをしてやった。

 そしたらすごい剣幕で怒られたけど、まああのおっさんはそれが仕事だから仕方がない。

 今度アゼルライムスに戻ってきたらパンツでも見せてやるから許してくれな。





「ほい」


『ギャギャンッ!!』


 エーテルクランに向かう途中の草原で何度もモンスターに襲われ、それを返り討ちにしながら先に進みます。

 アゼルライムスの周辺モンスターよりも若干強いけど、それでも雑魚には違いない。

 剣を抜くまでもなく、デコピンだけでも余裕で倒せるレベルです。


 あ、ちなみにエーテルクランに向かう目的は闘技大会に参加するからです。

 そこで勝ち上がると貰える賞金が目当てなんだけど、それ以外にも『知名度』を上げておこうかと思って。

 知名度が上がると、ギルドで受注できる傭兵の仕事に割の良いのが回ってきやすいんですよ。

 この国で一番稼げる仕事っていえば傭兵がダントツだし、カジノで大儲けを狙うっていうのも勇気がいるからね……。


 でもその傭兵も報酬はピンキリで、無名だとショボい仕事しか貰えないんだよね。

 どこぞの金持ちから雇ってもらうためには、闘技大会で知名度を上げるのが最も手っ取り早いんです。


「あ、でも優勝はしないほうがいいかなぁ。目立ち過ぎるとのんびりまったり暮らせなくなるかもしれないし……」


『グアアアア!!』


 考えごとをしている最中にも次々と襲い掛かってくるモンスター。

 後ろを振り返ってみると、俺の歩いた道なりにモンスターの死骸が点々と続いている。

 本当なら死骸から武器や防具の加工に必要な素材を拾うべきなんだけど、素材は店で売ってもお金に変えられないんだよね。

 すでに最強装備が揃っちゃってる俺にはまったく必要がない物なんです。

 というか素材用のアイテム欄もいっぱいで拾えないし。


「確か優勝賞金は1000万Gだったかなぁ。2位が500万で3位が300万……」


 1000万を獲得するのなら優勝を狙うしかないんだけど、やっぱり目立ちたくないなぁ。

 傭兵の登録をしてから実績を積んでいけば1億プレイヤーくらいにはなれるし。


「100位で賞金が1万Gか。その辺りを狙ってみるか」


 1000位以内の入賞でギルドで傭兵の登録が出来るようになる。

 10位以上だとスーパースター扱い。

 となれば100位くらいが目立たず騒がれず、でもそれなりの仕事が回ってくる知名度になるのかな。


「よーし。とりあえず100位を目指そう。目立たずに着実に稼いでいって国作ろう」


『ギャギャギャンッ!!』


 目の前の狼型モンスターを蹴り飛ばし、俺は先に進む。

 

 ていうか、マジで国っていくらあれば作れるものなんですかね……。



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