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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第十部 カズハ・アックスプラントと竜人族の姫(後編)
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042 最強の武器まで手に入れちゃって少し浮かれてます。

「やっと来おったかカズハ。もう皆待ちくたびれとるぞ」


 セレンと一緒に宿を出た俺はそのままエーテルクランの街外れにあるゼギウス爺さんの小屋に向かいました。

 道中、確かにタオの言う通りめっちゃ兵士が多かったです……。

 なのでさすがにこの格好は目立つので陰魔法の『隠密』を使ってコソコソとここまで辿り着きました。


「あら。似合っているじゃない、その恰好」


 小屋の扉を開けると、入り口近くの椅子に座っていたリリィが俺の魔王姿を褒めてくれました。

 イーリシュはと言うと、工房に並んでいるゼギウス爺さんの作った数々の武具を物珍しそうに眺めています。

 まあ世界最高峰の武具がこんな小汚い小屋にごろごろ並んでたらビックリするよな普通。


「タオは夕食の準備に取り掛かるそうだ。……ルルの姿が見えないが……」


「あの精霊の娘だったら、街にいる帝国の兵士長に話を付けにいくと言って出て行ったぞ。……まったく。おぬしはどれだけ周りに迷惑を掛けたら気が済むのじゃ」


 そうため息交じりに言ったゼギウス爺さんは椅子から立ち上がり、イーリシュの脇をすり抜けて工房の奥に向かって行きました。

 その間に俺は部屋の中央にあるテーブルの上座に堂々と座ります。

 リリィにお茶でも頼もうかとも思ったけれど、さすがに怒られそうだから空気を読みましょう。うん。

 しばらくするとゼギウスの爺さんが何やら高級そうな布に被せた物を工房から持ち出してきてテーブルの中央に置きました。

 何だろう。お土産かな。


「……あ。言い忘れていたけれど、貴女が寝ている間に目的の品は全部ゼギウスさんに渡しておいたのよ」


「目的の品? ……あー、武器素材ね。そうそう。爺さんさぁ、一個追加でお願いがあってさ」


「何じゃ。改まって」


「魔剣の素材に、魔屍王から奪ってきた妖杖の破片の『翠宝石』を混ぜるとか、できないかなー……って」


 俺はゼギウスの顔を下から覗き込むようにしながらそっと口にしました。

 今、このジジイを怒らせたら元も子も無いからね。

 ただでさえ最強の魔王の剣に匹敵するくらい強い魔剣を作ってとか無茶なお願いをしているのに、そこに『破理』の効果がある妖杖の素材を混ぜてくれなんてサラっと言ったら、驚きのあまりギックリ腰とかになっちゃうかもしんないし。爺さん歳だから。


「……はぁ。そう言うと思っておったからのぅ。ホレ」


 再びため息交じりにそう言った爺さんはテーブルに置かれた物の上にある布をそっと引っ張りました。

 そこに現れたのは禍々しい赤黒い色を放つ片手剣でした。

 魔王の剣よりは若干細めな気がするけれど、特徴的なのは剣の鍔の中心に淡く緑色に光る宝石――。


「…………え」


 俺は絶句します。

 え? いやちょっと待って。

 これなに。え? もう出来てるってこと??


「何を目を丸くしておるのじゃ。おぬしが依頼したんじゃろうが」


「いやいやいや!!! 早すぎじゃね!? しかも『翠宝石』までちゃんと埋め込まれてんじゃん!!!」


 そう言いテーブルを叩き立ち上がる俺。

 それを横目にクスクスと笑っているリリィとイーリシュ。

 え……? お前ら知ってたの……??


「ゼギウス殿のお手前は見事としか言いようが無かったわ。こんな貴重な体験ができるなんて感動です」


「いやいや、ワシとてまさか竜人族の姫様や精霊の娘が見ている前で金打ちをさせられるとは思いもせんかったわ」


 イーリシュにおだてられ御満悦のゼギウス爺さん。

 俺は未だにどういう状況なのか頭が追い付いていません。


「ゼギウスは素材を渡されたらすぐに鍛冶に移れるように下準備を完璧に済ませていたようだ。しかしお前が寝ているこの短時間で仕上げるあたり、まだまだ『天才鍛冶師』としての腕は落ちていないということなのだろうがな」


「……あー……確かに『準備しておいてね』って言っておいた気がする……。……いやいやいや!! でも早すぎだろ!! 大丈夫なの、この剣!!」


「……一体、誰が打ったと思っておるのじゃ……。大丈夫かどうかは、おぬしが直にその目で確かめたら良いじゃろう」


 そう言い首を横に振った爺さんはまた工房のほうに歩いて行っちゃいました。

 あ、へそ曲げちゃった爺さん。あとでちゃんと謝っておこう……。

 俺は剣の柄を掴み恐る恐るそれを持ち上げてみます。

 ――やっば、これ。めちゃくちゃ軽いんだけど、問題なのはそこじゃない。

 腕全体に纏わりつく感じの、禍々しいオーラ。

 え……これ魔王の剣より全然ヤバくね?


「当然、最上大業物の部類でしょうね。号は『魔神剣ディアボロス』で良いんじゃないかって。ゼギウスさんも『バハムート』の銘でこれ以上の武器は生涯作れないだろうとも言っていたわ」


「……うわぁ……」


 ついそんな声が漏れてしまいます。

 今まで数々の武器をゼギウス爺さんに作ってもらったけれど、そんな言葉を聞くのは初めてかもしれない……。

 俺専用の剣で過去最強っていったら『血塗られた黒双剣ブラッディ・スパーディオン』だと思うんだけど、あれはあれで色々な制約やら条件が揃って初めて最強っていえる剣だからなぁ。

 しかも『破理』効果付きなんでしょ? この魔神剣って。……やばくね?


「カズハ。新たな得物に酔いしれるのは構わぬが、今は今後の計画を皆で練ることが先決なのではないのか?」


「あ、そうだった。ルルとタオは居ないけど……状況の整理も兼ねてちゃちゃっとやっちゃいますか」


 俺は魔神剣を鞘に仕舞い、とりあえず横に置きました。

 そしてセレン、リリィ、イーリシュの三人に席に集まるように目配りします。

 爺さんは……へそ曲げてるからあとでいいや。超格好良い剣作ってくれてありがと。



 ――というわけで、俺達は作戦会議を始めることにしました。




魔神剣ディアボロス/防御貫通(特大)、体力吸収(特大)、???特攻、物理バリア破壊、魔法バリア破壊、特殊効果【破理】

破理/ありとあらゆる概念、真理を破壊する特殊効果。『No Damege』バリアも破壊可能。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヤバそうな武器が出来上がったなぁ
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