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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第四部 カズハ・アックスプラントの世界戦争
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079 相手がどれだけ脅威でも俺はいつも通りにするだけです。

「あたいの話はこれで終わりだ。さあ、今度はあんたの番だよ。早くこの薄汚れた監獄から、あたいらを出してくれよ。そのためにここまで来てくれたんだろう?」


 レベッカお姉さんの話が終了し、彼女の部下である巨漢の男共が俺の前に集まってきた。

 うーん、ここから出すとは言っても、俺自身も捕まっちゃってるわけだし……。

 ていうかそろそろ死にそうだし……。

 このお姉さんも嘘を言っているようには見えないけど、今の話を信じるか信じないかはデボルグ先生やセレンの意見も聞かないといけないし……。

 そうしないと、また俺が勝手に行動して問題を起こしたとか言われて、皆にめっちゃボコられるからなぁ。

 どうしたもんか。


ピー、ピー。


「……うん? あ、ザノバのおっさんからだ」


 ザノバから魔法便が届いたことを知らせる通知音が鳴り、俺はウインドウを開いて中身を確認する。

 何だろう。また何か進展があったのかな……。


「えー、なになに……? 『麗しき魔王様の大事なお仲間であられるアルゼイン殿との接触に成功致しました。恐らく彼女は監査室を立ち上げ、ユーフェリウス卿について色々と調べるでしょう。これで多少は時間稼ぎになるはず。今がチャンスですぞ。魔王様、万歳! PS.お金ちょうだい』」


 ……。

 どんだけ金に飢えているんだよ、ザノバのおっさんは……。

 俺は溜息を吐きつつ、魔法便の返信欄にある添付項目をタップし5万Gを送金した。


「ザノバ……? まさか空軍第四兵団の『信条のザノバ』かい? あんた、あのザノバを味方に引き込んだのかい?」


「へ? あ、うん。ていうか金で簡単に釣れた。今はあいつから色々と情報を貰ったり、逆にこっち側の偽の情報を流してもらったりしてます」


 レベッカお姉さんも知っているということは、結構有名人なんだな、あのおっさん……。

 ていうか『信条』……。

 いや、突っ込むのはもうやめておこう。面倒臭いし。


「『監査室を立ち上げた』ということは、妖竜兵団のほうは一時的にレイヴンとシャーリーに任せたってことだねぇ。ザノバの言う通り今がチャンスだよ。首都の警備が手薄なうちに、ここを脱獄して首都を落とすんだ。エリアル女王さえ押さえれば『弓』の脅威が無くなるし、ジェイドも迂闊に行動できなくなるだろうよ」


「いやいや、ちょっと待って! 俺は別に戦争をしにきたわけじゃねぇよ! ジェイドっていう野郎はぶっ飛ばすけど、エルフィンランドのほうは金で解決するつもりだったんだから!」


 俺は再びウインドウを開き、所持金の12億Gを彼女に見せる。

 途端に色めき出す巨漢の男共。


「……あんた馬鹿かい? 確かにエルフィンランドは財政難だけど、ユーフェリウス卿をぶっ飛ばしちゃったら金の問題じゃ無くなるよ。それにさっきも言っただろう? 奴は世界ギルド連合の『裏』の幹部だ。世界ギルド連合が発行している、世界共通通貨であるGゴールドをいくら積んだところで意味なんてあるわけがないだろう?」


「え? マジで! この『G』って世界ギルド連合が発行してるの!? うそーん!?」


 それじゃ、俺の計画が水の泡じゃないか!

 お金で平和的かつ迅速に問題を解決しようと思っていたのに!

 ていうか世界ギルド連合を敵に回したら何も出来ないじゃん!


「だからエリアル女王を確保するしかないんだよ。そして彼女の持つ『弓』と引き換えに世界ギルド連合の本部と直接交渉をする。魔導増幅装置アヴェンジャーで増幅させた弓の射程距離がどのくらいなのかは知らないけど、他国にとって相当な脅威であることには変わりがないだろう? 『金』で交渉するんじゃなくて、『武力』で交渉するのさ」


「……お姉さん、俺より魔王に向いていそうですね」


 俺がそう呟くと、レベッカお姉さんはニヤリと笑いました。

 これじゃどっちが悪者なのか、さっぱり分からないんだけど……。


「勿論、あたいも本当にエリアル女王に『弓』を撃たせるつもりは無いよ。さっきも言ったけど、あれは命に関わるからね。あくまで脅しさ。いや、抑止力と言ってもいい」


「抑止力……」


 うーん、抑止力でどうにかなるような相手なんだろうか。あの世界ギルド連合が。

 俺なんて速攻で魔王認定されちゃって、世界中から命を狙われる羽目になったんだけど……。


「まあ、いいや。考えたってなるようにしかならないし、どっちにしても俺はジェイドって奴をぶっ飛ばすし」


「おい、あんた! あたいの話を聞いていなかったのかい? ジェイドに手を出したら駄目だよ! アーザイムヘレストの子孫がどれだけ高貴な存在か、さっき説明しただろう!」


「うん。聞いた」


 適当にそう流した俺はお姉さんにピースサインを送りました。

 ていうか俺も仲間達もとっくに相手からは敵認定されているんだし、相手がアーザイムなんちゃらの子孫だろうが何だろうがまったく関係ないと思います。

 金で解決しないんだったら、尚更、殴るしかないじゃん。

 俺の大事な仲間を傷つけたんだし。俺が許すわけ無いじゃん。

 

 ――ということで、考えるの終了。


ピキンッ――!


「……あれ?」


 何か今、俺の頭の中で音がしました。

 ……いや、身体の内側? それとも血液の中?


「おお……? おおおおお……!」


 減る一方だった魔力がグングンと復活していくのが分かります。

 きたきた……! キタキタキタ…………!


「キタああああああああああああああああーーーーーー!!」


 俺は渾身の力で牢を蹴り上げました。

 そしたらすごい音を立てて、上階の壁に穴が開きました。

 ていうか監獄の遥か外まで吹き飛んでいきました。


「おっしゃあああぁぁぁ! カズハちゃん、復活ーーーーーーーーーーーー!!!」


 俺の叫び声が監獄中に広がります。

 デボルグ、セレン、まじでサンキュウ!

 今の俺の声も聞こえただろうし、多分ここまで迎えに来てくれるよね。


「まったく、あの子の言っていた通り滅茶苦茶な奴だねぇ……! くく、面白い……! いいよ、あんたにとことん付き合うよ! さあ、行くよ、お前達!!」


「「へいっ! 姉さんっ!!」」


 レベッカお姉さんの号令で巨漢の男達も沸き立ちました。

 

 さあ、ここからが本番だ!

 俺の行く手を阻む奴らは、片っ端からぶっ飛ばしてやるぜ!!




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