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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第十部 カズハ・アックスプラントと竜人族の姫(後編)
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022 ついに極悪最強の陰魔法を習得しました。火魔法はこれから覚えます。

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LV.35 無慚のタオ

武器:短刃拳ナックルダガー(攻撃力59)

防具:体鳳鳥の旗袍(防御力63)

装飾品:風刃蝶の髪留め(魔力15)

特殊効果:ぬすむ/うばう確率アップ(極大)※無慚状態に限る、斬撃攻撃力強化(大)※無慚状態に限る、打撃攻撃力強化(大)※無慚状態に限る、体魔法発動時間短縮(大)、火属性耐性(大)、風属性強化(大)

状態:激高、混乱、暴走

魔力値:503

スキル:『裂空脚(格) LV.8』『華閃刃(短) LV.15』『ぬすむ(盗) LV.28』『うばう(盗) LV.31』

魔法:『ウイング・ブリザード(風)』『速度上昇魔法レイト・エンハンスメント(風)』『波動衝(体)』

得意属性:『体属性』『風属性』

弱点属性:『火属性』『土属性』

性別:女

体力:618

総合結果:『闇落ち』

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「ヒヒヒ、ひひゃあぁぁぁ!! 全部……全部奪ってやったアル!! 奪い尽くしてやったぁ!!」


 両手に大量の『魔鬼眼』を抱えたタオが鬼翼魔人デーモンの死骸の山の上で血塗れになりながら叫んでいます。

 ……うん。どうしてこうなった。


「『無慚のタオ』……。あの優しかったタオにはもう、戻れないのでしょうか……?」


 俺の隣で悲しそうな顔をしてそう呟いたルル。

 まあタオがこうなっちゃったのはほぼ俺の責任だし、ていうか結果的に一気にレベルが12も上がったわけだし?

 あとはこの闇落ち状態の彼女を俺がどうにか元に戻せれば良いわけで。


「タオー」


「……ぁあ?」


 俺はそのままスタスタとタオの元まで近づいて行きます。

 うん。すっごい怖い目で睨んでる。目が真っ赤。血で赤いのか興奮状態で真っ赤になっちゃったのか、どっちなのかも分んない。

 彼女は殺気ビンビン状態のまま俺から視線を外さずに短刃拳の刃を舌なめずりしています。

 うん。なんかちょっとドキドキしてきました。

 普段の最弱モブキャラ兼いじられ役のタオもまあ良いっちゃ良いんだけど、こういった二面性のある彼女もグーですね。


「《緊縛》」


「へ――」


 突如タオの足元、というか鬼翼魔人デーモンの死骸の山の下の地面に巨大な魔法陣が出現。

 そこから光輝くいくつもの蔦状のものが生え出し、タオの首や手足に絡みついていきます。


「こ、これは……カズハ!」


「おーちゃんと発動できたなぁ。ラッキー」


「ぐっ……! 何アルかこの気色悪い蔦は……? 全身に絡みついてきて――。っ!?」


 次の瞬間、大きく弾けた光が彼女の視界を奪う。

 そして数秒の静寂の後に現れたそれ・・

 ……うん。懐かしすぎて涙出そう。


「…………あれ?」


 キョトンとした表情で周囲に視線を向けたタオ。

 彼女の首と両手首、そして両足首には青と金の紋章が刻まれた拘束具がしっかりと付けられています。

 まあチャイナ服が赤と金の刺繍だから、原色が多すぎて目がチカチカするんだけど……まあいいか。


「私は一体、何をしていたアルか……って! なにアルか!? この大量の死骸と目玉は!??」


 急に今自分が置かれている現状に気が付いたのか、彼女は驚きのあまり死骸の山からすっ転びました。

 そして手に抱えていた目玉を辺り一面に放り投げます。

 おいそれ素材屋に後で売るんだから傷付けないでくれますか。


「カズハ……。貴女はまた、あのとんでもない陰魔法を覚えてしまったのですね……」


「うん。まあそろそろ使えるかなーって思ってたし、これでまた戦いが楽になるよな。少しは」


 俺は尻もちをついたまま慌てふためくタオを尻目に魔鬼眼を拾い集めていきます。

 奴らが持ってた棍棒は……うーん。タオが暴れまくったせいで壊れていないのは四本しかねぇ……。

 これも拾っておいて、あと素材屋で高値で売れそうなのは鬼の牙と爪、それと睾丸――いや、それだけは回収したくない。ていうか触りたくない。


「よーし、こんなもんで良いか。タオ、しばらく動き辛いだろうけどデモンブリッジに到着するまでは『緊縛』は解かないから。その頃には落ち着いているだろうし、外しても大丈夫だろ。きっと」


 素材を回収し終えた俺はまだキョドっているタオにそう伝えました。

 とりあえずその血塗れの姿だけは今すぐどうにかしないとなぁ。

 ルルに水魔法唱えてもらって全身洗浄してもらいましょう。

 後は安全に休めそうな場所で薪でもくべてチャイナ服を乾かせば――。


「あ!」


「……? どうかしたのですかカズハ?」


「ちょうど良いや。ルル。デモンズブリッジ前に到着したら火魔法を教えてくれ。一通り」


「……今更、でしょうか?」


「……うん。今更」


 呆れた表情でそう言うルルに言葉が詰まってしまう俺。

 別に忘れてたわけじゃないもん。毎度色々と起きちゃうから訓練が後回しになってただけだもん。

 ちょうどデモンブリッジを目前にした丘に魔物が出ない場所があるから、そこで休憩しつつ飯も食って、ついでにルルに火魔法を伝授してもらって、さらに俺が唱えた火魔法で火を起こして薪をくべたら一石三鳥やんか!

 ちなみにおさらいだけど、火魔法って『天授の才』っていうカテゴリー? に属する属性魔法なんですよ。

 このカテゴリーの魔法は魔法教育官、つまり師匠を自分で選択して、その人から『属性基礎魔法』っていうのを伝授してもらわないと覚えられないんです。

 属性基礎魔法は基本的に三つに分かれていて、例外が一つだけある、みたいな感じで全部で四つ存在します。


 『放出系』に属する属性基礎魔法は『ファイアボール』。

 『物質系』に属する属性基礎魔法は『ファイアランス』。

 『召喚系』に属する属性基礎魔法は『ファイアエレメンタル』。

 そして『その他』は火の魔術禁書を使用するために必要な『カグツチ』。


 まあカグツチは三つの属性基礎魔法を覚えて、全ての最上級火魔法を習得したら出現するっていう隠し要素みたいな感じのものなんだけどね☆

 でも火の禁術を使用したら火属性が体内から永遠に消失しちゃうから、使いどころは考えなきゃいけないんだけども。

 で、とりあえずは上の三つの属性基礎魔法さえルルに伝授してもらえば、後は自身の努力次第で最強の火魔法を習得するだけってわけ。簡単、簡単。



「あ、あのぅ……。これはその、全部私がやったアルか……?」


 まだ現実に理解が追い付いていない様子のタオが血だまりの中で惚けています。

 でもあまりここに長居してると血の臭いを嗅ぎつけたモンスターやら魔族がどんどん集まってきちゃうし、ここはちゃちゃっとデモンズブリッジまで一気に時短しちゃいますか。


「ルル」


「なんでしょう」


「竜化して。そんでもって俺達を背に乗せてデモンズブリッジまでひとっ飛びして」


「…………」


 ……うん。めっちゃ睨まれました。

 いやいやいや、それぐらいしてくれたってええやんか。減るモンじゃなしに。


「私は便利な乗り物ではないのですが」


「緊縛――」


「すぐに竜になりましょう!!」


 コンマ何秒かで即答したルルは慌てた様子で竜化を開始しました。

 彼女の全身に眩い光が照射し、徐々にその姿が膨らんでいきます。


「さあ! すぐにデモンズブリッジまで向かいましょう!」


「あ、ちょっとルルちゃん……! そんな強引に口で私の服の襟首を引っ張らないでくれアルよ……!!」

 

 手際良くタオを背に乗せたルル。俺も一緒に彼女の背に飛び乗ります。

 この銀の鱗も立派だし、乗り心地も抜群。

 いつぞやのドラゴンゾンビの背よりも遥かに最高です。


 そして、俺達は大空へ。


 目標は遥か山頂。

 人間族と魔族の領土を結ぶ、デモンズブリッジへと――。




LV.65 カズハ・アックスプラント

武器:聖者の罪裁剣エンジェルスブレイマー(攻撃力255)

防具:陰獄獣の軽服(防御力68)

装飾品:炎法師のイヤリング(魔力25)

特殊効果:斬撃強化(特大)、スキル威力強化(特大)、魔法攻撃力強化(特大)、光属性特効、闇属性特効、陰魔法発動時間短縮(大)、SP自動回復量(中)、火属性強化(大)

状態:正常

魔力値:3379

スキル:『ファスト・ブレード(片) LV.19』『スライドカッター(片) LV.45』『アクセルブレード(片) LV.30』『スピンスラッシュ(片) LV.31』『ツインブレイド(二) LV.19』『ブルファイト・アタック(二) LV.19』『センティピード・テイル(二) LV.14』『ダブルインサート(二) LV.10』『エクセル・スラッシュ(二) LV.8』『ツーエッジソード(二) LV.3』

魔法:『力士(陰)』『蛇目(陰)』『塩撒(陰)』『隠密(陰)』『悪夢(陰)』『迅速(陰)』『鎖錠(陰)』『封呪(陰)』『奈落(陰)』『緊縛(陰)』『解縛(陰)』

得意属性:『火属性』『陰属性』

弱点属性:『光属性』『闇属性』

性別:女

体力:3280

総合結果:『正常』

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[一言] 出たw緊縛!
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